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川越市・蝕まれゆく「市街化調整区域」 「悪徳業者にヒントを与えたくない。記事にしないでほしい」 高橋土建営業所問題で明らかになった「条例の盲点」を突く 約9億円の「錬金術師」神田寿雄市議の脱法資産運用! (プリントアウト用はこちら) 昨年11月号にてお伝えした川越市の建設業者・(株)高橋土建の新事務所建設で浮上した違法建築疑惑……。本紙はこの問題を詳述することにより紙面にて、悪質業者の違法建築を40年も見過ごしてきた川越市に対し、同社新事務所の取り壊し命令や市民に対する文書による謝罪を求めた。
平成22年の初春、川越市は高橋土建違法事務所問題に対しどのような姿勢を固めたのか。「40年変わらぬいい加減な姿勢」で、この問題の風化をじっと待つだけなのだろうか。本紙のインタビューに対し市が打ち明けたのは、「川越市開発許可等の基準に関する条例」(以下「市条例」)が事実上踏みにじられている現実だった……。 高橋土建・事務所違法建築疑惑 いま一度川越市に問われるべき2つの怠慢高橋土建の自社事務所をめぐる違法建築問題。一昨年3月、同社は社内敷地(当初は農地)の旧事務所を解体し新事務所を建設した。だが昭和43年以前に建てられた旧事務所には、農地法違反疑惑をはじめ建築基準法・都市計画法違反疑惑が明らかになった。おそらく同社創業時(昭和42年)に建設されたと思われる旧事務所は40年間、一度も合法的存在ではなかった疑いが浮上したのである。 同時に40年間、川越市公共工事指名業者でもある同社の旧事務所に関し、建築確認の書類審査、および建築確認後の確認検査を怠るなど、ずさんとしか言いようのない対応を繰り返してきた川越市側の責任も浮き彫りになった。 建設から解体に至るまでの、同社旧事務所の疑惑に満ちた歴史は既報記事を参照していただくとして、年も改まった現在、本紙は40年もの違法建築物を「救済する」という意図で一昨年、同社に対し新事務所の建設を許可した川越市の対応と責任を、いま一度厳しく追及しなければならない。 同社違法事務所問題で、川越市が責任を問われなければならないポイントは少なくとも2つある。ひとつは昭和52年における市の確認ミス。高橋土建が調整区域に建てられている同社事務所を拡張(事務所兼倉庫)する際に、都市計画法に基づく開発行為の申請もないまま、建築基準法の許可申請だけを川越市に提出したのだが、市はこれを受理し許可を与えているのだ。開発行為の申請のない同社に対し、なぜ川越市は建築許可を与えたのか。昭和52年当時では、調整区域に事務所を建てることはできなかったはずだ。このとき同社の代表者が川越市議会議員(当時)高橋初男氏であったことから、同氏による市に対する何らかの働きかけがあったのでは、との疑惑も生じている。 もうひとつは一昨年(平成20年)、同社が川越市に対し都市計画法に基づく開発許可を申請した際の、市側のずさんな確認。高橋土建は農地→調整区域に40年間存在した同社旧事務所に対し、解体・新築するにあたってはじめて都市計画法に基づく開発許可等の申請を提出したわけである。 問題は川越市がこの申請に許可を与えたことだ。市によれば審査の際、過去に撮影した航空写真を用いて「実際に20年前(昭和52年)から存在した建物かどうか」を判断し、確かに存在が確認できたので許可した、という。市が確認したのは旧事務所の「物理的存在」のみ。「法的存在」の確認はまったくしていなかったのだ。くだんの建物が合法建築物だったのかどうかについては、都市計画法開発許可申請者の添付書類をチェックしさえすれば明らかに違法が確認できたにもかかわらず、市はこの書類確認を怠った……。そうとしか言いようのない、ずさんな形で同社に開発許可を与えたのである。 「開発申請に許可を与えないわけにいかなかった」(川越市) プロなら知っている!? 川越市条例第7条第3号の「盲点」 「悪用されるといけないので、書かないでほしい……」「高橋土建は、我々川越市が確実に開発許可を下ろす、下ろさざるを得ないことを知っていた。