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変化の予兆
  米・中・露3国の微妙な動静
  その狭間で日本はどう生きる?

米ブッシュ大統領の危機的状況

 5月に実施された米大統領の支持率が33%と、ブッシュ政権発足以来最低の数値となった(AP通信情報)。

 ブッシュはご存じの通り共和党の大統領だが、米国には共和党を絶対支持する人間が35%存在すると言われてきた。

 どんなに連敗が続き、監督や選手がどんなにヘマをやろうが自分の愛する球団を信じ続けるプロ野球ファンのようなもので、政策に不首尾があろうが外交でミスをしようが、自分たちが選出した共和党大統領に対する支持を堅固に持ち続ける――それが米国共和党員の古き良き伝統とも言われてきた。その“共和党絶対支持者”が35%存在するというわけだ。だから米国では、真の大統領支持率は36%から上の数字だと考えるのが妥当なのだ。36%にどれだけ上乗せできるかが問題なのだ。

 4月の大統領支持率は36%。ギリギリの数値だったが、5月にはついに33%まで落ち込んでしまったのだ。

 秋には中間選挙がある米国。共和党主体の米議会を支持する率はなんと25%。米国の保守層が完全に共和党を見限っていると見なして良いだろう。

 ブッシュ大統領や米議会が支持率を低下させている原因はいくつかある。大きなものはガソリン価格の高騰、景気悪化、そしてイラク問題である。他にも保守層のなかには、不法移民や同性愛者同士の結婚など、米国社会そのものに対する不安感、不満感が充満しているようだ。そして当然ながら、共和党から民主党支持への鞍替え現象までもが起きている。

 共和党支持層というのは、米国建国以来この地に住み、保守的立場を貫き通しているアングロ系などの非ユダヤ層だ。その保守層が民主党を評価するように変わってきていることは、米国内部に「アングロ対ユダヤ」の文明内戦が勃発していると分析できる。もともと米国の保守層は、ユダヤ系に好感を抱いていなかった。ヨーロッパでの反ユダヤのような露骨さは持たないが、決して好まないといったところか。ユダヤ側もそれを熟知していたから、これまで民主党に肩入れし、ユダヤ系の権益拡大に邁進してきたのだ。

 政権が発足したとき、ブッシュはユダヤ系を一人も入閣させなかった。旧来の保守層がこれを大歓迎したのは当然といえる。ところが9・11テロが勃発し、米国はアフガン戦争、イラク戦争へとのめり込んで行く。当初は保守層も、ブッシュを「強い米国の指導者」として高く評価し、熱狂的支持を与えていた。だが、イラク開戦の口実が真っ赤な嘘だったことが判明し、しかもユダヤ系のネオコンの思惑が優先されたのだという認識が深まるにつれ、失望感を隠さなくなっていった。

 かつて米大統領だったレーガン(共和党)もユダヤ系ロビーに翻弄されてレバノンに派兵したことがあった。だが保守層からの批判が強まったところでレーガンはポラード事件に象徴されるユダヤ離れを演出し、保守層の支持を取り戻した。

  ブッシュも支持率低下の現状をなんとか打破し、政権の権威を復活させようと躍起になっている。その現れとして数々の大幅人事刷新を展開し、CIA長官のクビまですげ替えてしまった。ところがCIAでは次官が贈収賄事件に関与していた疑惑が起きたり、令状なしの通信傍受問題が再燃するなど、ブッシュの打った手がウラ目に出る可能性が出てきている。

 退役将軍たちがブッシュに対して公然とラムズフェルド国防長官更迭を求める言動を繰り返している。ラムズフェルドこそネオコン(ユダヤ系)に使われている元凶だと判断しているからだ。ところがブッシュは、ラムズフェルドの更迭だけは頑として受け入れていない。

 APによる大統領支持率調査の後、USトゥデイとギャラップが相次いで世論調査を行ったが、ここではブッシュの支持率は31%とさらに落ち込み最低新記録を樹立してしまった。まさに政権赤信号状態。ここで何か起きると、かつてウォーター・ゲート事件で辞任に追い込まれたニクソンの二の舞になる可能性も強まってきている。この苦境を乗り切るために考えられるのは唯一、イラン軍事制裁で、それにより起死回生の活路を見いだす可能性も高まっている。

