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2007年第16回統一地方選・川越市議選を振り返る
4月22日、第16回統一地方選における川越市議選の投開票が行われた。
平成19年4月22日執行川越市議会議員一般選挙 開票結果
今回の市議選は、本紙がかねてから批判してきた市議会の「オール与党」状態を反映し、現職と既成政党・政派の圧勝で推移したといえる。
いま振り返ると、この間、市政上の大問題であった職員による巨額公金横領事件と百条委員会設置、本紙が提起した学校乗っ取り問題や川越駅東口公共地下駐車場の管理委託業務談合、長年にわたる特定業者による独占問題など、腐臭にまみれた舟橋市政の根幹を問う候補者や政党・政派は皆無だった。一部の良心的な議員や候補者を除けば、共産党を含め舟橋市長の陣笠議員たちによる出来レースといった観がある市議選だった。
注目すべき点は、日本共産党が2名から4名に増えたことだろう。これは共産党が持つ「金権体質に無縁のクリーンな政党」という一般的なイメージがベースとなり、本紙に数々の汚点を指摘される舟橋市政への批判票を集めて躍進したものと推察される。
しかし本紙が指摘してきたように、共産党は舟橋市政の応援団であり続けた。佐藤恵士議員をめぐる市民保養施設利用補助についての疑惑になんら答えず、頬かむりをしたまま逃げ切った。このことからも明らかなように、残念ながら川越市において共産党は「清潔な政治をめざす党」としての実質を示しては来なかった。
以上のような緊張感のはなはだ乏しい状況での選挙は、低調なものとならざるを得ない。市民の批判を投票行動から遠ざけたため、本紙から市役所幹部時代の汚職の数々を指摘された神田寿雄議員や先の佐藤恵士議員のごとき輩を再度、「市民の代表」の一翼へ名を連ねさせることになったわけだ。
本紙は、引き続き市議会のあり方を見つめ、報道を通じて市民に広く市政変革への提言を行い、市議会が真に川越市民の良心を代表する府となるよう力を尽くす所存である。
(お詫び:本紙が先に記事に添えました開票結果の一部に誤りがありましたことをお詫び申し上げます。確認しましたところ読売・毎日・埼玉新聞の各紙発表もそれぞれ部分的に誤りがあるため、最も信頼できるデータの引用元として川越市公式ウェブサイトが発表した開票結果へのリンクに差し替えました。重ねてお詫び申し上げます)
「議員定数を削減すべき」と即答する議員の「レベル」とは??
川越市の市民団体「川越市民オンブズマン」は、市議会議員選挙に先立つ3月22日、立候補者全員に対し議会改革に関するアンケート調査を実施。48人中17人から得た回答を発表した。各議員の回答は興味深く、「川越市議会の体質」を探る大きなヒントとなり得るものだ。
(http://www.interq.or.jp/aries/ombs-sai/kawagoe.htm)
設問には市議会運営に関わる具体的なものから、大変抽象的なものまで多岐にわたっている。そしてこの種のアンケートによくみられることだが、得てして即答が困難であるはずの設問に対する回答をいくつか参照すれば、そのアンケートが採られた「母集団」の性質をかいま見ることができる。
設問の一つは議員定数問題。現在の川越市の市議会議員定数は40名。県下他市と比較した場合の、川越市の議員定数の多寡を質問のテーマとしている。
昨年、本紙もこの問題を取り上げたことがある。
埼玉県下人口30万人を超える各自治体の議員1人あたりの有権者数の比較 |
自治体名 |
議員
定数 |
総人口 |
総有権者数 |
議員1人あたりの有権者数 |
備考 |
| 川越市 |
40 |
333,343 |
267,308 |
6,682 |
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| 所沢市 |
36 |
339,322 |
272,687 |
7,575 |
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| 越谷市 |
32 |
308,307 |
250,105 |
7,815 |
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| 川口市 |
44 |
475,896 |
380,014 |
8,636 |
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| さいたま市 |
64 |
1,193,039 |
921,338 |
14,395 |
今期に限り議員定数71人(岩槻区編入のため) |
埼玉県下で総人口が30万人を超える自治体をピックアップし比較したものだが、上記の表における有権者数は昨年11月時点のものであり、今回選挙時の数字を反映していない。あくまで参考として見ていただきたいのだが、さりとて今回の統一地方選の実態とさほど異なるものでもない。「議員1人あたりの有権者数」は川越市が最も少ない。つまり総人口30万人を超える県下自治体のうち、川越市は議員の数が最も多いことがわかる。
