腐敗横行の中国内部
噴出する不正疑惑のなか、なんとか弾劾裁判を逃れるかに見えたフィリピンのエストラダ大統領だったが、1月20日、政権はあっけなく崩壊した。それまで中立を表明していた軍部がエストラダに反乱したことによってアロヨ新政権が誕生したことは「民主主義の成果
」と報道されている。
ところがウラ世界で報じられている内容は、まったく別だ。エストラダはスタンレー・ホーとの関係を悪化させた結果
、フィリピン大統領の座を追われたのだという。スタンレー・ホーとはマカオのカジノ王と呼ばれる資産家だ。中国の江沢民と仲が良いことでも知られている。昨年12月に行われたマカオ返還一周年記念式典で、ステージ上に江沢民と美人女性が上がり肩を寄せ合って中国国歌を歌っていたシーンが報道されたが、この美人女性はスタンレー・ホーの第四夫人だった。
マカオのカジノでは「当たり金証明書」という書状を発行している。カジノ賭博で大儲けしたという証拠なのだが、これが中国の腐敗役人に大人気だ。なぜか。中国では今、役人たちが汚職まみれ。袖の下を通
せば何でもできるという状態にある。しかし非合法で儲けても、表だって使用することができない。ところがカジノ賭博で儲けたという言い訳さえできれば問題はない。とくにこれによって海外蓄財が可能になるから、役人たちの間でカジノの「当たり金証明書」が人気を集めているのだ。
米国のユーラシア一元支配に強靱な粘り腰で対応し、旧西欧列強諸国の中国進出圧力にも耐え、イスラエルとの国交を伸ばし、対ロ、対印政策を果
敢に成し遂げ、日本の政治家のほぼ全員を親中国派に仕立てあげた北京政府だが、その内情は腐敗混乱の極みにあると推測される。
極秘文書が公開!
中国北京政府を揺さぶる事件が、今年1月上旬に起きた。以下の新聞記事をご覧いただこう。
「天安門事件 首脳部の暗闘暴露 米国で書籍刊行 議事録など生々しく
一九八九年六月四日に中国・北京で起きた天安門事件をめぐる当時の中国共産党首脳部の動きを会議の議事録や報告書、通
話記録などの内部資料から再現したとされる書籍『天安門文書』が八日、米国で刊行された。
同書は、当時の最高実力者だったトウ小平中央軍事委主席や、同氏を中心とした長老グループが、党政治局常務委員会の上に立つ形で五月二十日の戒厳令発令や六月四日の学生らに対する武力行使などを指揮、さらには戒厳令に強く反対した趙紫陽党総書記の失脚や、江沢民・上海市書記の後任総書記就任への道筋をつけたことを初めて明らかにしており、事件に対する評価などに影響を与えることになりそうだ。」(産経新聞一月十日朝刊)
この記事によると、英文450ページ以上にのぼる同書の基礎となっているという「党内部文書」は、中国人「張良」(仮名)によって中国外へ持ち出され、米コロンビア大のアンドリュー・ネイザン教授(中国政治・外交)らが編集したという。ネイザン教授は同書の序文や、刊行に先だって米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に掲載された論文の中で、「各種の記録は北京はもちろん、地方や軍の動きも克明にしており、資料の信頼性は極めて高い」と分析している。英語版に掲載された資料は、中国文で516ページにのぼるものを抜粋・要約したものだが、今春にも資料部分を英語版の三倍にした中国語版も発刊するとしている。
その注目される主な内容は以下の通りだ。
『天安門文書』の内容
1989年5月13日 趙紫陽と楊尚昆がトウ小平宅を訪問。以下その時のやりとり。
トウ小平中央軍事委主席「動乱は一カ月にもなり、老同志たちは心配している。発展には安定が必要で、決心すべきだ。ゴルバチョフ(ソ連共産党書記長)の訪中期間(15日〜)、天安門広場の秩序を保たねば、国際的イメージを守れない」
趙紫陽総書記「広範な学生会は事の重要性を理解しており、歓迎式で騒ぎを起こすことはないと思う。対話を通