ドル離れに向かいつつあるアジア

 5月5日にインドのハイデラバードでアジア開発銀行(ADB)の年次総会が開かれた。その前日の4日には東南アジア10カ国と日本・中国・韓国の蔵相による「ASEAN+3」が開かれている。この2つの会議で話し合われたのは、ドル下落を受けてアジア諸国が共に対処する方法がないかということだった。

 かつて90年代に、ASEAN諸国は通貨危機を迎えた。その折りにはユダヤ系資本ジョージ・ソロスなどから自分の国の通貨を売り浴びせられ、ついにはIMF管理下に置かれるという屈辱を味わった。以来各国ともドルの備蓄に熱心となり、それが米国の赤字を下支えしドルの価値を安定させる役割を果たしてきた。だがアラブ産油国の余剰資金同様、アジアもまた米ドルを過剰に備蓄していることは間違いない。

 今回のADB総会では具体的な提案はされなかったものの、ドル固定相場重視を徐々に軽減し、ドルに代わる新たな貿易決裁制度を確立させる方向に進もうとする構想が検討された。具体的には「アジアの諸国通貨を加重平均した新たな指数(アジア通貨単位=ACU)」を設けて、ここにアジア各国通貨の相場を連携させるというものだ。

 EUは統合を目前にして、統合通貨ユーロを発足させるために、域内通貨だけを対象にした「欧州通貨メカニズム」を設立した。この枠内で欧州通貨の為替変動を五%以内に押さえ込む自助努力を義務として課したもので、こうして徐々に通貨を平均化させてユーロの発足に漕ぎつけたのだ。ちなみにこのとき、ソロスは欧州の主要通貨に猛烈な売り攻勢をかけた。仏・独はこの攻勢をかわしたが英ポンドは敗退し枠内から脱落。ユーロ圏から排除されるということが起きた。

 今回のACU構想でも、EUにおける「欧州通貨メカニズム」が検討された。恐らく今後、「ASEAN+3」がその主役となってアジア通貨単位(ACU)構想が進むだろう。

 アジア通貨単位構想はしかし、ユーロのような統一通貨の創設を目標にしているものではない。EUは同一文化圏にあり、もともとの発祥はローマ帝国にあると言える。そして共通の歴史のなかで悲惨な宗教戦争を戦い、文化経済を同一できる下地を持つ。

 ところが「ASEAN+3」には文化が混在している。わかりやすく言えば中国を中心とする「大陸文化圏」とインドネシアや台湾、日本などの「海洋文化圏」だ。こうした混在文化のなかではユーロのような統一性は実現味に乏しい。さらに経済発展が著しくアジアの盟主を自認する中国が、この地域内での強圧姿勢を前面に押し出してくる可能性が危惧される。

 アジア通貨単位という構想は、そもそも当時の日本の大蔵省が提唱した理念である。だがこの構想は当時の米国の強い懸念感、警戒感を呼び、頓挫してしまった。今回はそれが、国際金融資本の筆頭ともいわれるロスチャイルドの意向により推進されているところが興味深い。ロスチャイルドは配下のローンスター銀行の指数専門家グループをアジア通貨単位構想推進プロジェクトに送り込み、その実現まで、一切の事務方を取り仕切る差配を終えている。ユダヤ型金融資本の論理で、異質性を持つ大陸型・海洋型の両者を屈伏させようとする野望である。

 つまり、飽くなき利潤追求という目的のためには、もはやドルだけが基軸通貨という体制には限界が見えてきたということだ。米国の経済発展は、実体は借金塗れのマヤカシ成長に過ぎず、米国が抱える天文学的な財政赤字は間もなく破綻する。このままにしておけば、これまでの資本投下はすべて灰塵に帰してしまう。今後成長することが明らかな中国やインドを包括する通貨単位構想の首根っこを押さえて、将来の金の卵に育てようというわけだ。
  この野望を達成するためには、第2次世界大戦の引き金となった「世界大恐慌」に匹敵する金融危機を演出する必要があるだろう。それは間違いなく「米国発の世界大不況」であり、世界の資金は一気にアジアに流れ込み、最終的には世界統一金融支配体制が確立される。いや、それを切望しているのがユダヤ系資本主義の主流と考えてよい。

