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ふじみ野市シルバー人材センター・人事をめぐる「天下り」疑惑と真実 Eメール
地方行政を読む - ふじみ野市
2010年 5月 31日(月曜日) 19:37

(社)ふじみ野市シルバー人材センター
事務局長人事をめぐる「天下り」疑惑と真実

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3月下旬、数回にわたって匿名を希望する読者より投書が本紙に寄せられた。埼玉県ふじみ野市が運営するシルバー人材センターの人事に関する疑惑についてである。結論から言えば、投書の情報は必ずしも正確ではなかった。調査の結果「疑惑」とされる部分に投稿者の「思い込み」が反映していることを本紙は把握しつつ、以下に投書の内容と取材過程のありのままを記事とするので、読者諸氏に判断をおまかせしたい。

まずは投書の内容をかいつまんでご紹介しよう。

ふじみ野市シルバー人材センターは市から補助金の出ている市の外郭団体である。シルバー人材センターでは、局長の交代にともない次の局長は、理事会による会議を重ねた結果、当該センター内の宮成勇氏に内定した。
ところが高畑博ふじみ野市長からクレームが入った。ふじみ野市シルバー人材センターの監査において不備があるとのことであった。その件で3月24日人材センター大築孝太郎理事長が高畑博市長に呼ばれ会談の結果、市長側近といわれる市民生活部長(前職)田中清次氏を事務局長に押し込んできた。
高畑博市長が監査の不備を楯に大築理事長を脅したため、大築理事長は高畑博市長と取り引きし、内定していた宮成氏を排し新局長に元ふじみ野市市民生活部長・田中清次氏を押し込んだ。
現在、この人材センターは赤字法人団体である。そこにふじみ野市役所を定年退職した元部長を局長に迎えると、少なくとも年間400~500万円の無駄な税金が投入される結果となる。
高畑博市長の権力によってシルバー人材センターでの内定は潰され、余計な税金を投入し市長の元側近を雇う結果となったことは、高畑博新市長の増長した権力の行使である……

高畑博新市長をめぐる公的機関の人事に関する疑惑についての、匿名の情報である。まずは事実関係を明らかにしなければならない。本紙はふじみ野市シルバー人材センターへ取材に向かった。

「ふじみ野市シルバー人材センター」は、本部(ふじみ野市亀久保3-3-17)と上福岡支所(ふじみ野市福岡1丁目1番1号)の2箇所にある。本部は旧大井町役場の近くに事務所を構えており、上福岡支所はふじみ野市役所(旧上福岡市役所)の裏にある。本紙は、人材センター本部で取材することになりふじみ野市シルバー人材センター専務理事の水野中氏が本紙に対応した。

本紙はまず、前事務局長の関谷年弘氏についての説明を受けた。関谷氏は旧大井町役場の参事を務め定年で退職した後、合併前の大井町シルバー人材センターへ雇用された。平成18年4月、旧大井町と上福岡市との合併によりふじみ野市が誕生。関谷氏は初代ふじみ野市シルバー人材センター事務局長に就任した。ベテランである関谷氏はのち、65歳を機に退任した。

現在の事務局長である田中清次氏は、ふじみ野市役所市民生活部長を務めたのち平成22年3月31日定年退職。その直後、高畑博市長の推薦により「ふじみ野市シルバー人材センター」の「理事会の決定」をもって平成22年4月1日から、ふじみ野市シルバー人材センター事務局長として勤務している。

投書のなかで「次期事務局長」に名前が挙げられていた宮成勇氏は現在、事務局長補佐として職務に就いている。宮成氏の前職は次長兼上福岡支所長だが、現在の事務局長補佐の業務内容は、前職と同じである。

また理事長には、旧大井町から現在に至るまでの3期・6年、大築孝太郎氏が勤めている。

投書には「理事会による会議を重ねた結果、当該センターの宮成勇氏に内定した」という記述がある。この件について水野氏に問うと「理事会では一切、そのような議題は出なかった」と証言。「たしかに理事長の大築氏は次期事務局長に宮成氏を推していた事実はあった。だが宮成事務局長案に対して水野氏は反対した」という。

「宮成氏は現在48歳と若く、仕事のできる人間だ。しかし本部と支所を掛け持ちで担当している現状で、彼の目は支所の方ばかりに向いてしまい、いささか本部がおろそかになっていると思う。いま少し経験を積んでから事務局長になるべきだ……」 水野氏は大築理事長にこう進言した、と本紙に述べている。この水野氏の言葉は、宮成氏本人にも伝えられているという。

ではシルバー人材センター内での人事問題に、投書の指摘どおり「高畑博市長からの推薦(押し込み?)」はあったのか。また、高畑博市長から「ふじみ野市シルバー人材センターの監査不備」に関するクレームが入った、という事実についてはどうか。本紙は質問をつづけた。