むこうもプロだからね……」 高橋土建に対し、現事務所(一昨年新築)の強制的な取り壊し命令を出す意志はあるのか、という本紙の問いに対し、市開発指導課職員は「取り壊し命令は考えていない」としたうえで、こう嘆息混じりに答えた。 「我々としても、高橋土建の開発許可申請を却下することはできなかった。なぜなら『市条例』に完全に合致しているからだ。そして実を言えばこの市条例こそ、いま我々が頭を痛めて改正しようと考えているものなのだ」 もう一度、市条例第7条第3号審査基準を見てみよう。高橋土建の旧事務所に適用される記述は、「現に存する建築物が建築後二十年を経過している場合」「現に存する建築物と用途が同一の建築物」だけである。違法建築に対する言及はどこにもないのである。 市条例のベースとなっている県条例(埼玉県都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例)第7条第4号も同様。ここにも合法・違法の区別はない。 ところで本紙は昨年、市開発指導課が「市条例は県条例をベースにしたものであり、高橋土建の申請に対し、市はあくまで『救済措置』として許可した」という証言と、あわせて埼玉県側の「県条例は『違法建築を認める(救済する)』ための条例ではない。もし川越市がそう述べているとしたら、明白に誤りだ」とのコメントを並列して紹介。市側の「救済措置云々」とは、同社旧事務所に対する法的確認を怠ったことに対する、苦し紛れの言い訳ではないのかと報じた。 「そう受け取られるのは仕方がない。我々も県条例を参考に市条例を作成する際、なぜ違法建築物を例外とする記述がないのか、その理由を考慮せざるを得なかったのは事実だ。考えられる一番の理由は『あえて省いている』……つまり建築物に対し厳密に定義づけせず『解釈の余地』を残している、ということだった。この場合の解釈の余地とは、つまり『救済措置』だ。不動産業者の介在で善意の第三者が半ば不可抗力的に違法建築物を所有してしまうことはままある。県条例にはそうした事例を救済するための、解釈の余地が残されていると判断し、これをもとに市条例を作成したというのが我々の立場だ」 条例の作成に携わる行政のプロの感覚として、合法性にあえて言及していない条文はたいていの場合、厳密すぎる規定を避ける目的を暗に有しているという。しかしそれが高橋土建のケースと、どう関係があるのだろうか。 「むろん高橋土建のケースは『善意の第三者のケース』とはまったく異なる。同社の旧事務所が農地法違反にはじまり、建築基準法・都市計画法にも違反していた可能性があることは我々も認識している。 しかしながら、すでに作成し公布した市条例には、現実問題として建築物の違法性を問うていないのが事実だ。したがって現在の条例のもと、高橋土建が開発を申請してきたならば、市としてはこれを許可しなければならない。高橋土建に対してのみ『貴社の旧建築物に違反が見られたので許可できない』とは言えない。言ったら大変なことになる。条例運用に際し市が恣意的に付加作業を行い、申請者を差別していることになってしまうからだ」 さらに同課職員はこう付け加えた。 「逆に言えば、高橋土建には最初からわかっていた。彼らの開発申請を我々が拒否できないことを、ね。彼らもプロだ。条例をよく読み、『勝算が十分にある』からこそ申請してきたのだ。つまり市条例第7条第3号審査基準の盲点……市街化調整区域を守るシステムの、いわばセキュリティホールを突いてきた、という言い方もできるかと思う。だからこれは我々の希望なのだが、このことは記事にしないでほしい。条例の盲点を、わざわざ業者に教えられたくないからだ」 むろん本紙が市のインタビューを掲載するのは、建設業者の悪用に供するためではない。だが高橋土建の違法建築問題をいったん報じた以上、問題の根源だけを覆い隠すわけにはいかない。むしろ「条例の盲点」を明確にすることにより、市側に対し早急な是正を求めるのが本紙の立場である。 あの「悪徳市議」がまたやった!えげつない「資産運用」 有名無実化する市街化調整区域に建てられた 「錬金術師」神田寿雄市議の「脱法仕様?賃貸住宅」ならば、市は高橋土建の違法建築事務所問題をこのままで済ませるのか。