 彼らは次なる国際金融展開の本拠地を東京と上海に想定している。すでに東京はほとんどが彼らの掌中に落ち、上海を狙っているというのが現状である。しかし中国政府はこうした事情を理解しており、今後は上海を巡る複雑怪奇な駆け引きが展開されることだろう。日米の軍再編最終報告合意は、中国(北京)政府を締めつける重要な鍵となるわけで、今後の展開については諸方面に目を配る必要が出てきている。

北朝鮮情勢異常あり

 隣国・北朝鮮の情勢は絶えず「異常あり」状態で、真実は見えてこない。とくに日本の巨大マス・メディアからは何も見えてこないのが現状だ。その不透明な北朝鮮事情を中心に、いま世界がどう動いているのかを考えてみたい。

 5月の連休終了直後に米側から「北朝鮮がミサイル発射準備をしている」との情報が流れてきた。北朝鮮の東海岸、咸鏡北道舞水端里にあるミサイル基地に巨大ミサイルが登場したというものだ。新型テポドンと見られるこのミサイルは、一般には「テポドン2」という名で呼ばれている。

 以前に打ち上げられたテポドン(北朝鮮は宇宙ロケット光明1号と呼ぶ)は射程が1500キロ程度のもの。これは22メートルの発射台から打ち上げられた。今回、舞水端里のミサイル基地に登場した発射台は33メートルもあり、恐らく射程5〜6000キロの新型テポドンだと想像できる。

 この新型テポドンが「2号」なのか「3号」なのか、はたまたそれが「東大阪宇宙開発協同組合」が開発したSOHLA1号(通称まいど1号)の改良型なのかは議論の分かれるところだが、問題は何より、何のためにこの時期に北朝鮮が大型ミサイルを引きずり出してきたかである。

 新型テポドンが地上に姿を現したという情報で、日本の防衛庁・自衛隊には緊張が走り、海自のトレース艦が急遽日本海に派遣を予定するなど緊迫は続いた。だが北朝鮮側はミサイルに燃料を注入する作業には入らない。燃料注入には1週間程度が見込まれており、自衛隊側も艦艇を派遣するか否かでジリジリとした時を過ごしたと思われる。だが5月中旬になると米側から「在日米軍基地を中心としたテロ攻撃の可能性がある」との情報が流れ、またまた防衛庁は大騒ぎとなっていた。

 拉致被害者の横田めぐみさんの夫が、韓国から拉致された金英男さんではないかとの情報が流れ、多くのマスコミによるとDNA鑑定の結果99%の確率で金英男さんが横田めぐみさんの夫(キム・ヘギョンさんの父親)だと報道した。この情報に乗って、拉致問題に対する日韓連携の動きが表面化し、北朝鮮がこれを嫌って、威嚇のミサイル発射騒動が起きたのではないかとの観測も流れた。

 だがここで、一つお断りしておきたい。横田めぐみさんの夫が金英男さんであることがまるで真実のように語られているが、その可能性はゼロに近い。それは本紙だけが考えていることではなく、日本の諜報機関のほぼ全員が確信していることである。

 かつて日本のメディアの前に横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんが姿を現しインタビューに答えている。そのときのキム・ヘギョンさんは、ブランド品で身を包み、言葉も態度も極めて余裕のある上流家庭のお嬢さんの姿だった。人間を観察する能力に長けたあらゆる諜報機関の者ならば誰にでも理解できることだが、あのキム・ヘギョンさんの態度は1カ月やそこらの訓練で身につくものではない。彼女は幼い頃からブランド品で身を固め、言葉、仕種、立ち振る舞い……すべてが超一流家庭で育った雰囲気を醸しだしていた。北朝鮮という国で、そのような家庭環境を有するということは、韓国人の亭主が作った家庭である筈がないのだ。

 だが、キム・ヘギョンさんと金英男さんのDNA鑑定は99%の確率で父子だと語っている。これは何なのか? 答えは2つしか考えられない。1つは鑑定が正しいこと。もう1つは鑑定に嘘があることだ。

 十数年前に北朝鮮の高官が日本政府関係者に興味深い情報を流しており、その内容は一部でも報道されている。その内容とは――。「共和国(北朝鮮)にやってきた日本人女性が恋をして結婚し、子供を1人生みました。だが子供を出産後間もなく、夫婦の間に問題が生じて彼女は離婚したのです。離婚した彼女は日本に帰りたがっています」――この話は十数年前のものだ。そしてキム・ヘギョンさんはいま十八歳になっている。