本紙は過去号にて「議会制民主主義システムを費用対効果=経済で語る愚を犯すなかれ」と主張した。そもそも議員定数とは、何名が妥当な数なのか。実はそれすら判然としないのである。議員1人が6600人を背負うのは軽すぎるのだろうか?議員1人が8千人を代表するならそこそこ順当といえるのか?ではその妥当性は、いったい何を根拠にしているのか(「他市との比較」という答えは、答えになっていないに等しい)。
議員が市民をはじめ各地域、各種団体の利益に供する代表者であるとの認識に立てば、議員の数は多い方が良い、という考えも成り立つ。議員が背負っているあらゆる市民の利益のために汗を流し、30万の人口がつくりあげる「市民社会」隅々に至るまでの意向を反映させるには、議員の数は多いに超したことはないという論にも、一定の説得力がある。
議員定数は法により決定される。川越市の場合は、平成11年12月24日に制定された「川越市議会議員定数条例」である。何人が妥当なのかという議論はさておき、議員定数という「数」にタッチするということは、法という「市民と社会との契約」に触れることだ。他市との単純な比較、または議員個人の皮膚感覚で簡単に「多いか少ないか」を回答できるものではないはずだ。
ろくに質問もできない無能議員、反市民的議員から議席を取り上げるのは、市民として正しい判断だ。しかしそうした主張が「そもそも議席そのものが多すぎるのだ。無駄だ。減らそう」という結論に直結するとすれば、議会制民主主義の本質を欠いた、あまりに短絡的な考えといわざるを得ない。無能議員の議席を取り上げることと、議席そのものを減らすこととはまったく別の問題だ。そしてあらゆる制度(システム)とは、その維持に有形無形の膨大なコストがかかる。議会制民主主義とて、同様である。
議員数の増減とは、民主主義の根幹をなすテーマだ。と同時にこの主題を議論することとは「法は擁護されねばならないが、市民の同意により変更できる」という、ホッブス、ロック、ルソーらが唱えた近代社会契約説がもつエッセンスを、川越市民がいかに自家薬篭中のものとしていくかの、大いなる過程にほかならない。繰り返すが費用対効果=経済や、「ほかと比べると、川越の議員数は多いんじゃないのかねえ」という単純な感覚論でその多寡を語るべきではない。真剣に削減を考えるならば、まずは議論を活性化させなければならない。その際、各議員には「民主主義の根幹に言及する」に値する、しっかりとした知性が備わっていなければならないのは言うまでもない。
しかし、である。オンブズマンの公開質問に回答を寄せた議員18名中、少なくとも12名が明確に「削減した方がよい」の選択肢を選んでいる。ある意味、このような「意地悪な設問」に対して、これほど明快に即答できるものだろうか。「削減した方がよい」と回答した市議は、よほど普段からこの問題について思考を煮詰めているのか、あるいは単純な比較論や既存市政システムへの反感をベースに回答しているのではなかろうか。そうであるなら、彼らは「議員数削減」というテーマを議論するのに、もっともふさわしくない議員といえるだろう。
ともあれ市議諸氏には、郷土のさらなる発展のために粉骨砕身していただきたい。いや、しなければならない。あなた方一人一人が「たとえ少ないとはいえ」、6600人を背負っていることを忘れてはならないのだ。それとも「もっと背負える」とでも、お考えだろうか。
川越市議会は「市長や行政に対してチェック機能を果たしている」のか?!
「あなたは、川越市議会が市長や行政に対してチェック機能を果たしていると思いますか」
これも実に意地の悪い設問と言えるだろう。今回、トップ当選を飾った民主党の片野市議は「当たり前です。こんな事聞かないで」と、おそらくは若さからくる直截さと民主党特有の理想論とがないまぜとなった、絶妙な回答を寄せている。若く希望に燃える市議ならば「市議会はチェック機能を果たしている」を大前提として認識していても不思議ではない。
対照的なのは、今回は落選したが、舟橋市政の醜悪さを真っ向から見据え果敢に戦いを挑んだ加藤候補。彼女は回答者のうちただ1人「まったく果たしていない」と答えている。
この両極端な回答、実はどちらも同じ性質を持っている。違いがあるとすれば「挫折を未だ知らない理想論」と「絶望からくる啓蒙的理想論」との違いだろうか。それぞれが「議会とはかくあるべきだ」という「理想」の両岸から、市議会という場に強烈なライトを照射しているような気がする。
乱暴な言い方かもしれないが、どちらの回答にも、そのベースには「議会制民主主義原理主義」的な趣がある。どのような世界であろうと、原理主義者の主張の切れ味は鋭い。だがそれは、ともすると「生身の人間が棲息する現実の社会」を忘却しがちになる。当たり前のことだが、現実はもっともっと複雑怪奇だ。
本紙が昨年、小連載「県住川越笠幡団地をめぐる約9億円の錬金術」でその恐るべき「犯罪行為」を強く追究した神田寿雄市議。この人物の老獪さはどうだろう。神田市議は、あろうことか市議会は市長・行政チェック機能を果たしているかの質問に「多少果たしている」と回答しているのである。
神田市議らによる、恐るべき反市民的行為については、本紙過去号をごらんいただきたい。
【短期集中連載】
いま明かされる、県住川越笠幡団地をめぐる
「約9億円の錬金術」!
