|
危険食品はこんなにある!身を守るために何を考えるべきか
中国製の冷凍餃子から、有機リン酸系殺虫剤のメタミドホスやジクロルボスが見つかった事件は、日本中の家庭を直撃した。冷凍食品は毎年、2〜3%ずつ売り上げを伸ばしてきたが、昨年のミートホープによるコロッケ偽装混入事件で影を落とし始め、復調の気配が見えたところでの今回の事件だった。一部スーパーでは、餃子に限らず冷凍食品全体が前月比30%もダウンしたところがあるという。
マスコミ報道のなかには、中国産食品に対する厳しい追及を行うところもあるが、事件の本質を見失っている可能性もある。また、この機会に日本全体の食生活について考えなおすことも重要なのではないだろうか。
中国製冷凍餃子毒物混入の真相
千葉、兵庫、徳島などで確認された中国製冷凍餃子毒物混入について、警察庁は「密封状態の袋の内側からも毒物を検出」と発表している。このことは、有機リン酸系毒物が製造・梱包の過程で混入されたことを物語っている。重大な事態であることを認識した日本政府の調査団が訪中、製造元の天洋食品に関する調査を行った。今回の工場視察や保存記録の点検では、衛生管理が非常に厳格に、かつ適切に行われていることが確認され、同工場で農薬が使用された痕跡や記録は見つからなかった。中国公安当局は、農薬混入の餃子製造日の出勤状況を記録している人事管理簿などを押収し、捜査を進めているという。
天洋食品の従業員の月給は、1万数千円〜2万円程度。貧しい農村地帯からの出稼ぎが多く、しかも労働時間が長く、遅刻などのミスには罰金があり不満が充満していた。さらに天洋食品は昨年12月、40歳以上の従業員を解雇したとの話もある。このような状況から、「従業員が毒物を入れたとすれば、反日などの政治的意図ではなく、工場で気に入らないことがあり、腹いせにやったのではないか」との憶測が流されている。日本のマスコミ報道のなかにも、こうした見方をするところが多い。だが、それが真実なのだろうか。
さる2004年夏に中国の重慶で行われたサッカー・アジア杯のことをご記憶だろうか。
開始からずっと、中国人による反日行動が大きな問題となった大会だった。日本の国歌「君が代」が演奏されるたびにブーイングが起き、「尖閣諸島(釣魚島)を返せ」「小日本を撲殺せよ」などといった過激な横断幕がはためき、駐中国公使の公用車が襲撃されたりもした。この事件の真相は、公表はされていないが、中国内部の主導権争いが表面化したものだ。
中国では2002年11月に、それまでの総書記だった江沢民から胡錦涛に政権が交代した。その後、胡錦涛は2003年3月に国家主席に就任、2004年9月には中央軍事委員会主席となり、中国の全権力を掌握、名実ともに中国のナンバー・ワンの座に就いた。だが、胡錦涛政権誕生前から水面下では激烈な争闘が繰り広げられており、その争いは今日なお継続されている。それは具体的には「胡錦涛現政権」V.S.「江沢民派+上海閥」との闘争である。
ご存じの通り、江沢民治世の10年間、江沢民は中国の人心を掌握する意図もあって「反日」を表面に出して邁進した。組織を一体化させるために外敵を作るという手法は、古今東西使われているもので、一概にこれを否定するものではない。だが現実には、江沢民の10年間に日中の溝は恐ろしいほどに拡大され、いくつかの場面では取り返しのつかないところにまで行き着いてしまった。
その修復に乗り出したのが、胡錦涛政権である。しかしその道程は、平坦なものではなかった。とくに2004年9月の中央委員会全体会議で胡錦涛が軍事委員会主席(軍を掌握)になることができるか否かの局面では、争闘は激烈を極めた。このように記せば、その直前に行われたサッカー・アジア杯の反日行動がどのような意味を持っていたかは、ご理解いただけるだろう。
2006年9月末に首相に就任した安倍晋三は、就任直後の10月8日に中国を訪問。胡錦涛国家主席と会談して、冷え切った日中関係の修復に努めた。以降、日中両国は江沢民時代に作られた瑕疵を修復すべく努力を続け、福田首相もまたこの姿勢を継続している。そして今年4月には胡錦涛国家主席が訪日、さらに北京五輪という大イベントが控えている。こうした状況のなかで起こった毒入り餃子事件なのだ。