今後、類似のケースが現れた場合、やはり市は「違法建築であることを知りつつ」申請されるままに開発許可を与えるのか。 「今後このようなことがないよう対応していかなければならないと我々も考えている。そのため市条例の大幅な見直しを検討している。もちろん『第7条第3号』も重要な見直し対象だ。しかし本当のことを言うと、それ以上に大きな問題を抱えているのが『第5条』だ」 市条例第5条……。市街化調整区域における建築物の用途を定める短い条文である。「市街化調整区域」とは都市計画法第34条によって定められた、市街化を抑制すべき区域をさし、開発行為および都市施設の整備が原則的に抑制される。簡単に言えば、市街化調整区域では原則として新たに建築物を建てる、あるいは増築することができない。ただし例外として「農林漁業の用に供する建築物及び農林漁業従事者の住宅」や「公益上必要な建築物の建築」(老人施設や保育所などの福祉施設)は建築が認められている。 共同住宅とは、出入り口、廊下、階段などを共用する集合住宅を指す。各戸が完全に独立し、共用の出入り口、廊下や階段を持たない長屋とは異なり、特殊建築物である。(建築知識2006年1月号) ところが実際には、各地方自治体によって建設可能な建築物の種類は変わる。川越市の「市条例第5条」の内容を簡単に説明すれば、同市では住宅(一戸建て住宅)や事務所兼住宅、共同住宅(かこみを参照)、寄宿舎、下宿であれば、市街化調整区域に建築することができる。 ところで、写真をご覧いただきたい。  
<川越市大字笠幡の市街化調整区域に建設されたアパート。所有者は神田寿雄川越市議だ> これは昨年、川越市大字笠幡の市街化調整区域に建設された、ある建築物だ。誰がどこから見ても一般的に「アパート」と呼ばれる集合住宅であり、実際に集合住宅としてすでに入居者が生活している。 だが注意深く見ると、いわゆるアパートとは微妙に造りが違っている。白い車が停まっている玄関先の写真に注目していただきたい。廊下や階段など、一般的なアパートにある共有部分が存在しないまま、各戸が連続して建てられている。玄関は全部で4つだが、階段は外からは見えない。ドアをあければ、そのまま建物の外に出られる構造だ。 これは「アパートは不可」とする川越市の市街化調整区域に、実質的に賃貸アパートを建設するために設計された特殊な「長屋作り」の建築物。ある大手住宅建設業者が、特に川越市の市街化調整区域のために設計した「脱法仕様」と呼ぶべきアパート、と言われている。 この「長屋」と称する脱法仕様アパートの所有者は、現職の川越市議である神田寿雄氏だ。神田市議といえば直ちに思い出されるのが、本紙がかつて詳細にお伝えした「県住川越笠幡団地をめぐる約9億円の錬金術」。神田市議がかつて川越市の幹部職員だった当時(昭和63年前後)、助役の村上貞夫氏と共謀し偽の県住計画を立案。不動産業者「郷土開発」前社長の細谷金作氏(平成18年に詐欺容疑で逮捕)や市役所内部の同僚らをパートナーとして、自己が所有していた二束三文の山林を、約9億円にまで値をつり上げ埼玉県に買い取らせた疑惑の主こそが、まさに神田寿雄氏である。 神田市議の反市民的行為はこれだけではない。彼はかつて川越市が運営する第三セクター、川越都市開発(株)の専務取締役時代、早くも就任初年にして交際費341万円を使い込み、ゴルフやスナック遊びにふけるという悪事に身を染めていたことも判明。この問題は平成13年12月の川越市議会で取り上げられ、神田氏就任時期の交際費が、他の年度と比べて段違いな高額に達していたことが暴露されたこともある。とにかく「カネに関する疑惑」の絶えない、川越一の悪徳市議と呼ぶべき人物だ。 その神田市議が所有しているのが、市街化調整区域に建てられたこの脱法仕様賃貸アパートだ。もちろんこの賃貸アパート、川越市条例からすれば「違反建築物」ではない。川越市の現在の市条例では「アパートは不可でも長屋はOK」とされるからであり、現に本紙の取材に対しても、市は「長屋は建てられる」と回答している。 なお「長屋」とは、建築基準法においても特に定義されないまま一般的に使用されている言葉である。 