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村上貞夫元助役らと共謀し偽の県住計画を立案……これをもとに、先頃逮捕され実刑判決が下された細谷金作(前・郷土開発社長。前埼玉県住宅建物取引業協会会長、および前埼玉県不動産政治連盟会長)をパートナーとして、自己が所有していた二束三文の山林を、約9億円にまで値をつり上げ埼玉県に買い取らせた疑惑の主が、神田寿雄市議である。
神田市議の反市民的行為はこれだけではない。彼はかつて川越市が運営する第三セクター「川越都市開発(株)」の専務取締役時代、早くも就任初年にして交際費341万円を使い込み、ゴルフやスナック遊びにふけるという悪事に身を染めていたのである。この問題は平成13年12月の川越市議会で取り上げられ、神田氏就任時期の交際費が、他の年度と比べて段違いな高額に達していたことが暴露されていた。(神田寿雄氏が川越都市開発の専務取締役に就任した期間は、平成9年5月21日から平成12年5月18日までの3年間)。
こんな人物が、今回ふたたび川越市議会議員のポストを射止めたのである。むろんそれは、笠幡地区から彼以外に誰一人立候補しなかったことを含め、市民の選択の結果である。だが本紙は、たとえ微力ながらも神田市議の「黒い疑惑」を、詳細なデータとともに問題化した。川越市議諸氏の中で、本紙の存在が小さかろうともそれは問題ではない。問題なのは、神田市議にまつわる疑惑、反市民的体質そのものである。
だが市議会議員の誰も、神田市議の「疑惑」を問題としない。現に、細谷金作が神田氏らの山林を違法に開発し、土地を転がし、信じられない高額で県にまとめて売却した際の証拠文書もある。笠幡地区にはいまだに神田氏らの土地=「謎の空き地」が無惨な姿をさらしている。県住笠幡団地建設計画そのものについても、埼玉県は「凍結中の継続事業だが、それ以外のことは資料の不備等で一切わからない」と実にミステリアスかつ、いい加減な回答しかしていないというダークな状況がそろっている。
神田市議は当時、川越市上級職員。その彼が、村上元助役らと共謀した……つまり神田市議らが、かつて行政官としての立場を悪用して行った錬金術=反市民的行為だったことを示す痕跡が、あまりに多いにもかかわらず、である。本紙はむしろ、逆にこう言いたくなるのだ。「我々は多大な時間と労力を費やし、ここまでは調べた。ここから先はあなた方、政務調査費を得て動く市議会議員の仕事だ」。
だがこれまで、神田市議の疑惑一つをとっても、問題にした市議がいただろうか。昨年9月の市議会会期中、舟橋市長は各会派のリーダーに対し「弁護士・市長」の両方の署名にて、「学校乗っ取り」疑惑の被害者・松村東氏を誹謗中傷する文書を配布し、刑事告訴された。「学校乗っ取り」の真偽はさておき、現職市長が会期中に、刑事告発されるに値する誹謗中傷文書を市議らに配布したのである。この事実を問題にした市議がいただろうか。ゼロである。
「川越市議会は市長や行政に対してチェック機能を果たしているのか」……。神田市議はオンブズマンが発したこの質問に「多少果たしている」と回答している。「大いに果たしている」では、自らが追及されないことを露骨にほくそ笑んでいるかのようだ。「あまり果していない」以下の選択肢では、あまりに「正直」だ。疑惑の市議でありながら、あたかも自らの疑惑を払拭するかのように、市職員公金横領事件に対する百条委員会では委員に名を連ねた神田市議が選んだ選択肢……これが「多少果たしている」だ。まさに神田寿雄という市議自身が、市議会を半分馬鹿にしていることの証左ではなかろうか。
「議会制民主主義原理主義」の先鋭的な理想論も結構だ。だが清濁あわせ飲み、それでも失われない強いヴィジョンに基づく理想を掲げる市議の姿を確認するのは、オンブズマンの公開質問への回答からは難しいと思われる。
「市長および行政へのチェック機能を果たしているか」との問いは古くて新しく、答えるのは簡単なようで難しい。だが「川越市議会には自浄作用が働いているか」との設問であれば、本紙の答えは「ノー」だ。■
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