今回の事件について、中国の国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠・副総局長は「中日関係の進展を望まない少数の分子が極端な手段に出たのではないか」と公式の場で発言、その内容は日本のマスコミにも紹介されている。
この発言の真意を理解する必要がある。中国政府当局は、これが単なる工場勤務人の会社に対する怨恨ではないことを察知していると見て良い。しかもこの発言を考えると、実行犯どころかその背後に蠢く勢力も特定しており、さらなる奥に潜む人物、震源地そのものに攻撃しようと考えているように思われる。魏伝忠・副総局長は2月13日の会見では「工場労働者犯行説は憶測に過ぎない」と微妙な言い回しを回答。水面下で駆け引きが繰り広げられていることを暗示している。
中国政府当局が「中日関係の進展を望まない少数の分子」との発言をする以前、農薬入り冷凍餃子事件が発覚した直後に、筆者の周辺からは「反胡錦涛派による仕業」という推測が当然のように流れていた。ところが奇妙なことに、そのような憶測情報が日本のマスコミ上では一切流されていない。
江沢民前国家主席が中国の実権を掌握した1993年以降の10年間は、日中両国は徐々に徐々にではあるが関係を悪化させていった。そうした状態のなかで、いわゆる中国利権を貪る一部政治家、財界人が登場した。日中のパイプが細くなることは、こうした利権屋にとっては幸運なことでもあった。今回の餃子事件を機に、再度日中関係を悪化させ、自分の懐を潤したい一部利権屋たちが、「中国食品ボイコット運動」の火に油を注いでいるようだ。その片棒を担ぐマスコミも現れ、真実を知らされていない大衆たちが、マスコミの扇動に乗っていると思われる。
殺虫剤混入事件は、残留農薬や内容偽装、衛生問題とはまったく別次元の問題である。そしてこれは、明らかに中国の国内問題なのだ。国内問題に関しては、国内で明確な措置を採ったうえで、明らかにすべきところを明示すべきである。それでないと、日中二国間が「正常な国交」を行うという大前提までに狂いが生じてしまうだろう。
「危険な食品」
今回の農薬混入餃子事件は、警察庁が発表している通り、製造過程で人為的、意図的に混入されたものだ。ところが、この事件を機に、「冷凍食品は危険」「中国産野菜には残留農薬がいっぱい」「東南アジア産食材はもっと危険」といった文章をあちこちで見かけるようになった。今回の農薬入り餃子とは本質的には別問題なのだが、今回の事件によって図らずも「食の安全」というテーマと「食糧自給率」という大問題が突きつけられたわけだ。
日本の食糧自給率は極端に低い。農水省は現在「自給率は約40%」と表現している。1960年当時は「自給率73%(カロリー換算)」と言っていたのだから、驚くほどの減少率だ。重量換算、カロリー換算など測定値がいろいろあるが、簡単に言えば現在は、日本は6割以上の食糧を輸入に頼っているわけだ。そのなかでも、とくに穀類の自給率が低い。自給率は24%と言われている。
昔から日本人は「コメ・味噌・醤油があれば生きていける」と語っていたが、コメはともかく、味噌・醤油の原材料である大豆の自給率が僅か数%という現状は、あまりにも悲惨だ(大豆自給率は平成16年度で約3%)。この十数年、先進国は軒並み、食糧自給率を高めようと真剣な努力を続けている。世界的な人口増加と気象異変は、非常に近い将来に大食糧危機が来ることを暗示しており、先進各国はそれを視野に入れた動きをしているのだ。
食糧自給とは、国家の命運を賭けた基本戦略である。今回の毒入り餃子事件を奇禍と捉え、官民一体となって食糧問題に邁進することを期待したい。そのためには、庶民大衆一人ひとりが、何を発言しどのように振る舞ったら良いのか、真剣に考える必要があるのではないか。
昨年の日本は、「偽」という文字で表現されるほど「偽装問題」が多かった。北海道ミートホープの「牛100%コロッケ」には鶏や豚の肉が混入されていたし、船場吉兆では牛肉の産地偽装、期限切れ商品の改竄など、庶民感覚としても許しがたいものがあった。だがいっぽうでは、「白い恋人」や「赤福」「崎陽軒」など、食べてもまったく問題がないのに食管法に抵触しただけで営業停止に追い込まれたメーカーも存在した。