 水野氏によれば、市の監査から指摘を受けたことは事実という。ふじみ野市シルバー人材センターは、市から補助金をもらっている団体であるにも関わらず、剰余金(利益)が生じてしまったからである。だが余剰金が生じたことで市長から直接クレームが入った、という事実はないという。

「市長の肩を持っているわけではない」と前置きしつつ、水野氏は「市の監査係から当方の不備に関して忠告を受けたのは確かだ。市の交付要綱からすれば、そのこと(余剰金の発生)は適正ではない、と言いたいのだろう。これについては市と当センターで今後話し合っていくことになっている」と、余剰金が生じたことへの対応を説明。

さらに水野氏は「余剰金(利益)が生じたならば補助金を調整すればよいことだ。だが余剰金の発生という事実そのものに対し、市が監査を立て前に『補助金を交付されている側のミス』とクレームをつけ、そこに高畑博市長がつけ込み、退職する市民生活部長の天下り先にしたとか、一方的な権力の押しつけがあった、と結論づけるのはあまりにも恣意に過ぎるのではないか。当人材センターの事務局長には適任者がいなかったため、当方からふじみ野市に適任者をお願いした、というのが事実だ」と主張した。

本紙はさらに、投書が指摘する「3月24日、大築孝太郎理事長が高畑博市長に呼ばれ、市長側に近いと言われている田中氏を次期事務局長に推薦してきた」ことについて質問。これに対し「そうした事実は大築理事長から聞いていない。その話(投書の内容)は、あくまで田中氏が事務局長に就任したという結果をもとにした判断ではないか」というのが水野氏の説明だ。「市長に理事長が呼ばれたのか、理事長から市長に会いに行ったのかは判らない。両者が会ったということは聞いている。しかし理事長から聞いている市長との会談内容とは、事務局長人事についてではなかった」

「局長を外部から迎え入れると年間400~500万円の無駄な税金が投入される」(投書の指摘)は事実か、という本紙の質問に対し、水野氏はその場で、現在の事務局長報酬を概算で300万円弱と算出した。大井町役場を定年退職した前センター事務局長・関谷氏の給与は、確かに多かったという。

投書は「人材センターに発生した余剰金(利益)を市の監査から『不備』と指摘され」、市長から「目をつぶってやるから」と天下りを押しつけられた、という。だが投書は同時に、この「天下り」により少なくとも年間400~500万円以上の出費となり赤字経営となる、とも指摘している。懸命に働けば余剰金が生じて市から怒られ、いっぽう赤字経営となれば補助金を増額してもらわなければならなくなる。おかしな話ではないか……。と水野氏は述べた。

ふじみ野市シルバー人材センターの理事報酬

理事長報酬:月額5 万円・年60 万円(非常勤)
専務理事報酬:月額10 万円・年120 万円(常勤)
賞与なし

水野専務理事によれば当初、大築理事長は関谷氏(前事務局長)をシルバー人材センターに残したい、と強く希望していた。だが当時、ふじみ野市では市のOB活用についての議論があり、市外郭団体において「OB活用を3年にしよう」という結論に至った。この結論に対しシルバー人材センターの方でも異存はない、ということから関谷氏の退任が決定したという。関谷氏が残留の意志があろうと、また理事長が関谷氏を残したいと希望しても、すでに関谷氏は65歳を迎えていたため退任してもらうしかなかった、という。関谷氏の残任が不可能となったため、大築理事長は宮成氏を推した。だがこの人事について水野氏が反対したことは先述の通りだ。

理事会は毎月1回開かれる。理事は全部で15人(うち13人は民間のシルバー会員・1人は行政から・1人は専務理事)である。

今月22日の総会で新しい専務理事が決定すれば、本紙の取材に応対した現在の水野専務理事は退任となる。専務理事が決まらない場合、水野氏の退任は延期となる。

大築理事長は、前事務局長の関谷氏を残したいと希望していた事実がある。しかし、市の方針で「OBの活用は3年まで」ということ、さらに65歳という年齢制限から関谷氏の継続を断念する。そこで大築氏は、次長兼上福岡支所長の宮成氏を次期事務局長に推した……。ここまでは水野氏が説明した事実推移だ。

本紙に寄せられた投書は、この時点で「市の横槍が入り急遽人事が変わった」と指摘。このことから投書の書き手(匿名)は、センター内部に関してかなり詳しい人物と判断できる。

