拉致被害者を守り抜く決意を!
――その決意が揺るぐことは決して許されない!!――
長官狙撃容疑者の釈放
7月27日、東京地裁は殺人未遂容疑で逮捕していた元オウム真理教信者の小杉敏行(元巡査長)、岐部哲也(植村哲也=元教団防衛長官)、砂押光朗(元教団建設省幹部)、さらには別件で逮捕されていた石川公一(元教団法皇官房)の4人を処分保留のまま釈放した。
これに関し、わが国のTV大新聞はほぼ同様の報道を行っていた。以下にザッと並べてみよう。
〔読売新聞〕
「警察幹部『悪夢のよう』…長官狙撃事件の釈放 警察組織の威信をかけた捜査は完全に行き詰まった。逮捕者全員の釈放という異常事態を迎えた国松孝次・警察庁長官(当時)狙撃事件。(中略)記者会見に臨んだ警視庁公安部の幹部は『後悔はない』と言い切ったが、同じ警察内部からも『悪夢のよう』『メンツだけを優先した』と、今回の捜査手法には厳しい声があがった。(中略)
公安部とは捜査手法が異なるとされる刑事部のある幹部は『国民をアッと言わせる新証拠を隠し持っていると思っていたが、小杉供述とコートの鑑定結果だけで逮捕に踏み切っていたとは』とあきれ、『事件解決より、自分たちのメンツを優先したと言われても仕方がない』と突き放すように語った。(中略)
今回の東京地検の判断については、『誰が撃ったのかはっきりせず、拳銃も出ていない状況では致し方ない』。その一方で『教団が関与していたことが物証で明らかになったと思う。被害者として一つの納得が得られた捜査だった』と語り、『捜査には常に何らかの賭けの要素がある』『特殊な団体が関与した事件で証拠収集も難しかった』と捜査員らをかばった。
〔毎日新聞〕
「《警察庁長官狙撃》異例の捜査の結末 国松孝次警察庁長官(当時)狙撃事件で拘置されていたオウム真理教(アーレフに改称)の教団元幹部ら4人は28日午後、いずれも報道陣に対して無言のまま釈放された。逮捕もされていないのに『実行役』『現場指揮役』などと捜査当局に指摘された被告2人は捜査に対する怒りの声を弁護人に伝えた。
〔産経新聞〕
「最大の闇暴けず 元巡査長供述に翻弄 オウム真理教元幹部らが釈放された。事件から十年目の逮捕は、『治安への挑戦』と受けとめてきた威信をかけた捜査だったが、元警視庁巡査長以外の容疑者から供述が得られなかったうえ、その供述内容も、検察によって最終的に疑問符がつけられた。警視庁公安部は、オウム事件で最大といわれた『闇』を暴くことはできなかった。
他の新聞、通信社情報、TVも同様の解説を繰り返し、オウム真理教の闇を強調し、多くは「粘り強く真相解明に向けて努力してほしい」といったコメントを載せている。以前にも本紙上で書いたが、大新聞やTVの報道の大間抜け加減には心底うんざりさせられる。こんなバカげた報道を見せられ続けたら、庶民大衆は本当に馬鹿になってしまう。
参院選に向け恥を承知の大芝居
極めて普通に、極めて常識的に今回の「長官狙撃犯逮捕〜釈放」劇を眺めてみれば、TV新聞の報道がどれほどバカげているかわかるはずだ。
まず7月2日、曽我ひとみさんが夫ジェンキンス氏や娘たちとインドネシアで再会するといったニュースが流れる。そして7月5日には、「9日にジャカルタのホテルで家族が再会する」と発表される。8日には曽我ひとみさんがジャカルタに飛び、わが国の新聞TVは曽我ひとみさん情報一色になる。
そして同じ7月8日、小杉、岐部(植村)、砂押、石川ら4人の元オウム真理教幹部(砂押は現在も信徒)が逮捕され、新聞各紙の一面トップニュースとなった。
曽我ひとみさん情報、国松長官狙撃犯逮捕ニュースの直前まで、わが国の新聞TVは主に何を報道していたのか――。6月末以降は、7月11日に行われる参院選投票に向けて、「年金問題やイラク多国籍軍自衛隊参加などに国民がどのような審判を下すか」といった話題ばかりだった。7月に入った時点では、「民主党優位」といった情報が特に目立っていた。もし大事件がなければ、「与党苦戦」といった情報がますます拡大されて流されていたに違いない。そうなれば自民党の議席はさらに落ち込んだ可能性がある。
「7月8日の時点で国松長官狙撃犯が逮捕されたのは、参院選を睨んで官邸サイドが警視庁にねじ込んだ話」――とみるのが常識的なのだ。小杉元巡査長の証言など、平成9年の時点ですでに立件不可能と判断されたものだ。新たな証言もないのに、なぜこの時期に逮捕に踏み切ったのか。参院選に向けて、与党の不人気情報を流し続けてほしくない官邸が公安警察に泣きを入れ、警察は大恥を掻くことを承知で官邸に恩を売り、小杉らを再逮捕したのが真相だろう。これで腐敗堕落の警察は、官邸に莫大な貸しを作った。
曽我ひとみさんとジェンキンス氏の再会が、当初予定されていた7月23日から大幅に繰り上がったのも、参院選を睨んでの話だ、とみるのが常識だろう。
こうした当たり前の“常識”を承知の上で、本紙はさらに突っ込んだ解読を行なおうと考えている。ところがこの程度の常識が罷り通らない現状では、本紙の“ウラ読み”も興味の対象外になってしまう。まずは読者諸氏に、あらゆる事件に対して常識的な分析をしていただくようお願いする次第だ。
