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東松山市・日本ヘルス官製談合事件 住民監査請求を監査委員が棄却の「謎」! 供述調書に克明に記された「談合の一部始終」 市が監査委員に圧力?市長が落札金額を指示? (プリントアウト用はこちら) 平成18年3月14日に行われた埼玉県東松山市発注の水道事業(市野川浄化センター維持管理業務)をめぐり、平成20年8月には競売入札妨害罪で市職員らが起訴、昨年2月には有罪判決が確定した談合事件に関する供述調書を本紙が入手した。
この事件については有罪判決後の昨年3月、同市の市民団体「東松山市民オンブズマンネットワーク」が、競売入札妨害により市が被った被害として、落札業者と元市職員に対し計約4,448万円の損害賠償を請求する住民監査請求を提出、東松山市監査委員がこれを受理した。 しかし監査委員は「談合の存在を確認できない」「損害が発生したと判断できない」と結論しオンブズマン側の住民監査請求を棄却。この棄却をめぐる監査委員の調査結果、また監査委員そのものに対する強い疑念が生じている。 本紙は入手した供述調書と同市への取材により監査委員の調査のずさんさを浮き彫りにするとともに、表面的な「公正さ」の建前の裏側をあぶりだす。そこには、この談合事件そのものの本質が隠されているのだ……。 「司法が『談合』を明確にすれば他業者に対し措置」(同市)この談合事件で逮捕された同市みどり公園課副主幹や日本ヘルス工業(株)社員らに対する判決(平20.8)で、さいたま地裁・若園敦雄裁判長は「入札制度の根幹を揺るがす不正な行為で悪質。市に余計な出費をさせ、結局は市民に負担させた」と、高荷、篠崎両被告に懲役10月、矢沢被告に同8月(それぞれ執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。また判決理由で若園裁判長は、事件の背景には業務の指名競争入札に応札した業者間で談合して入札額を調整するシステムが成立していた、と指摘。「日本ヘルス工業が実質的に無競争で業務を最低額で受注できることを当然の前提としていた」と、その犯罪性を明確に述べている。 東松山市民オンブズマンネットワークが監査請求を提出したのは、この判決の翌年(平21)3月21日。これに先立つ同年1月に行われた再入札額(1億4,160万円)と談合事件時の落札額との差額7,020万円が市の損失に当たると指摘。元市職員と落札業者に損害賠償を請求する義務をもつ坂本祐之輔東松山市長が請求を怠っていることを違法としたものだ。 すでに市職員らが起訴され司法の場で有罪判決を受けたこの談合事件。だがなぜ、市監査委員はオンブズマン側の監査請求を棄却したのか。そして日本ヘルス工業を談合の「チャンピオン」にした、他の入札参加業者に対して、東松山市はどのような措置を講じたのか。大手全国紙が報じなかった疑問について本紙が同市財政契約課に聞くと、 「市は司法の判断を見守り、日本ヘルス工業社員が平成20年8月に競売入札妨害罪で起訴された時点で、同社を12ヶ月(20年8月8日から21年8月7日)の指名停止とした。だが事件の入札に応札した他業者に対しては措置を講じていない。なぜなら司法の判断は現時点ではあくまで市職員が関与した『競売入札妨害』であり、応札業者どうしの『談合』の存在は確認できない、と判断したからだ」 しかしさいたま地裁の判決は、業者間で談合して入札額を調整するシステムが成立していたことを指摘していたはずだ。だが同課は、 「財政契約課にはこの件に関し独自の調査力もなく権限もないため、監査委員の聴聞に対しても新聞報道をベースにした判断を回答している。司法が判決で談合と認定してくれれば(他業者に対しても)措置をとるつもりだ」と述べた。 供述調書すら見ない監査委員の「調査手法」 参考にしたのは新聞記事と市職員の話だけ!先に述べたとおり、オンブズマン側の監査請求を市監査委員は却下。その理由として「談合の存在が確認できない」「損害が発生したとは判断できない」の2点を挙げている。 だが「談合の存在が確認できない」というのは本当だろうか。この事件に関わった複数の容疑者らによる供述調書に眼を通すと、談合の存在と損害の発生は歴然とするのだ。 「東松山市民オンブズマンネットワーク」の監査請求に対する、同市監査委員の棄却理由を検証すると…… 却下理由① 談合の存在を確認できない。 事実→ 供述調書(甲第8号証)には談合の計画、相談、実行が明記されており、具体的な談合を証明している。 却下理由② 損害が発生したと判断できない。 事実→ 供述調書(甲第11号証)には日本ヘルスの利益を最大に計算したことが述べられている。具体的な利益を3100万円以上と述べており、高額な利益が出ている。 たとえば日本ヘルス社員矢澤弘也容疑者(当時)の供述調書には、他の応札業者に対し自社の入札金額の10%を上乗せした金額を設定したうえで、各業者に電話でその設定金額での入札を依頼した事実が明記されている。日本ヘルスの談合依頼を受けた各業者の担当者の氏名までもがはっきり記載されているのだ。また入札当日にも、 「事前の談合のとおりの金額で入札をよろしくお顕いしますという意味で、よろしくお願いします、と頭を下げて挨拶をし、入札の時間まで待ちました」と、談合が行われた様子が生々しく記されている。 言うまでもなく入札結果はむろん談合のとおり、同社が落札。「談合の話も出た、あるいはそういうシステムがあった」というレベルではない。談合は入念に計画され、応札業者間の了解により確実に履行された。これが厳然たる事実である。市監査委員は、いったい何を寝ぼけたことを言っているのだ? 「損害が発生したと判断できない」という結論も話にならない。