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小泉新政権は変革を呼ぶか
小泉政権誕生までの裏話
4月初頭には誰もが思い浮かべないほどの圧倒的大差で小泉純一郎新総裁が誕生した。まさに地滑り的大勝利だったが、ここに至る経緯を簡単に見てみよう。
3月末の時点では、ご存じの通り自民党と連立を組む政権与党、公明党・保守党は野中広務で一致していた。野中は本来、政権背後で暗躍し権益を得る人物だが、今回は自ら出馬する意向があった。その背景は公明党・創価学会の圧力である。野中は自民党最大派閥・橋本派の実力者ではあるが同派の青木幹雄とはソリが合わない。また橋本派の領袖は橋本龍太郎である。野中が自民党総裁選に出馬するためにはこの2人の了解が必要だ。そこで野中は、まず橋本の意向を質したのだが、野中の予想に反し橋龍は自らが出馬すると決断したのだ。
橋本龍太郎は橋本派会長ではあるが、カネを含めて派閥構成メンバーの面
倒など見る人物ではなく、また中国北京政府に国家情報を流すなど、昔風に言えば売国奴的人物。しかも現在に至るまでのわが国大不況の根源を作ったと考えられているうえ、先の参議院選挙での自民大敗の責任を取って総理を引退した男だ。まさか橋本龍太郎が総裁選出馬を決めるなど、野中でなくとも想像できなかったろう。
橋龍出馬で野中総裁の目はなくなった。そしてこの時点で自民内部に大きなうねりが生じ始めた。
妖怪と呼ばれる中曾根が動き始めた。中曾根は亀井静香に総裁選出馬を勧める一方で、選挙期間中に小泉と会い密なる政局展望を行っている。さらに中曾根は石原慎太郎都知事とも極秘会談を行った。いっぽうで野中の動きは当初、不思議だった。昨年の加藤政局で発揮した実力を行使することなく、地方予備選での地滑り的大敗を呼び込んでしまった。
仮に総裁選で野中陣営が推す橋龍が勝ったとすれば、7月の参院選大敗は防ぎようもなく、それは必然として自民党解体に向かう。もはや自民党は存在すら危うくなり、小泉新党、石原新党に自由党・小沢一郎、民主党・鳩山由紀夫が絡み、わが国政界は完全に新体制へと移り変わってしまう。そこには野中広務を中心とする派閥力学や闇世界は通
用しない。
小泉新政権の行方
総裁選に勝利した翌日(4月25日)、小泉は党三役を決定した。幹事長は山崎派の山崎拓、総務会長が堀内派の堀内光雄、政調会長に河野グループの麻生太郎を起用。最大派閥橋本派が党三役から外れたことが話題になっている。
政調会長は当初、平沼(江藤・亀井派)に就任打診があったが、江藤会長の頭越しに打診が行われたこと、同派が政調会長として推す亀井静香が無視されたことから江藤派が反発し、麻生太郎に落ちついた。新聞マスコミは、「早くも小泉新体制が派閥力学の壁に突き当たった」と表現しているが、むしろこれは小泉側の「読み」の勝利。亀井を党三役から外すことに成功したうえ、麻生の取り込みに成功した点は大きい。
最大派閥・橋本派の力をバックに橋龍が総裁になると決めつけていたマスコミは、総裁選の最中、終始小泉を精一杯持ち上げたものだった。ところが現実に小泉新政権誕生となったところで、新政権の方向性が見えず、半々の評価しか下していない。本紙が判断するに、小泉は一般
に思われているよりはるかに強かである。
もともと今回の森喜朗下ろしの根源は、森の不人気だけにあったわけではない。確かに夏の参院選を控え、自民党内部から「森では参院選を戦えない」との判断があったが、最終的に森を下ろそうとなったのは、昨年夏の森総理インド訪問であった。かつて田中角栄が米国・台湾の頭越しに中国(支那北京政府)と国交回復を行って切られたのと似ている。米国や支那北京政府にとって最も恐れていたのは、日本とインドが強く結びつくことであり、歴代内閣はインドを無視し続けた。ところが森がインドに強い色目を使った。だから森は切られたと見て良いだろう。
森派会長の小泉が総裁となるためには、森喜朗の継承という血脈を断つ必要があった。それゆえに小泉は派閥からの脱却を唱えて総裁選に立候補したのだ。
