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新世紀初頭から揺れる国会

 財団法人「ケーエスデー(KSD中小企業経営者福祉事業団)」から一千数百万円を受け取っていた疑いで、元労働政務次官・小山孝雄参院議員が逮捕された。さらに一月二三日には、秘書がケーエスデーから資金を受けたとされる額賀福志郎経済・IT担当相が辞任。村上正邦・自民参院前会長を含め、ケーエスデーを巡る汚職収賄事件はさらに広がる見通 しとなっている。与謝野馨・元通産相の関与まで噂にのぼっているほどだ。ケーエスデーからは総額20億円が政界に流れたといわれ、その裾野の広がりは果 てがないほどともいわれる。

 また、この事件とは別に外務省幹部が外交機密費を私的に運用していた事実が判明。河野外相は「外務省幹部による報償費(外交機密費)流用を含め、外交に関するすべての問題の最終責任が外相にあることは言うまでもない」と、自ら責任を取る覚悟であることを表明している。

 実は機密費を私的運用したのは、要人外国訪問支援室長だった松尾克俊(55歳)という人物で、外交機密費6億円のうち3億円近くを私的に運用。高級マンションのほか、競争馬まで購入していた。しかもこの競争馬の牧場は、河野外相の非常に近い親戚 が経営している牧場で、その事実も近々発覚する恐れがある。その前に河野外相の辞任という筋書きが考えられるが、そうなると森政権の存続は非常に厳しいものになる。恐らくマスコミに責められた末に崩壊といった結果 となるだろう。

 こうした背景を隠して訪露した河野外相は、一月十六日にイワノフ外相と会談、北方諸島の帰属問題に言及したが、実はロシア側には河野外相や森首相の立場は既に悟られていた。翌日にはプーチン大統領は河野外相との会談を拒否、いったんは二月下旬に内定していた森プーチンの首脳会談のスケジュールも一カ月遅れる運びとなった。ロシア側にしてみれば、辞任の可能性大の外相と話す気もなければ、死に体の首相と会談する気もないといったところなのだ。


ブッシュ新大統領の対日政策

 ブッシュ新政権は日米同盟の強化を一段と進めてくる。リンゼー大統領補佐官は「日本へのいわゆる(米国からの)『外圧』を控え、協力関係の強化に力を入れる」(一月十九日ロイター電)と一見ソフトムードの言葉を使っているが、その実はわが国の景気回復と構造改革への「予想以上の介入」(外務省談)が考えられる。

 対日関係の実質的な責任者としては、元駐日大使のアマコストの登用が想定される。アマコストはフィリピン大使時代にマルコス追放の政変を仕掛けた人物で、駐日大使時代には小沢一郎の自民下野を画策したCIA出身の外交官。親日家といわれるが、ブッシュ大統領の片腕として、強引にわが国の構造改革その他を仕掛けてくることは間違いない。

 新世紀を迎えた今年一月六日、戦後のGHQによる内務省解体・陸海軍省廃止以来ほぼ半世紀ぶりの省庁大改革が実施された。これまでの一府二二省庁から一府十二省庁への再編である。森首相自身は一月六日に、「行政改革の一環であり、国のために尽くしてきた行政組織を融合させ、新しい方向を目指して国民本位 の行政機関になるようみんなで頑張る」とその決意を語ったが、省庁再編もまた米国からの「外圧」以外の何ものでもない。

 米新政権が今後わが国に求めてくるものは、
一、憲法改正
二、情報の共有(日米パートナーシップ)
三、日米共同市場促進

 の三点だとされる。とくに「情報共有」はアーミテージ元国防次官補による「アーミテージ・レポート」の存在が大きい。一月二二日の産経新聞では「米国政府が日本に対し安保政策の一環として日本の集団的自衛権行使や憲法改正までも歓迎するという姿勢を示したことは戦後の日米関係史でも例がない」と記す一方で、米新政権の対日政策がアーミテージ・レポートに準拠していることを主張している。

 こうした米国の姿勢は、結局のところ、対ユーラシア政策(対中国、対インド政策)の延長にある。対中・対印を考慮したうえで、日本を米国の一員と位 置づけようとしているのだが、それはわが国に対し「アジアの一員」の意識を捨てることを求めているのだ。

 明治維新以降わが国は、欧米の「西欧覇道」と中国(支那)の「東洋王道」の狭間で揺れ動いてきた。さまざまな力関係が働いたにせよ、大東亜戦争の深因もここにあった。この戦争の意味や価値については幾多の議論が必要ではあるが、根源的に西欧と東洋の文明衝突という歴史的意義があったことは事実である。その歴史的意義を忘れさせられた新世紀になって、また再び米国がわが国を非東洋と位 置づけるところに不思議な因縁を感じる。

 西欧覇道か東洋王道か。かつて孫文が神戸で行った演説に対し、未だわが国は答えを用意していない。――われわれは西欧覇道の道を歩むことはない。同時に東洋王道も歩まない。われわれが求めるのは大和皇道(日本主義)である、と記者は主張したいのだが。


ニューエコノミーの破綻

 米新大統領にブッシュが決定した直後から、米株式市場は急激な乱高下を繰り返し、わが国だけではなく世界中に影響を与えている。わが国経済の先行きを考えるには、米国の状況を把握する必要がある。

 ブッシュは財務長官に産業界の大物、アウコア社会長だったオニールを起用した。そして同時に景気悲観論をぶち上げ、早くも民主党陣営と論争を開始している。ウォール街からではなく産業界から財務長官を抜擢したブッシュ共和党は「ニューエコノミー幻想」との訣別 を主張している。ここがポイントである。

 ニューエコノミー(新経済)理論とは十年前にFRBグリーンスパン議長が提唱した理論で、IT革命の功もあってクリントン政権下の8年間に米国はニューエコノミー先進国の地歩を固めた。ニューエコノミーとは極論すれば、利益、利子、投機といった金融利潤を極度に重視する資本主義である。短期に利益をあげられない企画は無価値とされ、半年、1年で結果 を生む企画のみが生き延びる。在庫を可能な限り抑え、あらゆる規制を緩和撤廃してすべてを市場中心主義に置き換えるものだ。

 ニューエコノミー理論はわが国にも強い影響を与え、金融利潤を求め、在庫を減らし、価格崩壊と呼ばれる現象を生み出していった。

 だが、ニューエコノミストたちから「オールド・エコノミー(古い経済学)」と揶揄された経済学者たちからは、かなり早い時期からニューエコノミーの本質が暴露されていた。M・ウェーバーが「パーリア(客人)資本主義」と呼んで忌避した、いわば「寄生(パラサイト)経済」がニューエコノミーの本質なのだ。これに対してオールド・エコノミーは「実質(リアル)エコノミー」なのである。

 IT革命の本拠地ともいわれる米カリフォルニア州で現在、深刻な電力危機が訪れている。電力会社が価格競争と短期の利益捻出を強いられたため、設備投資やメインテナンスがおろそかとなり、ついに需要急増に追いつけず供給制限となってしまったのだ。

 ニューエコノミーをこれ以上続行すれば、富は極端に偏り、貧困に喘ぐ一般 大衆と一握りの大金持ちが誕生する。ブッシュ新大統領はそれを理解して、オニール財務長官の下、ニューエコノミーとの訣別 を図っている。米国に実体経済が蘇り、同時にわが国にもそうした流れが復活してこない限り、わが国経済の浮上はない。

 投機や金利など、真の富とは無縁である。「額に汗水たらして…」という姿にこそ、本来の労働価値があることを一人一人が認識すべき時代に戻るということである。

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