じて解決したい」
トウ小平「動乱の根は単純ではない。ブルジョワ自由化分子もいる。われわれはプロレタリア独裁の原則を緩めず、西側式の多党制を拒絶する」
5月16日 政治局常務委員会にて。趙紫陽と李鵬の会話。
趙紫陽「学生のハンストが四日目に入った。彼らの要求の一つは4月26日の人民日報社説の修正であり、これに応じるべきだ」
李鵬首相「それは違う。社説の矛先は、学生運動を利用して騒ぎを拡大し共産党と社会主義に反対しようとするごく少数の下心を持つ連中に向けられている」
趙紫陽「デモ参加者がますます増えているのは『動乱』のレッテルが受け入れられないからだ」
李鵬「社説の重要部分はトウ小平同志の4月25日の談話であり、それを動かすことはできない」
5月17日午前 政治局常務委員会(トウ小平宅にて)。
李鵬「趙紫陽同志には今日の事態を招いた最大の責任がある。北朝鮮訪問中も4月30日の帰国後も、人民日報社説を支持していたのに、5月4日のアジア開銀総会の後、態度を変えた。いまだに彼らはわれわれの基本制度に反対してはいないなどと言っている」
姚依林副首相「趙紫陽同志が昨日、ゴルバチョフに(最高決定権はトウ小平にあるとの)秘密決議を話したのは責任をトウ小平同志に転嫁しようとするものだ」
趙紫陽「弁明させてほしい。アジア開銀での演説は外国の投資家を安心させる目的で、同席した楊尚昆、喬石、胡啓立同志らの感想も良かった。トウ小平同志の件は、これまでも外国の指導者に話してきたことだ」
トウ小平「趙紫陽同志、君の5月4日の演説は転換点だったな。以来、学生運動は悪くなる一方だ。われわれは当然、社会主義民主制度を建設しなければならないが、急いで事を進めるわけにはいかない。これが動乱でなくて何なんだ。事態が進めば、われわれはみんな軟禁されてしまうだろう。考えぬ
いた末、解放軍を入城させ、戒厳令を実施する結論に達した」
趙紫陽「私にとってそれは困難だ」
トウ小平「少数は多数に従え!」
5月17日夜 政治局常務委員会(中南海)の会談内容。
趙紫陽「戒厳令を敷くべきかどうか」
李鵬「今朝の会議でトウ小平同志が決定している。私は賛成だ」
(姚依林が賛成、趙紫陽、胡啓立が反対、喬石が中立の立場を表明)
楊尚昆国家主席「この結果をトウ小平同志や他の長老に報告し決めてもらおう」
趙紫陽「私の職務は今日で終わった。トウ小平同志らとの観点が違い、みんなに迷惑をかけた。辞職する」
楊尚昆「君の態度は正しくない。団結すべき時だ」
5月18日 八大長老らが会合。北京に戒厳令施行(20日)を決定。欠席した趙紫陽に非難集中。
5月27日 八大長老がトウ小平宅で会合。
トウ小平「子細に比較検討した結果、江沢民同志は合格だと考える。陳雲、李先念と私は江沢民を総書記にすることで一致したが、みんなの意見はどうか」(王震国家副主席らが賛成発言、李瑞環天津市書記と宋平党中央組織部長を政治局常務委員に昇格させることも決まる)
6月2日 政治局常務委員会と長老六人の会合。
李鵬「北京市党委員会と国家安全部の報告では、戒厳令施行後、今回の動乱を起こした学生らは計画的、組織的に天安門広場占拠の陰謀を立てていたことが分かった。米中央情報局(CIA)を含む米大使館員が学生らと接触しているほか、台湾の情報員も紛れ込んでいる。彼らの目的は共産党と社会主義の転覆だ」
王震「くそったれどもめ! 軍を出して反革命分子をとっ捕まえろ」
トウ小平「動乱の背後には国際勢力が関与している。西側は人権がどうのと言っているが、アヘン戦争で中国を侵略して以来、中国人の人権をどんなに踏みにじってきたことか!」
李鵬「一刻も早く行動に移り、天安門広場から学生を一掃しなければいけない」
トウ小平「今晩、広場の一掃を開始することを提案する。二日以内に完了すればよい。学生らに広場から立ち去るよう説得し、彼らが拒絶したら、その結果