同人の供述は売上利益や利益率を詳細に計算し、具体的な利益を3100万円以上と述べており「高額な利益が出たことに間違いありません」と明言している。 供述調書の赤裸々な「犯行記録」と監査委員の結論(監査請求却下理由)とには、あまりに大きな開きがあることは明らかであろう。 監査委員が実際にしたのは、新聞記事や職員からの事情聴取を参考にしただけの判断。供述調書をはじめ判決に関する資料を調査したとは到底思えない。 東松山市は市の顧問弁護士に依頼し供述調書を閲覧するべきであった。監査委員そのものは公平な立場であるため、監査委員から市の顧問弁護士、あるいは知人の弁護士などに供述調書の入手を依頼することはできない。したがって市執行部が顧問弁護士に相談し、供述調書を見たうえでその内容を監査委員に報告するべきだったのだ。 坂本市長に重大な監督責任が問われなければならない。何しろ日本ヘルスは「東松山市以外でも談合をしてきた」とも供述しているのだ。こうした重要証言を見もしない東松山市こそは、まさに談合の温床を醸成してきたのである。 「問題をひたすら誤魔化そうとしている……」 監査委員に市執行部の圧力?監査委員3名退職 またしても総務課・金子部長の関与か?「監査委員」とは、市の財務に関する事務執行や経営に係る事業管理が、予算や議決・法令等に基づいて適正かつ合理的、効率的に行われているかをチェックし、その結果を住民に公表する機関として、地方自治法に基づいて設置されるもの。監査委員は複数いるものの合議制ではなく各委員の独任制であるため、監査「委員会」は存在しない。報酬手当として民間人に対し月7万円、議員の場合は月5万円。その他に交通費が2800円支給されるこの監査委員とは、当然ながら市執行部とは独立した機関であり、監査委員のチェック行為に対し市は協力しなければならない。 だがそうした大前提は、東松山市においては有名無実と化しているようだ。先述の通り東松山市は顧問弁護士を通じた供述調書の入手・閲覧を怠っている。これでは監査委員としては、新聞報道と市職員への事情聴取以外に判断材料を持ち得ないのも確かだ。 それだけではない。東松山市民オンブズマンネットワークによれば、同オンブズマン側が監査請求を提出してから、監査委員が3名も退職しているのだ。この退職の背景は監査委員間で「監査請求どおりにする」意見と、真相を誤魔化そうとする意見とが拮抗した結果だ、というのだ。 「市総務課職員を人事課経由で監査委員にまわし、書類等を作成させ、それが終わると総務課に戻した、という事実があります。総務課の金子部長が関与した疑いがあります……」(オンブズマン関係者) 金子守総務部長……。東松山駅東口周辺開発事業をめぐる「ギャラリー東松山」跡地処理問題、市と特定市民との土地境界紛争など、東松山市のダークサイドでこれまで何度も取り沙汰された悪名高い上級職員、と噂されている。 またオンブズマンが提出した監査請求の書類を受理した監査委員らが事実上行ったのは、市執行部に対する聞き取り調査のみ。つまり監査委員は独自の調査を行わず、市執行部が述べた話の内容をまとめ、監査委員の名義で提出していたことになるのだ。これでは「監査」の意味はまったくない。委員報酬だけを受け取る税金泥棒、と非難されても仕方あるまい。 坂本市長が落札金額を指示した? あるいは市長支援業者を守るための煙幕? 日本ヘルス談合事件の裏側にある坂本市長の闇市執行部の圧力とも思える、こうした市側と監査委員との関係の裏に何があるのか。市は何を必死に誤魔化そうとしているのか。本紙が得た東松山市内での情報を2つ紹介しよう。 問題の談合事件をめぐり、まずは市長が直接関与していた、という情報だ。実は日本ヘルスと坂本市長との間で「入札金額があらかじめ決められていた」という。市長は金額(約2億2千万円)を部下に指示し、助役→部長→課長→係長を経由し日本ヘルス側に確認させたというのだ。これが事実なら、逮捕された市職員(元みどり公園課副主幹)は、市長や助役を守るための犠牲だった可能性が高い。 市長の直接関与を否定する別の情報も流れている。東松山市は、施設清掃や管理など年間委託業務の指名競争入札において、予定価格を事後公表にしている。そのため入札業者には予定価格がわからないはずであるにもかかわらず、平成16年(04年)以後に行われた426件の入札のうち、落札率100%が111件、99%台も98件に達している。多くの場合、市が前年度に落札した業者の見積額をそのまま予定価格に設定していることが原因である。鈴木健一市議が一般質問にてこうした落札率の高止まりを指摘。特に市長を応援している業者((有)戸口工業)らが100%近い高落札率を示していることを取り上げたため、市長は自らが関与していない案件をあえて内部告発させ、表に出すことで他の「怪しい案件」を煙に巻いたのではないか、という。 どちらの情報に真実が存するのか。あるいは別の、想像さえしない真相が隠されているのか。「どんな痛みが伴おうとも膿はすべて出し尽くします」(一昨年4月25日記者会見での市長の言葉)が白々しく響く。「膿はご自分でしょう」と、思わず言いたくなるのは本紙だけか。 坂本市政には今後も類似のケースが発覚することを本紙は予言しておく。事実、本紙は東松山市に関する、ある重大な疑惑を調査している。 東松山市の現在の監査委員は坂本俊夫議員……。東松山駅東口周辺開発事業で、頓挫したB街区を舞台に「東松山市にシティホテルを建たせ、市長に花を持たせたい」と奔走、川越市の岩堀建設工業(株)に筋違いな相談を持ちかけ失笑を買った人物だ。平然と業者に癒着を試み「市長に恩を売ってB街区利権を狙う」こんな市議に、適切な監査がつとまるのか。「めちゃくちゃ」と言っても過言ではない東松山市政。正常に戻す力は、市民ひとりひとりに委ねられている。■ |