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この欄は、わが国のどこかで起きた小さな小さな事件の問題点を取り上げるコーナーです。

比企郡川島町・農業委員一般選挙不正疑惑
  「A氏の立候補を阻止せよ!」

 さる5月8日に行われた川島町議会議長選挙における不正疑惑。本紙の報道に呼応するかのように、複数の消息筋から「不正選挙疑惑はそれだけではない」との指摘と、写真資料などの情報提供を得た。

 川島町に堆積する幾層もの汚泥……。その一つが今回お伝えする「比企郡川島町農業委員一般選挙」をめぐる驚くべき不正疑惑である。

 農業委員会とは、「農業委員会等に関する法律」および地方自治法の規定に基づき、一定以上の農地面積のある市町村に設置が義務付けられている機関であり、一般選挙による委員と、議会および農業協同組合・農業共済組合の推薦による委員で構成された、合議体の行政委員会である。

 埼玉県比企郡川島町の場合、一般選挙による委員は14名。さらに議会推薦4名、農協推薦1名、農業共済推薦1名の合計20名から構成される。

 さる4月29に告示された川島町農業委員任期満了に伴う一般選挙。実際には以下の19名が無投票にて当選した。

 そして、この無投票選挙の背後で黒い工作が行われていたのである。

一般選挙による委員(立候補届出順)
鈴木一男
土屋祥吉
牛村實
島田伸司
斉藤茂樹
神立誠次
尾林惣一
小高松一
道祖土八一
島村欣三
横川二三男
友光照吉
新井吉郎
吉野要次
議会推薦による委員
小久保秀雄
宮前民二
矢島一男
笹岡功
農協推薦による委員
飯島清
農業共済推薦による委員
小森谷武雄

 その人物を、仮にA氏としておこう。

「一般選挙による委員」、すなわち一般人立候補の枠は川島町の場合、条例で定められた14名である。したがってこの定数を超えれば選挙によって立候補者をふるいにかけるのだが、定数以下である場合は無投票当選となる。つまり被選挙権を有する者の中から、実際に立候補する人数をあらかじめ14名ジャストに調整しておけば、立候補者全員が選挙を経ずに当選するのである。

 川島町農業委員任期満了に伴う一般選挙が告示されたのはさる4月29日である。これにともない川島町各地区では話し合いがもたれ、立候補すべき14名が決定された。こうなれば無投票当選は約束されたも同然。必要なのは、選管に立候補届けを出すという、型どおりのプロセスだけであった。

 14名は揃って川島町選挙管理委員会を訪れた。

 ところが、である。14名が見たものは、一足早く選管に提出されたA氏の立候補届けであった。

「これでは選挙になってしまうじゃないか。冗談じゃない。話が違う……」。怒った14名は立候補届けを出さず、そのまま踵を返したのである。

 予想外の事態に驚いた石黒安太郎氏(埼玉県中央農協副組合長)、現農業委員・牛村實氏ほか数名の関係者が、まずA氏の所在を確かめるべく奔走した。
(牛村實氏は衆議院議員・山口泰明川島地区青年部長であり、高田町長選対本部長 を勤めている)

 そしてA氏が川島町の老人福祉センター「やすらぎの郷」に滞在中であることを確認すると、A氏との話し合いのために一人、同センターに向かった人物が石黒氏であった。


「私は特使としてやってきた」

「やすらぎの郷」のA氏の前にやってくると、石黒氏は開口一番、こう言い放ったという。

「私は特使としてやってきた」

 A氏が「では誰の特使なのか」と問い質したところ、石黒氏の答えはこうだった。

「どのように考えていただいても構わない」

 そして石黒「特使」はこの日二度にわたりA氏に対し、立候補を取り下げてくれ、選挙になれば600万円かかる、取り下げる条件については君にすべてを任せる……こう要請してきたのである。

 A氏は結局、この圧力に屈し、立候補の取り下げを了承したのであった。

 この日の夕方、川島町にあるレストラン「マロード」は華やいだ雰囲気に満ちていた。石黒安太郎氏をはじめ数十名が「祝勝会」を催したのである。

 A氏への圧力は、これが初めてではなかった。A氏は平成11年度にも農業委員に立候補しているのだが、当時の川島町役場助役の再三にわたる立候補取り下げ要求に屈せざるを得なかった、苦い経験があるのだ。

 川島町に精通する消息筋は語る。

「A氏は、農業委員会をめぐるさまざまな疑惑を知り得る立場にいた。だから当時の助役が圧力をかけたのは他でもない、A氏が農業委員になっては困ったからだ」

 だが今回の圧力、その真相は少々異なるという。

 別の情報提供者は証言する。

「それはおそらく、堆肥場問題だろう」


「堆肥場」反対が圧力の原因?

「川島町東央西部地区堆肥舎利用組合」が川島町の補助事業として建設した堆肥場。だが組合の名称はおろか、運営主体を示す看板はまったく見当たらない。

(各写真をクリックすると拡大表示します)

 この堆肥場建設に際し、農業委員会は最初、別の場所を予定していた。一度は認可が降りた土地だったが、病院(平成の森・川島病院)が隣接しているため、再度検討の上、当初予定の場所から近い現在の場所に建設されることとなった。

 本紙が独自に調査したところ、現在の堆肥場が立てられている土地の所有者は、当時の川島町役場課長補佐、現・川島町土地改良区事務局長である。

 ところで堆肥場とは、当然ながら堆肥を集積する場所として建設したものである。どの場所に建設しようとも、臭気をはじめ環境衛生上の問題が生じてしまうのは致し方ないといえる。

 A氏は農業委員一般選挙の告示以前から、この堆肥場建設に反対していた。

「おそらくそれが圧力の理由のひとつではないか」……。消息筋はそう推測している。

「選挙になったらカネがかかる。だから降りてくれ」などと、本来あるべき選挙の労を厭う度し難い姿勢もさることながら、町役場や農業委員会関係者が一丸となって「反対意見を持つものは立候補させるな」とする川島町の体質、前近代的と嗤うにはあまりにも犯罪的である。これまで本紙がお伝えした「黒い町議選」をはじめ、川島町のヘドロは今まさに、その醜い姿を白日の下にさらされつつある。

 本紙は引きつづき川島町を注視する。さらなる情報提供を乞う次第である。

 

 

 


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