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田中真紀子外相の就任
新世紀に突入した今年、世界は微妙な蠢動を開始している。中東は最終的には、今秋から来年早々にイスラエルによる本格軍事戦に突入する兆しにある。アフガンのタリバンに刺激されて、アジア各地で紛争が勃発。またインドネシアやフィリピンも国家崩壊の危機に直面
している。ロシアはインドとの関係を強めるいっぽうで中国、米国とも独自の外交戦を有利に展開し、米ブッシュ政権は中国との全面
対峙に向け、ベトナムのカムラン湾使用を画策している。さらに危険な状況が朝鮮半島に見られる。
朝鮮半島では百年に一度という大旱魃に見舞われているが、この天災に政府が対応しきれない人災が加わり、食糧不足は悲惨を極める状況にある。旱魃は中国東北部にも及び、支那北京政府は北朝鮮支援を行う余力を持っていない。それでいながらブッシュ政権の圧力を跳ね返すべく、台湾治世下の諸島への軍事攻略のデモンストレーションを行ったり、南沙諸島近辺での軍事演習を行っている。江沢民体制は来年で終わるが、その後の展望が見えない現状が北京政府全体を覆っている。
ユーラシア大陸一元支配という寡頭権力の目論見があるためだろうが、アジア全域は非常に厳しく難しい局面 を迎えている。こうした状況の下に誕生した小泉政権は、米アーミテージ・レポートに準拠した外交姿勢を取るものと、世界中の誰もが思っていた。(本紙既報)
この難局を前に、わが国外交の先頭に立って舵取りを行う役割を自覚し、決意を以て自ら望んで外相に就任したのが田中真紀子である。
もともと田中真紀子は、ひと言でいえば「わがままお嬢様」であり、西太后も舌を捲く猛女と評されていた。その行動、発言はときに病的に感じられ、一部には本気で彼女を病人扱いする者たちがいることも事実である。そんな田中真紀子が、自ら望んだとはいえ、小泉政権の中枢である外相に就任したのだから、彼女が小泉政権の獅子身中の虫になると危惧する与党関係者も多かった。
そして、予想より早く、田中真紀子は馬脚を現すことになってしまった。
「日米安保に安易に頼り過ぎた。日米安保は転換点にある」と、外国の外相との席上で発言した内容が報道され、追及されたこともあった。
彼女の認識が正しいか否かは議論の分かれるところだろうが、それは政治家としては評価されるべき認識であり、細部に及ぶ彼女の論には多々納得できるものがある。
しかしそれは外相として公式発言すべき内容のものではない。
明らかに田中真紀子の勇み足であり、外相としての資質を問題視されても文句は言えない。また同時に、外国外相との会談内容が簡単にマスコミに漏洩したことは、明らかに外務官僚によるリークであるが、公務員の守秘義務違反問題を棚上げしていることは異常事態である。橋本元首相ですらオーストラリア外相との会話をリークしており、田中発言を問題視するマスコミ報道と、田中批判を展開しようとする政権内部の権力抗争は歯止めのない様相を見せ始めている。
ワイドショー感覚
さる六月十八日には、田中真紀子外相は訪米してパウエル国務長官との日米外相会談を取り合えず成功裏におさめた。これは正直なところ、米側に助けられた外相会談であったことは否めない。米側は会談途中でブッシュ大統領を登場させたりチェイニー副大統領までも顔を出すといった最大限のサービスを行っている。田中真紀子人気を十分承知したうえで、日本のお茶の間の主婦層を取り込んだブッシュ政権のポイントは高い。
米側の予想以上の支援により田中真紀子はポイントを稼いで帰国したが、六月二〇日には衆院外務委で鈴木宗男との対決でまたまた厳しい局面
に晒されてしまった。鈴木宗男がロシア絡みの北方利権を貪っていること、そればかりかアフリカ関係でも莫大な利権を手にしていることは、永田町の常識で、最近はずっと「鈴木宗男逮捕か?」といった情報が流れるほど。警視庁自身もこの風説を否定していないから、あり得ない話ではない。だが少なくとも、田中真紀子は論戦では負けていた。さらに悲しい話だが、田中真紀子は衆院外務委の下地議員等を呼んで鈴木宗男の質問を中止させるよう要請したことが明るみに出て、これについて謝罪する羽目に陥ってしまった。
もはや、政・官・マスコミは「外交」という国益のための手段、国益のための水先案内人への配慮を忘れてしまっている。いま国会やTVワイドショーで展開されている田中真紀子を巡る話題は、異常事態なのだが、国民大衆はこれを異常事態と認識していない。
ところが、田中真紀子への支持は、一向に衰えることがない。逆に、田中真紀子に詰め寄った鈴木宗男に対しては、自民党福島県連、宮城県連が抗議をする始末だった。
冷静に考えれば、田中真紀子は外相としての資質を問われても不思議ではない。いったい国民大衆はなぜ、これほどまでに田中真紀子を支持するのだろうか。
もちろんいくつかの理由が考えられる。田中真紀子がこれまでの女性代議士とは違って堂々と男と対決しているとか、なかには田中真紀子が美人でない所が人気の理由ではないかと述べる者もいる。しかし、田中真紀子人気の原因の一つは、小泉政権を支える人物だという点と、もう一つは外務省解体に向けて精一杯頑張っているという姿勢だろう。
松尾室長による外務省機密費不正使用問題以降、国民大衆は外務省が魑魅魍魎の巣窟であることを感覚的に理解してしまったのだ。この外務省、外務官僚を正さない限り日本に未来はない。大衆はそう判断している。
田中真紀子が正しいことを言っているのか、外相としての資質があるのか、などということは誰も考えていない。田中真紀子が外務省を解体することを望んでいるのだ。
じつは、それこそ小泉純一郎の狙いだと思われる。
小泉は離婚時に二人の男児を引き取り、三男は別れた元妻の下にやっているが、そのことは小泉の女性不信の現れだと言われている。事実、小泉純一郎の女性不信は相当なもののだと、永田町筋では有名である。そんな小泉である。たとえ田中真紀子であろうが心底から信じているわけがない。
外務省解体――。そのデストロイヤー(破壊者)として田中真紀子が指名されたのだ。そして田中真紀子には父の代からの怨念がある。橋本派すべてに対する狂おしいまでの怨念だ。聞くところによると彼女はかつて、ほんとうに「丑の刻参り」を行い、橋本派の数人を藁人形にして釘を打ちつける行為を続けたという。その青白い怨念の炎が、今の田中真紀子を突き動かしている。鈴木宗男のように、カネに対する執着心から声を張り上げているわけではないのだ。
本紙自身、現外務省を解体させようとする田中真紀子を支持したい。彼女の資質を疑問視しながらも、それでも敢えて本紙は田中真紀子の言動をできる限り応援したい。
だが、読者諸氏には重々ご承知おきいただきたいこともある。
この国を本格的に改革していこうとする小泉政権や田中真紀子を応援することは良しとしよう。しかし、その単純な発想が、今夏の参院選、そしてやがて来る衆院総選挙に自民圧勝をもたらして良いものかどうか。
鈴木宗男もまた、自民党員なのだ。そして鈴木宗男同様の自民党員は山ほど存在している。ここを見極めない限り、小泉純一郎は孤立して惨死するしかなくなる。
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