何が危険なのか、何が安全なのかを見極めることを、消費者が行う必要性が生じてきているということだろう。それは非常に面倒なことではあるが、微温湯につかった昨今の日本人にとっては、むしろ有り難い話なのかもしれない。
古くから日本人たちは、「四里四方」、最近の言葉で言えば「地産地消」を大切にしてきた。自分の生きている近隣の自然界の動植物を摂取することで、その地のエネルギーを得ていた。昔の言葉で言えば「地の霊を戴いていた」のだ。
食品偽装事件や農薬入り餃子事件ですっかり忘れさられてしまったのが米国産牛のBSE(牛海綿状脳症)問題である。
2003年に米国でBSEの発生が確認されてから、米国産の牛肉及び牛肉加工品は輸入禁止とされてきたが、2006年春、厚労省と農水省から諮問を要請された食品安全委員が、20カ月齢以下の牛を全頭検査の対象から除外することを答申、これを受けた政府も米国産牛肉の輸入再開に踏み切ってしまった。米国産牛肉&加工品の輸入は、カナダ、メキシコ、韓国に次いで日本は第四位(輸入額約19億円=3855トン)。
米国産牛肉の輸入再開は、単にBSEの恐怖だけではなく、日本の食肉業界、畜産業界から農業に至る非常に深い問題だった。それだけに、無制限に近い輸入再開が将来、さまざまな面から日本を破壊してしまうのではないかとの恐怖を感じてしまう。
それでは、日本国産の牛肉は絶対安全なのだろうか。今年(2008年)7月には、これまで政府が補助してきたBSE検査が打ち切られることが決まっており、県によっては検査を打ち切る可能性もあるのだ。
日本の「食」を考える
国産牛肉はBSEの問題さえ解決できれば、極めて安全で美味なものだと多くの人が考えているが、本当だろうか。これに関して奈良県在住の日本食研究家のI氏はこう警鐘を鳴らしている。
「霜降り和牛などがもてはやされていますが、実は霜降り和牛は簡単に言えば『高脂血症』の最たるもの。現在は生後2年〜3年(24〜36カ月)の子牛が食用にされていますが、それ以上生き延びられない悲惨な状態の牛なのです。そんな牛肉が人体に良いわけはない。BSE牛より怖いものだと認識したほうが良いでしょう」
じつはこの問題は牛肉だけに限ったものではない。豚も鶏も、そして養殖魚などにも同様な指摘がなされており、「危険な食材」が巷に溢れ返っている現実を教えてくれるものなのだ。
読者諸氏のなかには、「自分は菜食中心で、しかも低農薬、有機農法の畑でとれたものしか食べないから問題ない」と胸を張っている方がいるかもしれない。しかし、自然農法野菜にしても、決して万全とは言い難い。
北海道中央農業試験場が行った「旬の時期に有機農法で育てられた野菜のビタミン」を計測した結果が報告されている。それによると、「ホウレンソウ」の場合、1950年には100g中にビタミンCが150mg、ビタミンAが8000IU、鉄分が13IU含有されていたのだが、この数値が1982年にはビタミンC65mg、ビタミンA1700IU、鉄分3.7IUに減少していたという。32年間でビタミンCは43%に、ビタミンAに至っては21%に減少しているのだ。ニンジンの場合も、ビタミンCが10mgから6mgに、ビタミンAは13400IUが7割減の4100mgまで落ちてしまっているのだ。
(注:「IU」とは脂溶性ビタミンなどの効力を表す国際単位)
どうしてこんな結果になったのか。それは土壌が痩せてしまったためである。戦後、日本の農業に対して、「チッソ・リン酸・カリ」さえ与えておけばいいという間違った概念が適用され、それが今日まで続いているからだ。
「野菜の味が薄くなった」「ホウレンソウやニンジンが、独特の味を失った」と感じられている熟年、老年世代が多いことは、この事実をよく物語っている。そして残念なことに、40歳代より若い層は、昔ながらの野菜の味をほとんど知る機会もないのだ。
マクガバン・レポートに学べ
炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルは「必須5大栄養素」と呼ばれる。食事によってこれを摂取しなければ、人間は生きていけない。炭水化物、脂肪、タンパク質に関しては、平均的な日本人は十分な量を摂取している。強いて言えば人によりタンパク質が不足している場合もあるが、多くは問題がないだろう。
