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外務省のラスプーチン、佐藤優


  鈴木宗男に加え、ここのところ外務省には 「魑魅魍魎」の類に事欠かないかの様相が、マスコミ報道でえがかれている。

 佐藤優 (42)は、外務省国際情報局分析1課主任分析官の職にあったが、「自民党唯一の外務族」鈴木宗男の30回に及ぶ外遊のうち19回に同行したこと、ならびに北方領 土「2島先行返還論」を鈴木と独自の対ロシア外交で進めようとしていたことなど で、「共犯者」「癒着の象徴」とみなされ、いまや新聞や週刊誌、テレビでやり玉にあげられるとともに、人事面でも閑職の外交資料館への配転処分を受けている。

 引き続き佐藤は、一部マスコミより「妖怪」「悪党官僚」よばわり」されている。 たしかに、国益よりも自分の後援者の経営する企業に「対ロシア人道支援事業」関連工事を受注させたり、ODAや難民支援事業を利権の具としても恥じない鈴木のような売国奴と「二人三脚」した愚は、弁解しようもないものだろう。

 しかし、鈴木や佐藤を批判する記者たちが一様に「不思議」がることがある。それは、佐藤がまったくといってよいほど、利権の恩恵を被っていないことである。

 ある外務省づきの新聞記者は、佐藤について「まったくしゃれたところもないのは、外務省キャリア組とは好対照だね。しかし、ロシアの話に関しては彼の右に出る者はいない。語学力にしてもそうで、彼はロシアの中央発行紙をすべて読み切って、 日本関連記事をファイルしている。いうなれば、ロシアお宅というところか」と述べている。

 鈴木宗男を身近に知っている筋も、「佐藤君は、鈴木議員が彼らの慰労のためにもうけた席で酒を飲ませてもらうことはあっても、金品を受け取るようなことは ないと思うよ。彼の興味の対象は、カネや女よりロシアだ」とまで云っている。

 本紙はさらに、かつて外交の中枢部にあった複数の筋から、佐藤について次のような話の提供を受けた。

(1)佐藤は、近年のわが国の対ロシア外交の中で特筆すべき活躍をしてきた。外交 の基本は、「情報網」づくりだとして、ロシア各界の要人多数に彼ほどのパイプを築いた者は、西側外交官には彼をおいて存在しない。彼が在モスクワ大使館勤務を終了する 際、ロシアの政府要人はもとより、「右派」共産党や著名な文化人が多数参集して盛大なお別れ会が行われたのは、日本外交官としては他に例がない。

(2)プーチンが大統領就任後、北方領土問題を棚上げしようとした時、佐藤は外務 省の「巻き返し作戦」の中心となって、大統領ブレーンに果敢な工作を展開した。佐 藤は、KGBの法律担当官であったプーチンらしく法曹関係者からなる取り巻きたち に国際法上の占領根拠問題などで理論闘争をしかけた。その際の1つの切り札とし て、「2島先行返還論」を構築したが、これはある野党党首がのべた理論を基礎にしたもので、自民党・与党筋から出た発想ではない。

 こうした活動の中で、与党の中で「売り出し中」だった鈴木に目をつけたのは、佐藤の方だったという。利権が動機だったとはいえ、アフリカであろうが、ニュージーランド、はてはロシアにいたるまで動くことに臆しない鈴木宗男は、佐藤にとって誰よりも「使いやすい自民党有力議員」であったという
(与党有力者の多くは、何より もアメリカ詣でをこととしている)。

 こうした八面六臂の活躍をする佐藤を本当の意味で使いこなせる者はいなかった。 むしろ、キャリア組(佐藤は、ノンキャリである)は妬みをつよめ、失脚を狙っていたようだ。しかし、今回の佐藤排撃なは、別の力が働いていた疑いが濃厚である。

 い まの時点でえられる情報では確証がつかめないものの、この間の外務省をめぐる騒動には「日本がアジアで独自外交を展開する事を望まない」勢力の蠢動がかなり感じられるのである。

 先日、国会で話題になった外務省機密文書(その信憑性を川口外相は、小泉総理に対して確認して報告した)は、なぜか前触れもなく、複数の野党議員の事務所ポスト に鈴木に対する衆議院の参考人質疑の当日朝、投げ込まれたものだという。

 そんなことを「正義感にかられた者」がやることだろうか。大きな視座で国益を見ないなら、今日の騒動は最終的には、与野党と国民がこぞって、共に日本の墓穴を掘っていくことになりかねない。もう1度、はっきり言おう。「笑っている者は誰か」を、しっか り見据えなくてはならない。

 

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