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本紙から読者へのお願い
拡張型心筋症「朱里ちゃん」に心臓移植手術を!

朱里ちゃんを救う会

 姑息を絵に描いたような行政、そして物言えぬ無辜の民――。行政悪に企業悪、知事の談合関与。寒々しい世相だ。その中心には、いつでもカネがある。カネ以外のものがあったためしはない。

 許し難い官製談合についての生々しい取材を終えた本紙記者は帰路、川越の商店や駅など至るところに、愛らしい少女の写るポスターを認めた。近寄ってみると、こう書かれている。

「朱里ちゃんがカナダで心臓移植を受けられますよう募金にご協力をお願いいたします」

朱里ちゃんを救う会  埼玉県川越市に住む赤石朱里ちゃん(3歳)。心臓の拡張が機能低下を引き起こし、心不全で死に至るという「拡張型心筋症」という難病を患う少女だ。拡張型心筋症は普通、20〜60歳に多いという。女性よりも男性で3倍、白人よりも黒人で3倍多く発生するという。にもかかわらず、あろうことか可愛い盛りである3歳の、日本の女の子の身に、この病魔が宿ったのである。

 しかも彼女は本紙の地元、川越市に住んでいる。取材からの帰路、ポスターの中から訴えかけるような朱里ちゃんの眼を見た記者は、その意味を反芻した。これは、縁(えにし)だ。

「募金目標金額1億円」。海外での心臓移植に関わる費用は年々増加し、渡航前の状態、渡航先によって差があるという。待機中・移植前後・外来の費用を含めれば、ご両親にとっては1億円だって心細いだろう。

 頭の中でざっと計算をしてみる。川越市の人口約30万人。就労人口を3分の1として、10万人。朱里ちゃんの手術費用1億円を集めるには、ひとりあたり1000円。市内の働く人々が、たった一晩の飲み代を我慢すれば、彼女は手術を受けられる。11月16日の集計では、約6527万円が「朱里ちゃんを救う会」に寄せられているという。だが、道のりはまだまだ遠い。

 日々を真剣に生きる、ごく普通の市民がいる。その家庭に突然の悲劇が訪れ、幼い命が消えようとしている。こんなとき、行政は何もできないのだろうか。幼い彼女の命を救おうとさしのべるのはいつも、貧者の一燈でしかないのか。むやみに行政を責めているのでも、頼ろうとしているのでもない。しかし風前の灯火である朱里ちゃんの命を目の前にして、「行政」という、市民の生活に資するべきシステムは、ただ手を拱いているだけなのか。

 欲の皮を被った政治家、悪徳業者どもよ。貴様たちは何のために私利私欲を肥やすのか。そのカネを、いったい何に使うのだ?

 無力感にとらわれていても何も始まらない。記者もまた、貧者の一燈をさしのべる。

 心ある読者の皆様。市内の、そして全国の読者の皆様。どうか、朱里ちゃんに手術を受けさせてあげてください。願わくば心の中で合掌し、幼い朱里ちゃんが病魔に打ち克てるよう、お祈りください。

 2006年11月 行政調査新聞社一同

 

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