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米中枢同時テロと韓国
――韓国・北朝鮮未来展望――
韓国時間の深夜、9月11日の米中枢同時テロをTVで見ていた韓国の軍事、外事関係者はその瞬間、誰もが、世界貿易センタービルに突っ込んだハイジャック犯は北朝鮮の工作員であると確信したという。かつて北朝鮮の南進が脅威に感じられた時代に、北朝鮮側のソウル攻撃手段として想定されたものが、民間航空機ハイジャックによる首都突入・自爆テロだった。
ハイジャック機を操縦して目標に突っ込む、あるいは自爆するという狂気の行動について考えたことがあるだろうか。事の善悪は別
として、一人の戦士として自らの生命を賭して死んで行く。死によって戦士が得られるものは何なのか。死ぬ
直前まで彼を駆り立てるものは何なのか。――彼らが思い込んだ国家、宗教、そして未来とは何か――。
非戦闘員を目標とした無差別殺戮は断じて肯定できない。肯定できる部分は微塵もない。しかし、自らの生命を捨てて突入した戦士たちの壮烈な心情を理解する心を諸氏はお持ちだろう。その決意のカケラ程度は、まだ心の片隅に残っているのではないだろうか。――じつは今回のテロが起きるまで、こうしたテロ行為を行え得る者は日本人、韓国・北朝鮮人以外は存在しないだろうと、世界中の諜報関係者は考えていたのだ。
韓国・金大中大統領は米中枢同時テロ勃発直後にブッシュ大統領に直接電話をかけ、テロについての情報を得ている。その後、韓国内ではあらゆる警戒体制が敷かれ、外交通
商省が直ちに職員を招集し情報収拾を開始。さらにその前後には、米韓合同軍事演習が繰り広げられている。米韓合同軍事演習はここ数年、毎年8月に行われてきた。今年も8月20日から9月1日まで、主に北朝鮮からのサイバーテロ攻撃に備えた演習を行ったが、米中枢同時テロ勃発後の9月中旬、極秘のうちに再度机上演習が行われた。
10月1日に横須賀を再出港した米空母キティホークは、直接アフガニスタンを望めるインド洋に向かわず、米韓合同演習『フォール・イーグル』に参加すると在日米軍関係者が語ったところを見ると、米政府はアフガン・中東情勢だけではなく半島情勢にも不穏な雰囲気を感じていると考えられる。
9月28日、金大中大統領は陸海空軍本部がある忠清南道の鶏龍台で行われた『国軍の日』の記念式典で挨拶を行い、その場で米中枢同時テロについて、「人類の平和と安全を踏みにじるわれわれの敵である反人倫的テロ行為を強力に糾弾する」と強く非難した。だが大韓航空機爆破テロ事件を初め、これまでに多くの犠牲者を出した北朝鮮のテロについては一切言及をしなかった。
湾岸戦争、ユーゴ空爆といった米軍主導の戦闘が、じつは朝鮮半島有事の模擬戦であることは予てから指摘されるところである。だが湾岸戦争時のピンポイント空爆など、山岳地帯中心の北朝鮮には何の効果
もないし、ユーゴ空爆は北朝鮮に自信をもたらしただけだった。米が開発したバンカー・バスター(地中深く侵入して爆発するミサイル)を初めとするハイテク兵器が戦果
をあげられなかったためである。ところが今回のアフガン空爆は、まさに「仮想・北朝鮮空爆」なのだ。
それはこれまで考えられてきた戦闘とは異質のものになる可能性が高い。10月7日から開始された小規模の空爆は、結果
として大した戦果をあげられないだろう。しかし空爆による米英軍の圧力はタリバーン政権の根底を揺るがし、場合によってはアフガニスタンの実効政権が交代するかもしれないが、それは米側の勝利を裏付けるものではない。そこで最終的に考えられるのは、噂にのぼっている『新兵器』である。
核ではなく、核を越えた通常兵器。それは果して噂だけなのか、それとも実在するのか。その最初の被災はアフガン・タリバーンなのか、それとも北朝鮮なのか。――だがいずれにしても、この新兵器が登場すれば韓国経済界は様相が一変する。IT産業が活発化し、恐らくそれは暴騰と表現されるほどの好景気を生み出すことになるだろう。
緊張の半島情勢を、われわれは注意深く見守る必要がある。
半島情勢分析に最重要であるのは北朝鮮・金正日王朝の動向だが、同時に韓国政情も重要である。最近の米政府の対応もそこに重点が置かれている。
韓国では金大中の最大与党・民主党と連立関係にあった自民連(金鍾泌名誉総裁)が野党に転じ、ここに与党が少数となる不安定な状況が生み出されている。金鍾泌・自民連の与党脱退は、米アーミテージの要望だったと伝えられる。
9月上旬には林東源(統一相)が罷免されたが、このことは金大中が提唱してきた『太陽政策』(対北朝鮮融和政策)が不信任されたということである。
進歩派や親北朝鮮グループの間では、「対北政策は今後、直接国民を相手に推進する」といった意見が強いが、金大中政権はその基盤から崩れそうな気配を漂わせてきている。すでに金大中は、軍事の中枢に親戚
・親族を置くなどしてその政権末期の症状を呈している。
金大中の任期は平成15年(2003年)2月だが、大統領選は来年行われる。金大中は一線を退き、与党・民主党の大統領候補は側近の金重権になると言われているが、これも不確実である。対立候補として自民連の金鍾泌出馬の情報もあるが、金鍾泌は俗に「風見鶏」と呼ばれ、若者や女性にはまったく人気がない。
10月に入って間もなく、金大中の発言が問題視されはじめた。「朝鮮戦争の折りに南北統一に失敗した…」と金大中が発言したことが明らかになったためである。韓国議会がこの問題を正面
切って取り上げれば、事はさらに深刻化する。金大中が北寄りであることは、もはや誰の目にも明らかなのだが、その金大中を攻撃するといったい何が起きるか。韓国混乱といった非常事態が発生する恐れがある。
極秘情報に属するものだが、米側は韓国のクーデターの可能性を“かなりの確度”と考えている。そのクーデターとは、『逆クーデター』とも言えるもの。国軍を掌握する金大中が非常事態宣言、戒厳令を公布、軍を率いて北朝鮮との統一を実力で実現させるというものだ。絵空事のように思われるかもしれないが、韓国状況はここまで切迫しているのである。
そして、何よりここが大切なことなのだが、半島情勢のこうした認識がわが国政府に皆無だということだ。
遠く離れた親友の家が放火にあった。それに同情し、手を差し延べることは人間として正しい行為だろう。だが、火事見舞いに出かけているうちに自宅が放火されたらどうするのか? 米中枢同時テロ勃発と同時に、わが国が考えなければならないのは、近隣の情勢分析とテロである。それもイスラムやアル・カイーダのテロなどではない。北朝鮮あるいはオウム真理教――その他諸々のテロ組織の分析だ。手品師の派手な演技に目を眩まされているようでは、わが国に未来はない。
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