だが専務理事という責任ある立場からの証言として水野氏は、宮成氏の事務局長昇進の件について「大築理事長の個人案であり、この時点では理事会には諮っていない」と述べる。また水野氏は専務理事の立場から宮成氏の事務局長案を「時期尚早」とし、対応策としてしかるべき行政事務経験者を人材センターの事務局長として迎えたい旨を、ふじみ野市役所に委託したという。そこで高畑博ふじみ野市長より推薦されてきたのが、元市民生活部長の田中清次氏だった、という。

「理事会で決まった現事務局長・田中氏に関する人事について、投書が主張する『ふじみ野市長の押しつけ』という疑念・疑惑はまったくの誤解。結果として天下り人事に見えるかもしれないが、決してそうではないことを理解していただきたい……」(水野氏)

高畑博ふじみ野市長への取材

本紙は水野専務理事の証言をもとに5月17日、高畑博市長を取材した。

高畑博市長によれば(田中氏が決定した)理事会に先立ち、市長は大築理事長、原口副理事長、水野専務理事と話し合いの場をもった。このとき大築理事長は関谷氏の事務局長留任を強く要望したが、水野専務理事から「留任は好ましくない」との意見があった。

その理由として、関谷氏はふじみ野市の合併以前に大井町役場を退職。退職後シルバー人材センターの事務局長として着任している。この時点で関谷氏は正規雇用されており、給与体系は当時のまま(給料・期末手当など役所職員の部長級クラスの年収700~800万円)であった。同時に満65歳という年齢制限があるため、すでに65歳を迎えていた関谷氏には退任してもらったという。またシルバー人材センターが税金の補助を受けて運営している市の外郭団体であるため、税金の無駄遣い等を改善するべきであるという意見からも、関谷氏の留任希望は通らなかったという。

関谷氏の留任をあきらめた大築理事長から「個人的意見だが」と、次長兼上福岡支所長の宮成氏の推薦の話が出た。だが水野専務理事の強い反対により、宮成氏の事務局長人事は白紙となった。「宮成氏が現在48歳と若いため経験を積んでから事務局長になるべきだ」という水野専務理事の意見を、宮成氏は当然と受けとめ納得した。これらの事項は先に述べたとおり理事会ではなく市長、理事長、副理事長、専務理事の4者による話し合いによって確認された。また事務局長の人事については、候補者の名前こそ挙がったものの簡単には決まらなかった、という。

やがて人材センター側から市に対し事務局長の推薦を依頼されたため、高畑博市長は市民生活部長の田中清次氏をセンター事務局長として推薦した。

一般的にいえば、役所に勤務する地方公務員は定年が近づくと、ほとんどの者が再雇用の申請願いを市に提出するという。ところが田中氏は、定年後は自分の人生を静かに送りたい、という理由から再雇用願いを提出していなかった。

高畑博市長は田中氏を「職務に対し強い責任感を持つ人物であり、公務員としての倫理観もしっかりと持ったプライドのある人物」と高く評価していた。そこで高畑市長は、これまでのシルバー人材センターの改革、前事務局長の給与問題、合併後一本化していないセンターの改善等などセンターが抱える問題に対処するにふさわしい「行政を良く知り、市民の立場を理解できる人物」として、田中氏に事務局長就任の要請をお願いした、という。

高畑博市長は「私は『市OBの任期は3年』を提唱しているし、(田中氏の事務局長就任は)断じて権力の行使などではない」と主張。つづけて「原則的に『天下り反対』という理念は変わらない。見方を厳しくすれば、投書が指摘する『天下り人事』と言われればそうなのかもしれない。したがって市民の疑念・疑惑を招いたとすれば大変遺憾である」と本紙に述べた。

高畑博ふじみ野市長の主張は、ふじみ野市シルバー人材センター・水野専務理事の話を明確に裏付けていた。本紙に寄せられた「投書」の内容と本紙が取材した事実に乖離はあっても、「天下り」の事実はあったのだ。

本紙は寄せられた投書が指摘した、ふじみ野市シルバー人材センター内の人事に対する懸念や高畑博市長と人材センター管理者との疑惑は見いだすことが出来なかった。だが取材の過程で本紙が接触した関係者一同は、公的機関の人事の決定に関しては厳しい市民の注視を十二分に意識しなければならないことを再認識し、身を引き締めたと理解したい。

そのような意味で、投書には意義があった。またそれゆえに「調査の結果として疑惑を見いだせなかった」本紙も、あえてこの記事をお伝えする。

シルバー人材センターの水野専務理事の剛直な人柄は、専務理事として適任であった。また「天下り人事」との指摘に対し素直に応対し、言い訳や弁解をせず、投書の一部分を否定しなかった高畑博ふじみ野市長が、これに関して言葉を添え「したがって市民の疑念・疑惑を招いたとすれば大変遺憾に思います」とした発言とその姿勢には、新市長として、これより先の市長に託された任務に対する真剣さがうかがわれた。■