新総裁となった小泉は当面、(1)緊急経済対策 (2)雇用対策 (3)国会改革・政治倫理の確立 (4)選挙制度の見直し の4点を掲げ、これらについて連立与党(公明・保守)との政策協議に入っている。恐らく原則面
では合意ができるが、早晩、公明党との乖離が生じることは明らかだ。だが一般
が話題にしているのは、経済対策・雇用対策と同時に「憲法9条改正」「靖国神社公式参拝」等といった小泉の右傾発言にある。
だが、ここで良く考えていただきたい。本紙だけではなくマスコミ各紙が今年2月〜3月にかけて米ブッシュ政権の基本構想を分析、発表しているが、そこでは、A・マーシャルの『アジア2025』と『アーミテージ・レポート』が最重要事項であるとされている。
( アーミテージ・レポートの要旨)
『アーミテージ・レポート』(日米、成熟したパートナーシップに向けて)では、構造改革と同時に、わが国の憲法が「集団安保」の足かせになっていることを正確に判断し、憲法9条の呪縛を除去し憲法改正を働きかける可能性について議論されていた。
小泉が総裁選最中に記者会見で語った「集団自衛権」「憲法9条改正」は、まさにアーミテージ・レポートの焼き直しである。ここは十分理解する必要がある。
さらに小泉は、江藤・亀井派を逆撫でして政調会長に麻生を起用したが、麻生は総裁選の最中に「カネ持ちのユダヤ人が来たくなるような国にしたい」と発言した人物。この発言でユダヤ人団体から猛反発を食ったが、これは“言ってはいけない『本音』”であり、米国社会の一部を牛耳っている階層の人々にとっては、本音の部分では拍手喝采したいものだ。
しかし小泉の強かさは、あるいは米国やユダヤ系社会の人々の思惑を超えている可能性も秘めている。
大変革期が来るのか?
政権与党として公明党、保守党との連立を堅持する小泉新政権だが、もともと小泉の思想と公明党・創価学会は一致することがない。まして「靖国神社公式参拝」「憲法9条改正」を唱えた場合、公明党の反発は必至だ。3カ月後には参院選を控えているだけに、政策論議は活発化し、これが元で連立与党が危うくなる可能性は極めて高い。
ふつうに考えれば、参院選前に連立与党が崩れる可能性はゼロなのだが、小泉新政権に対抗する旧守派(橋本派を中心とする旧勢力)が公明党経由で揺さぶりをかけ、小泉がなお抵抗すれば夏前にも「連立解消→自民党の歴史的敗北」という筋書きがあり得る。
そして今、新政権誕生のウラで暗躍する中曾根、野中の存在がある。
中曾根はすでに総裁選のまっただ中の4月16日の段階で、石原慎太郎(都知事)に会い今後の政局について突っ込んだ話し合いを持っているが、石原新党がいつ、どんな形で登場するかについては多くが注目するところだ。
参院選で自民党が大敗した場合には、当然ながら責任問題が浮上し、野中を中心とした旧守派の巻き返しがあるだろう。今のところ「石原新党」は参院選前には誕生しないと見られているが、これが参院選前にできた場合には、状況が一変する。
国民大衆が待ち焦がれていた変革の時が近づいているのだ。
待ちに待っていたものが、やっと近づいてきた。しかし、ただ棚ボタを期待しているだけでは変革期は来ない。
民主主義という制度は、日本という国家を構成する都道府県、それを形作る市町村、さらに丁目、番地に至る生活感覚に溢れた部分から復活させなければ生き返らない宿命を持っている。わが国が伝統的に持ってきた「中央から地方へ」という政治感覚を「生活空間から中央へ」という感覚に置き換えない限り、庶民大衆が求める変革はない。
この変革のために必要なものは、まさに生活感覚に生きるべき地方政治家である。
歴史を作るのは人間である。そしてまた、歴史を作るのは政治である。政治が歴史を作り伝統を作る。この法則のなかでは、中央・地方の区別
はない。いや、中央政治を造るのはすなわち地方政治であり、政治の根源は地方政治にある。
今必要なものは、この認識である。そのために是非、今回本紙が掲げた『新政権と地方議会議員』をお読みいただきたい。
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