 話題は変わる。韓国と北朝鮮を結ぶ連結鉄道の計画が頓挫してしまった。

  京義線と東海線を結ぶ、道路と鉄道の連結構想は、南北間の非武装地帯での地雷撤去作業により正常化するものだが、5月初旬に地雷撤去作業が中断してしまった。これは北朝鮮側の発表によると、軍事境界線(MDL)を越える南北相互検証に関して、国連軍と北朝鮮軍との間に意見対立が起きたためと説明されている。

 そして5月24日、ついに北朝鮮は、南北鉄道・道路連結を無期限に延期すると公表したのだ。

 しかしこれは極めて重要なことである。南北連結鉄道の推進者は他ならぬ金正日将軍様である。どのような事情にしろ、将軍様が推進する計画を軍部が無期限延期を決定したのだ。金正日王朝の求心力が低下していると観測する情報通が多くなってきたのは、こうした事情による。

 さらに。中国が租借することを前提として、北朝鮮・豆満江流域の羅津港の改修工事が行われていた。もちろん費用は中国負担だ。ところが5月初旬に中国はこの改修工事から撤退を表明。中国から持ち込んだ重機を初めすべての工事機器、工作機械を引き上げてしまったのだ。

 これだけではない。昨年10月に中国の胡錦濤首席が訪朝した際に視察した大安友誼ガラス工場も、中国からの原材料配給が停止され完全ストップ。明らかに中国は北朝鮮に強力な圧力をかけている。いや北朝鮮からの撤退すら考えているのかもしれない。

 中国は基本的には北朝鮮を属国と見なしている。だからときに、お灸をすえることもあるのだが、今回の態度はお灸と言うには酷すぎる。金正日を見限ったとも見てとれる態度である。中国北京政府は金正日を引退させ、息子の金正男を後継者にしたいと考えているようだが、その時期が近づいている可能性も否定できない。

 金正日はもともと中国嫌いで通っている。米国の圧力で中国との取引に使用していたマカオのバンコデルタ・アジア銀行の北朝鮮口座が閉鎖されたうえ、中国北京政府から見限られたら、当然ながらロシアや米国に救いの手を求めるだろう。強大国の狭間にありながら堂々と生き延びてきた北朝鮮の外交駆け引きは、なお生きていると言ってよい。

 燃料不足のため数年間操業停止だった北朝鮮の勝利化学工場が5月から突如操業を開始している。ロシアが北朝鮮に石油の供給を開始したためと見られている。
 
  こうした状況のなか、最近、ロシア発の「横田めぐみさん情報」がしきりに流布されている。「横田めぐみさんは生きている」「彼女の姿を平壌で見かけた」「彼女は北朝鮮国家中枢に最も近いところにいる」等々。いったいこれは何を意味するのだろうか。

 5月末に40名の随員と共に来日したプリマコフの動向が気にかかるところだ。プリマコフは5月30日には小泉純一郎首相、森前首相、中川(秀)などと秘密会談を行ったことが判明しているが、その他、鈴木宗男や安倍、福田とも会談を行っている。そんな状況下、一部に「金正日が亡命する」との情報が流れ、アンダーグラウンドの情報通は右往左往していたようだ。ただし金正日亡命や金正日死亡の情報は毎月1回程度の割である話だから、今回が特別なものだとは言えない。

 さらに5月22日、AP通信の映像子会社の「APテレビジョン・ニュース(APTN)」が北朝鮮の平壌に常駐支局を持つと発表された。西側の報道機関として初めて、北朝鮮に支局が誕生したわけだ。これは何を意味するのだろうか――。単純に考えると、金正日が目論んできた「米朝秘密回路」が機能を開始したと読めるのだが……。

 こうしたあらゆる状況は、世界がいま大混乱を目前に、巨大国家がそれぞれの思惑で足掻き始めたということを意味している。ちなみに小泉純一郎首相は国会の会期延長に否定的だと発言しているが、それは残る任期期間中は外交問題に専念するという意思表示だと考えられる。

 6月から夏にかけて、米国、中国、ロシアは懸命な下工作を続けることだろう。激変の衝撃が日本を襲うのは、小泉純一郎退陣からどれほど先のことなのだろうか。

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