問題はビタミンとミネラルである。ビタミン類は多くの食品にほどよく含まれており、ビタミン不足がさまざまな病気の原因となることが知られているため、不足することは案外少ない。またビタミンが不足した場合、体内で合成したり、ミネラルの力で代役を果たす場合もある。問題となるのはミネラルの不足だ。
1977年当時、米国民の中に異常とも思えるほど病気が増え、とくに心臓病の疾患が多かった。当時、米国全体の医療費は25兆円とされ、これが米国経済を逼迫させる一因でもあったのだ。この問題を解決しようと作られたのが「国民栄養問題上院特別委員会」で、この特別委員会は7年の歳月をかけて膨大量のレポートを提出した。このレポートは一般には、特別委員会の委員長だったマクガバンの名をとって「マクガバン・レポート」と呼ばれている。
マクガバン・レポートの全文は5000ページ。電話帳にも匹敵する量なので、それを短く表現することは難しいが、以下に僅かだけだがご紹介してみよう。
・ニューヨークの児童100万人を対象にした「標準学力テスト」
(1977年〜1981年)
平均点数=39点
1年間、脂肪酸、砂糖を減らし植物繊維を多く摂取させた。平均点が47点に向上。
2年目、さらに合成着色料、甘味料を完全一掃させた。平均点は51点に上昇。
4年目、合成保存料入りの食品を完全に一掃させた。平均点は55点に上昇。
・バージニア州の少年院における300人の少年の食事(1981年)
炭酸飲料を廃止し、フレッシュ・フルーツジュースに換えた
結果、少年院内における喧嘩・脅迫・反抗・さらに自殺等のトラブルが48%減少。
・ワシントンDCを中心とする全米12カ所、8000人の少年院の食事
(1983年)
炭酸飲料を廃止し、フレッシュ・フルーツジュースに換えた
結果、少年院内における喧嘩・脅迫・反抗・さらに自殺等のトラブルが47%減少。
以上のデータから上院特別委員会は、「少年たちの行動や心理を変えたのは食事の中にある何か」との推論を導き出し、凶悪粗暴、学力劣等な少年たちに共通して不足いる栄養素が、ビタミン5種、ミネラル4種の計9種であると結論づけたのだ。
このレポートに基づき2000年に入ってから、児童80人をテストした結果も報告されている。40人に通常の食事以外にビタミンとミネラルを十分に与え、残り40人には通常の食事と偽薬を与えてその差異を確認しようとするものだった。結果、ビタミンとミネラルを与えられた者たちは与えられなかった児童たちに比べ、47%の比率で学力向上、反抗的行動の減少が見られたという。
これで単純に、ビタミンとミネラルが人間の脳や心理にいかに働きかけるかが理解できる。また、その他の数多くの研究により、ミネラルは体内に入って活性酸素を初めとする有害物質と結合して、中和、解毒することも判明している。活性酸素とは、一時、すべての病気の原因と騒がれた悪玉。現実にミネラルを摂取することで体内機能が活性化することや、ときに癌細胞すら除去する例も報告されているのだ。
ビタミンは体内で合成することが可能だが、ミネラルは合成することができない。また、ビタミンが欠乏した場合、ミネラルが補完することが可能だが、ミネラルが欠乏した場合には代役を果たすものがいない。米国では現在、45種類のミネラルが「必須ミネラル」とされているが、日本の厚労省では12種類を「栄養表示基準」として並べているだけなのだ。
ただしミネラルの場合、過剰摂取はさまざまな過剰症を引き起こすため、サプリメントなどで摂ることはお薦めしにくい。
本来すべての食品とくに野菜類に多く含まれているミネラルだが、戦後の農地改革でチッソ・リン酸・カリを与え過ぎた日本の土壌は、多くは「肥えているがビタミンとミネラルが欠乏した」土壌になってしまった。土壌そのものが高脂血症でありメタボなのだ。ここで頼りになるのが「塩」である。ただし、純度99%を越えるような精製塩では何の意味もない。体内の塩分を増やすだけで最悪のものなのだ。
ミネラルをふんだんに含んだ本来の塩――。それこそがあなたを救ってくれる。深海水から取られたものや南極から取られたものである必要などない。ごく普通の、ごく当たり前の塩。それが全身を見事に蘇らせてくれる。
塩にだけは、多少のカネをつぎ込むくらいの覚悟は、ぜひ持っていただきたいものだ。■
|