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arrow中国四川大地震
犠牲者の方々へ心より哀悼の念を表します

 2008年5月12日に中国四川省で発生した大地震で犠牲になった方々へ、そしてミャンマーのサイクロンで犠牲になった多くの方々へ、同じアジアに生きる民として心より哀悼の念を表します。

yellowbox 移動するインドプレートの強烈なエネルギー

 さる12日午後2時28分(日本時間午後3時28分)、中国四川省ブン川県(さんずいに文)で発生した地震による犠牲者数が急増している。死者は1万人台に上り、倒壊した家屋は50万戸を超えた。1976年に河北省で発生し、約24万人の死者を出した唐山地震につぐ被害になるといわれている。唐山地震のマグニチュードは7.8。しかし今回の四川省地震に対し、米地質調査局(USGS)は13日、当初マグニチュード7.8と発表した地震規模を、7.9に上方修正している。
  中国四川省一帯の地震は地殻どうしの衝突が原因とされる。今回の地震は2005年10月に発生したパキスタンのカシミール地震(M7.6。死者7万5千人)と比較されうるものであり、両方ともインドプレートとユーラシアプレートの衝突で発生したためだ。両プレートの境界地域は強震発生の可能性が高い。インドプレートの動きが相対的に活発なのがその理由である。両プレートの衝突時、インドプレートはユーラシアプレートの下に食い込みつつ、押し上げる過程でエネルギーが噴出、地震が発生する。
  約4000万年前、両プレートの大きな衝突でヒマラヤ山脈が形成された後、現在までインドプレートの移動は続いている。USGSによればインドプレートは1週間に1o、1年に5pの速度で北へ移動しており、今回の四川省地震は移動中のインドプレートがヒマラヤ地層付近でユーラシアプレートと衝突、急激にエネルギーを放出する過程で発生したという。
  両プレートの境界上に存する中国、インド、パキスタン、アフガニスタン隣接地帯で強震発生の比率が高いのも同じ理由だ。四川省ではやはり1993年、両プレートの衝突が原因となりM7.5レベルの地震が発生、約9300人が死亡している。中国は国土の大部分がユーラシアプレート上にある。そのため両プレート境界上ではなくとも、インドプレートが近くに存在しているチベットや雲南省でも、これまでもたびたび地震が発生し、内陸ではおもに断層による直下型地震が起きている。

yellowbox 中国政府による異例の緊急救援体制!
「万難を排しブン川県へアクセスせよ!」

 四川省地震の人命被害が急増するなかで、中国指導部は総力をあげた救護活動を開始しており、中国最高指導部の迅速かつ沈着な対応に注目が集まっている。特に死者数を公開し国際社会の救援活動を歓迎(人的援助を除く)するなど、1976年の唐山地震発生当時、「自力更生」を名目に国際社会の救援活動を拒否、メディアを統制しては被害の事実を隠蔽したこととはまったく異なる様相を見せている。
  胡錦濤国家主席は地震発生の12日夜、共産党中央政治局常務委員会を緊急招集し、人民解放軍の現場派遣などすべての部署が地震に対し直ちに救援活動を開始するよう指示。国営新華社通信によれば、胡主席は「時間は生命」と述べ、「人民解放軍と武装警察部隊、民兵予備役、医療衛生要員を災難地域へ派遣し、負傷者の救助、食品と飲料、薬品、防寒服などを供給せよ」と命じた。また「災難地域の人々にとりあえず衣食を保証し、臨時宿舎などを準備し、さらなる死傷者が発生しないよう救助作業を強化せよ」と強調した。また緊急会議では温家宝総理を団長とし、李克強・回良玉両副総理を副団長とする「地震災難救助総指揮部」を設置した。温家宝総理は12日の午後11時40分、四川省地震の被災地である都江堰市入り。ブン川県へ至る道路が不通であり、手前の都江堰市で指揮を執らざるを得なかったためである。温家宝総理は「できるだけ迅速に震源地であるブン川県に接近し、犠牲者を救出せよ」と強く指示した。
  人民解放軍と武装警察の現場接近と救護活動は、まさに軍事作戦を彷彿とさせる。新華社通信は約5万人の軍および警察が地上と空から災難地域へ「進撃」していると伝えた。

 先に述べたとおり1976年の唐山地震の際、中国当局は被害規模のニュースが広がるのを非常に敬遠した。だが今回の四川省大地震では刻一刻と被害状況が明らかにされている。こうした中国当局の迅速な動きが、北京オリンピックを間近に控えた国際社会へのイメージ回復を目的としているという指摘はこれまでもさかんに報じられた。
  ただでさえ、今年に入ってから相次いで勃発したさまざまな災害や事件は中国の国際的イメージを大いに傷つけた。さる2月には50年ぶりの豪雪が、また3月にはチベット独立デモと強制鎮圧により国際的反中国デモが行われたことは記憶に新しい。中国製餃子が日本の食卓を大いに脅かしたかと思えば、4月末には山東省で列車衝突事故も発生(死者70名以上)。天候、政治、食、インフラにおけるあいつぐ事件が、「安全なオリンピック」に対する憂慮を高めているのは事実である。北京オリンピックの聖火リレーに変更はない見通しだが、状況によっては日程やルートが変更される可能性も高いと見られている。