は彼らの責任だ」
(三日午後から戒厳部隊が実力行使開始、四日未明に天安門広場を制圧)
北京の内部抗争
衝撃の文書『天安門文書』が公開された直後の今年1月14日、香港各紙はこの文書が偽物ではないかとの報道を行っている。それによると、これを編集した米コロンビア大のネーザン教授はかつて、台湾当局から研究費補助を受けていた台湾通
。「台湾が影で動いたのではないか」といった可能性を匂わせている。
また、文書に「新事実が乏しい」「中国政府関係者でもこの文書を入手できるのは超トップのみ。それが漏洩されるはずがない」等々といった論評を加えている。
それでは、この衝撃文書は本物かどうか。結論を言うと、間違いなく本物である。米国当局も、日本の関係者もこれが本物である数多くの証拠を握っている。
香港紙の指摘通り、この文書を保管しているのは中国共産党政治局常務委員(7名)に限られている。にも関わらずこの文書が流出したからには、7名のうちの誰か(またはその指示)により持ち出されたことが理解できる。
『天安門文書』そのものは、中国共産党政府にとって最高機密中の機密。極秘文書であり、これが流出したということに江沢民が強烈な衝撃を受けたことは容易に推測できるだろう。北京の政治局常務委員7名のうち、江沢民を支持しているのは朱鎔基ただ一人。残る5人は決して現体制に満足しているわけではない。とくに昨年8月に北戴河で行われた会議では、2002年に開催される共産党大会の人事を巡って大激論が戦わされたという信頼できる情報がある。江沢民が曽慶江(組織部長)を政治局常務委員に昇格させることを提案したのだが、これに李鵬と李瑞環が強硬な反対意見を唱えたという。
さて、それでは最高機密『天安門文書』を米国側に流した者は誰か。考えられるのは李鵬か李瑞環のどちらかではないかと推測される。李鵬が犯人だとすれば、これは明らかに江沢民を追い落とすための謀略である。また李瑞環はいわゆる改革派であり、江沢民・朱鎔基体制の緩やかな改革路線に批判的だ。
1月末(21日)には中国最高法院が新たな法解釈を公布して話題となったが、これはもちろん『天安門文書』流出に絡んでのものだ。その法解釈については以下の新聞記事に見られる。
「中国最高法院 機密漏えいに死刑も 法解釈変更厳罰化 天安門文書が刺激?
中国最高人民法院(最高裁)は二十一日、国家機密漏えい罪に死刑を適用できるとの法解釈を公布した。現行刑法の直接条文では最高無期懲役となっているが、関連条文を援用して厳罰にし、機密管理を強化しようとするもので、外国人記者らの活動への監視も厳しくなると懸念されている。
国家機密漏えい罪は、刑法の国家安全危害罪の章に規定されている。同章は国家の転覆、分裂陰謀や反乱などを各条文にして刑罰を定め、章末の条文で死刑に処すことができる条文を示している。そこでは、それ以外の条文の犯罪も『重大な危害を与え、情状の特に悪い』ケースでは死刑を適用できるとしており、最高法院はこれを援用した形だ。
この時期に、このような解釈が公布されたのは、最近米国で刊行された『天安門文書』で、天安門事件当時の大量
の秘密文書が公表されたためとの見方が強い。」(産経新聞1月22日朝刊)
この内容は明らかに天安門文書流出に絡んだものだが、その深奥には、強かな中国共産党政府の配慮が汲み取れる。この衝撃的な機密文書流出事件を機に、目下最大の懸念である気功集団「法輪功」を押さえ込もうとする謀略だ。「法輪功」はその活動が非合法とされて以来、地下に潜って国内外に於ける情報活動を続け、これが「法輪功」の存続を可能にしている。今回の新法解釈はその奥に「法輪功」の情報活動を封じるという目的も持っているのだ。
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