江戸のような近代社会ならともかく、現代において「長屋を造る」と開発登録簿に記入するのは、それだけで十分に「法の網の目」を意識していると考えられる。神田市議はなぜ開発登録簿の用途欄にアパートではなく、あえて「長屋建」と記したのか。言葉のすり替えだけで違反が違反でなくなることを、十分に熟知していたからに他ならない。 だが、都市計画法の根本からいえば、長屋であろうと集合住宅であろうと本来はダメ。先に述べたとおり「農林漁業の用に供する建築物及び農林漁業従事者の住宅」か「公益上必要な建築物の建築」以外は、原則不可である。事実、全国各地方自治体の多くが市街化調整区域における建築物の用途に「共同建て及び長屋建てでないこと」を明記している。だが川越市の条例にはこの記述がない。 市が本紙に述べた「市条例第5条の問題点」とはすなわち、現状の条例では市街化調整区域が有名無実化しつつある、ということなのだ。 法や条例の目をかいくぐって資産運用に精を出すなど、市民から選ばれた現職市議がやることでは決してない。法文に盲点があれば、あるいは盲点を悪用する悪質業者がいれば、議会を通じて市側に注意を喚起するのが、市議会議員本来の役割だ。 市条例の抜本的改正は急務! 中核市の街づくりが無秩序であってはならない高橋土建による事務所の違反建築問題から明るみになった「川越市開発許可等の基準に関する条例」の問題点。先述の通り市側は「この問題を記事にしてほしくない」と述べたが、高橋土建の違反建築を罰する法的手段もなければ、まして現職市議が条例の盲点を悪用しているのである。臭いものに蓋をしたまま、市の「善処します」を無邪気に信じるわけにもいかないのが現実だ。 高橋土建問題については川合市長も「このままにしてはおけない」との意を表明した、とも聞く。本紙が過去記事で指摘した、同市都市計画課の担当職員らが犯した職務怠慢と越権行為も問題とされるべきだ。だが市役所というシステムを機能させる法律・条文に不備があれば、機能不全に陥るのは自明である。市長が掲げる「改革・公正・公開」の「改革」の光が、「開発許可等の基準に関する条例」に強く照射されなければならない。 何と言っても川越市は中核市。条例の作成に関しては県と同等の権限を持っている。県条例をベースにしなければ、条例が作成できないのだろうか。市に問うと、 「現在、市条例第5条、そして高橋土建問題で指摘のあった第7条をふくめ、条例全体の大幅な見直しを図っている。ふたたび県の条例をベースとするのかと問われれば、現状ではまだ決まっていない、としか回答できない。アルゴリズム、大枠さえ決まっていない状態というのが正直なところだ」 では、新条例の作成にどれほどの時間を要するのか。今年中には完了するのだろうか。 市は「それもいま責任をもって回答することができない。以前、条文に一語を付け加えるだけでも約3ヶ月を要したことがある。他の法律・条例等との整合性を取りながら作業を進めなければならず、一朝一夕に可能なわけではない」と述べた上で、こう付け加えた。 「だが我々は問題点(盲点となっている部分)を十分に認識している。我々も行政のプロとして、違反業者が悪用できないようにする、また(高橋土建のケースのように)悪用をチェックする機能をしっかり持たせた、実効性のある条例を作成するつもりだ」 新条例が機能するまでは、現状の市条例が内包する盲点はそのまま残されることになる。開発許可提出による過去の違法建築隠蔽(高橋土建のケース)、市街化調整区域に建てられない建築物を「言葉の言い換え」ひとつで可能にし、調整区域を有名無実化・街づくりを無秩序にする反市民的な利益追求行為(神田寿雄川越市議のケース)……。本紙は今後、こうした「法の盲点」を突くあらゆる反社会的な試みを徹底的に追及する。市が「記事にしないでほしい」と述べた内容を、あえて本紙が読者諸氏にお知らせした以上、それは本紙の責任でもあるからだ。 神田市議についても本紙は引き続き鋭意注視する。本紙はこれまで同市議の反社会的行為を再三問題にしてきた。だが市議らの間に自浄作用はいっこうに働かない。神田寿雄という人物が市議会議員を務めていられること自体が、中核市・川越市の民度を如実に反映しているのだ。市議諸氏よ、恥を知れ。■ |