yellowbox 中国政府に「被害状況の公開」を促した「携帯電話とインターネット」

 だが被害状況の公開等に対する中国政府の迅速な対応の原因は「オリンピック」ではない。インターネットと携帯電話の普及、という唐山地震の時代にはなかった情報環境の劇的な変化が、中国政府の対応を促した側面も大きい。
  まず中国の国営新華社通信は地震発生18分後に速報を出した。これ自体が異例のことである。しかしイギリスの日刊テレグラフ紙は13日付けで、地震発生の数分後よりすでに目撃者の証言、被害状況をまざまざと記した記事や写真、動画等がオンラインで世界中に広がったと伝えた。
  地震のニュースはまず、Twitter(個々のユーザーがモバイル等で短いメッセージを投稿し合うマイクロブロギングサイト)で最も早く伝えられた。四川省成都をはじめ上海、北京に在住するおもに英語圏のTwitterユーザーたちが、揺れるビルや人が逃げ出した空っぽの事務室などの風景を、地図と一緒にインターネットに載せたのである。Twitterのユーザーはおもに家族や友人などを対象に情報をアップデートした。それゆえ内容も比較的正確であった。

成都在住の四川大学留学生Twitterユーザー・ Daniel Ebbuttのメッセージ。
「いまちょうどすごい地震があった!でも生きてるよ!」
(12日午後3時4分。http://twitter.com/inwalkedbud/statuses/809132418
「MSNBCニュースじゃ地震は約7.5だって言ってる。ここ四川大学じゃ、相当強かった」
(12日午後3時48分。http://twitter.com/inwalkedbud/statuses/809150832

上海在住のオーストラリア人Twitterユーザー・nocasのメッセージ。
「息が落ち着いてきた。31階で地震を感じるのは愉快じゃないね」
(12日午後3時21分。http://twitter.com/nocas/statuses/809139803

 ブログサイトでは今回の地震についての会話が沸騰した。CNNが放送したニュース動画のいくつかは、世界最大の動画サイトYouTubeで、ネットユーザーらによりはじめて公開されたものだった。ウォールストリートジャーナル紙は「世界最大のインターネットと携帯電話ユーザーを持つ中国が、大災害で政府の公式ニュースを待つかわりにテクノロジーを利用してニュースを伝えた」と評価した。政府の統制されたニュースより、現場で「普通のネットユーザーらが記者となり」事実を直接的に伝えてきたからである。これはインターネット・インフラが脆弱で、情報の伝達がきわめて少なかったミャンマーのサイクロン被害とは対照的だ。
  生き生きとした現場の状況を伝えるインターネットだが、もちろん必ずしも正確ではない。根拠のないデマの拡散経路として常に悪用される危険性をも有している。事実、ネットでは地震当日、「12日の夜10時から深夜12時の間に北京で震度2〜6の地震が発生する」という噂が流れ、北京市民は恐怖に震えたが新華社通信がこれを否定する、という経緯もみられた。

yellowbox 大地震は他人事ではない!
いまは「批判」より、われわれにできる支援を!

「次は東京か?」……。世界各地で大地震のニュースが報じられ震災後の悲惨な状況がお茶の間のテレビで流れる都度、地震大国に住むわれわれ日本人はこれを他人事と思うことはできない。地震発生1日半を超えた13日夜現在、四川大地震の死者は1万2千人に達し、2万3千人が生き埋め、負傷者は2万6千人と報じられている。いま、生き埋めになった人々を救出しなければならない瓦礫の山には激しい雨が降り、2次災害の発生も懸念されている。日本の大手紙の一部はこうした状況を「中国共産党による人災」と報じ、その理由の一端を「中国政府による人的援助受け入れ拒否の姿勢」に見いだし、ミャンマーのサイクロン被害支援活動における「軍政」との共通点を指摘する。だが、果たしてそうなのか。温家宝総理自身でさえ「万難を排しブン川県に接近せよ」と、軍に指示しているほどなのだ。「自由と人権」という理念から、他国の事情を非難するのは簡単だ。だがこの地震以前には名前すら聞いたことのない「四川省ブン川県」の、震災後に分断された交通手段の復旧情報すらままならない状態で「人的援助を受け入れない非人権国家」と評するのはいかがなものか。ともあれ、まだ地震から2日しか経っていないのだ。

 大地震は決して他人事ではない。いま我々にできることをしよう。中国大使館は「中国四川省地震義援金専用口座と寄付受付専用電話の設置について」として、被災者への義援金受付を行っている。

「中国四川省地震義援金専用口座と寄付受付専用電話の設置について」
http://www.fmprc.gov.cn/ce/cejp/jpn/xwdt/t433827.htm

 あらためて四川大地震で犠牲になった方々へ、そしてミャンマーのサイクロンで犠牲になった多くの方々へ、同じアジアに生きる民族として、心より哀悼の念を表します。

2008年5月14日 行政調査新聞社一同


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