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この欄は、わが国のどこかで起きた小さな小さな事件の問題点を取り上げるコーナーです。


 昨年(平成12年)は川越市で起きた公共事業に纏わる談合事件に関し「2000・正義を追求する市民の会」の皆さんが、この事件と関わりを持った本紙記者を支えてくれた。〔市民の会〕事務局諸氏の好意に促されて、記者も手持ちの資料を提供したが、事務局は驚くほど広範囲に渡る調査力を有しておられた。

 インターネットの力は予想を越える凄まじいものだった。埼玉 県の一地方都市で起きた「社会の片隅」の事件が日本中に広がったのだ。

 「2000・正義を追求する市民の会」は、思想的には右も左もおり、また弁護士や学者の方々もいる反権力、反骨の混成部隊だった。常在部隊ではなく、まさに社会の片隅で起きた許されない問題に対し、無報酬で真正面 から取り上げた機関として存在した。その彼らが記者を後押しし続けてくれた。その理由は、「公共工事は俺たちのものだ」とするその特権意識が面 白くない、のひと言だった。

 「2000・正義を追求する市民の会」のホームページに終止符が打たれたのは、記者の決意が固まったためである。無報酬で動く彼らの世話になっているだけでは申し訳ない。まだまだ反省の足りない談合業者がいる。真っ当な者、弱い業者を蔑(ないがし)ろにする悪徳業界に対して記者は再度挑戦の意を固め、「2000・正義を追求する市民の会」の方々に請うて手を引いていただいたのであった。

 大手商業新聞、テレビは、大きな社会問題や人の目を射る事件は取り上げる。しかし社会の片隅に生きる人、哀しいまでに実直に生きる人々の周りに起きる事件は取り上げてくれない。

 誰も解決してくれない。誰も振り返ってくれない。

 当事者にとっては、打つ手の無い、しかし一生を左右する重大な問題が「社会の片隅」にはゴロゴロ転がっているのだ。

 ここまで日本の国民を末世観に追い込んだ政治、行政の責任回避――。これがすべての回答として用意されている。この回答は、もちろん何の解決にも繋がらない。政治の貧困、行政の狭窄は、弱者をさらなる弱者に追い込み、そのまま蓋を閉ざしてしまうだけだ。今後はこうした傾向がますます強まるものと考えられる。

 例えば、こんな話がある。小役人の生活保護者いじめの話だ。これは現代を覆う巨悪、大きな社会問題等から見れば、取るに足らぬ 行政問題なのだが、記者は弱いものいじめが大嫌いだ。ことに「官」という名称を頭に乗せ、それを特権意識に替えて弱者いじめをする小役人ほど頭に来るものはない。

 そんな小役人に限って己を「お上」だと思い上がっている、始末に終えない馬鹿野郎である。「公僕」という、国民の税金で飯を喰っている立場を今ひった屁のように忘れて威張り散らす庶民の敵である。こうした存在が市民社会の小さな歯車を狂わせていくのだ。このような「お上」意識の存在が放置されていることが、自治体は市民との間に分厚く無公徳な幕を張りめぐらせる一因を作っている。「お上」意識から抜け出さない者が福祉行政に携わり、ケースワーカーとして存在している限り、行政における憲法第25条、並びに生活保護法は遵守されないのである。

 本紙「社会の片隅」欄として、年頭最初に取り上げるべき題材か否かなど、記者は逡巡しない。記者の目から見た、今そこにある危機――。放置してはならない弱者の危機であるから、この欄で取り上げる必要があると考える。

 北海道札幌市東区管内の生活保護被受給者に対する福祉のケースワーカーの弱者いじめ、あるいはいたぶり行為が、投書によって確認された。当管内では以前にも同様のケースがあったため、記者の意識が集中していたものだ。

 当被受給者は、数年前に特権意識を持った女性のケースワーカーに徹底的ないじめに遇っていた。記者は当時の福祉部長に面 会し、この是正を求めた。当の福祉部長は謙虚な方で、十分に社会福祉の目的と方向を理解された人物であった。

 ケースワーカーという業務は激務であり、一人で80人から、ときには 100人近くもの生活指導に当たることがある。そうしたなか、ケースワーカーは人の生死を預かる重要な役割を担う重責の立場に立っている。被受給者に生きる希望を与え、少しでも早く社会復帰の足掛かりを手伝い、その足元を照らす灯火の役目を負う。

 こうした意義を認識せず、ただ「お上」意識を振り翳す者は、福祉行政に携わる資格など微塵も無い。こうしたケースワーカーが存在することが、福祉行政に邁進する札幌東区の真っ当な上司や職員の足を引っ張っているのだ。弱者いじめのケースワーカーのために、被受給者は役所全体を「信じられないもの」と断定し、自分自身でますます追い込まれた世界に嵌まり込んで行く。もし仮に、被受給者のなかからケースワーカーのいじめによって自殺者が出たら、いったいどうする気なのか。事態は、その危惧を抱かせる状況まで進んでいるのだ。

 これまで福祉行政が積み上げてきた労苦が、一発で水泡と帰す事態を招くかもしれないのだ。

 本紙「社会の片隅」欄は、こうした、今そこにある危機、あるいは庶民の目の前で高い所にぶら下がってアカンベーをしている敵をテーマに、年頭から積極的に取り組んで行くつもりである。今後とも本欄をご注目いただきたい。

 


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