北朝鮮の取引
ジェンキンス氏のジャカルタ入りと来日、長官狙撃犯逮捕という一連の行動。これは、参院選を睨んで官邸サイドが仕掛けたと考えるのが常識だ。だが、本紙7月25日「東アジア波高し!!〜」を読んでいただければ、こうした動きが北朝鮮・金正日主導のものだと理解できるだろう。
金正日・北朝鮮にとって今、最も重要なことは「米朝秘密回路の修復」である。この秘密回路修復のために、ジェンキンス将軍は自らの身を犠牲にして日本にやってきて、米国との政治取引を行っている。ジェンキンスが来日して米国との交渉を行うことは北朝鮮の政策であり軍略である。しかしそれを金正日は巧みな駆け引きで、小泉政権に恩を売る形を作ったのだ。
その証拠とも言えるのが、7月5日に発表された「よど号」乗っ取り犯の元赤軍派メンバーたちの帰国だ。
よど号事件の犯人9人のうち主犯格の田宮高麿ら3人はすでに死亡。2人が帰国しており、北朝鮮に残っているのは4人。この4人は、帰国すれば逮捕されることがわかっているのに、なぜ今ごろになって日本に帰って来るのか? 「これ以上残る必要がなくなったため」と説明されるが、それでは誰も納得できない。彼らの帰国は金正日政権の要請によるものだ。なぜ金正日は元赤軍派メンバーを日本に帰さなければならないのだろうか?
米ブッシュ政権に対する弁解なのだ。
かつて米国と北朝鮮の間には間違いなく秘密回路が存在していた。それは米朝ホットラインと言っても良いかもしれない。(詳しくは本紙2003年7月25日「拉致被害者五人の家族、九月に訪日!」参照)ところがブッシュ政権誕生後、この秘密回路が閉ざされてしまった。本紙の推測では、この回路を閉ざしたのは米ネオコン勢力と考える。
金正日はブッシュが自ら秘密回路を絶ったと考えた。しかもブッシュは9・11米中枢同時テロから対アフガン戦のなかで、イラン、イラク、北朝鮮の3国を「悪の枢軸国」とまで言い切ったのだ。
米朝秘密回路の修復を行わない限り、米国が北朝鮮を敵視し武力行使に出る可能性もある――。そう考えた金正日は、核問題協議の6カ国協議の場でもしきりに「米朝2カ国間協議を!」と要請してきた。「悪の枢軸=テロ国家」との認定を外してもらわない限り、北朝鮮に未来はない。飛行機を乗っ取った赤軍派を匿い続ける北朝鮮は、テロ国家の認定を外されることがない。テロ実行犯など匿っていないという証のために、よど号犯を日本に返すというわけだ。金正日にとっては何より米朝秘密回路修復が問題なのだ。
そして今後起こる問題は、なお残る拉致被害者である。すでに小泉政権は水面下で北朝鮮側と交渉を続け、8月上旬には「いわゆる安否不明者10人」についての再調査実務者協議を行うことになっている。
拉致被害者を守り抜く決意を!
横田めぐみさんを初めとする安否不明者10人。そして実際にはさらに数十人の拉致疑惑者、安否不明者が存在することも事実である。今後の日朝協議のなかで彼らの消息についての報告がなされる可能性は高い。
ここでわれわれは、日本人庶民大衆の一人として覚悟を決めるべき真実につき当たる。
蓮池夫妻、地村夫妻、そして曽我ひとみさん。彼ら5人は北朝鮮に拉致されながら北朝鮮のなかでは裕福な生活を送り、そして家族と巡り会って最終的には日本で暮らすことができた。だが一方には、彼らと同様に北朝鮮に拉致され、苛酷な環境に追いやられ、最悪の場合、殺された人々もいる。
拉致されながら優雅な生活を送り、生き延びて日本に還ってきて家族と共に幸せな生活を送る人々。そして同じように拉致されながら、強制労働といった環境に陥ったり死んでしまったりした人々。
この「差」は、どこから生まれたのか?
本紙読者を含め、すべての日本人に問いたい。
自分の息子、娘が生きるか死ぬかの状況に直面していたとしたら、親であるあなたは何と言うか? たとえ他人を蹴飛ばし、他人を引きずり落としてでも生きて還れ!と言うに違いない。――自分の息子、娘だけではない。自分自身だって当然だ。他人の足を引っ張り、殺してでも自分が生き残ろうとする。それは当然の行動なのだ。その生きる意思こそが重要であり、極限の状況のなかで何が起きたかなど重要ではない。
すべての日本人庶民大衆に訴えたい。
拉致被害者を守り抜く決意を持て、と。
揺るぎのない決意を持っていただきたい。新聞TV週刊誌が何を騒ごうが、日本人の一庶民として、確固たる信念ですべての拉致被害者を守り抜くのだ、と。今後、起こるであろう下劣下品な騒動など無視して、一人の日本人として拉致被害者を守り抜く。たとえ殺人犯がいようが密告犯がいようが、北朝鮮がどんな悪情報を流そうが、一人日本人として日本人を守り抜く。庶民大衆の一人がその決意を持たぬ限り、日本の庶民は永遠に地球上から姿を消してしまう。
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