前略
いつも拝読させていただいています。
さて、このたびお便りしたのは、この年末の時期に奇妙な年賀状が来たことをお知らせするためです。年賀状の差出人は渋谷実県議会議員です。
お年玉付き官製年賀状が拙宅の郵便受けに正月前に入ったのは、何かの間違いかと思ってみましたら、印字された「年賀」の部分にバツ印がされ、宛名の下には自由民主党が川合よしあき氏を次期市長候補として推薦決定したと記載され、更に弁護士・川合よしあきと名前が並んでいます。
裏面は、渋谷実県議の一般質疑について「県政報告」として刷り込まれていました。私は、引退する以前は公職にあったので、このやり方にはいささかの問題を感じます。これはまず、年賀状を使った時点で地方議員から国会議員にまで課されている「虚礼廃止」の規定に違反している可能性が強いということです。
公選議員は、自己がその職に選出される基盤となる選挙区内の有権者に対して、年賀状や暑中見舞いなど、一般世間で通用している挨拶状や贈り物をしてはならないことが、政治改革の中で議論の末、決定されてきました。特に年賀の問題は重く、一般的な「議会活動報告」のような自主的印刷物の配布でも、自分の名前と並べて「謹賀新年」とか「賀正」、「明けましておめでとうございます」のような文面を書いてはならないことになっています。渋谷県議の「県政報告」には、こうした文面がなく、「年賀」の印字にバツ印を付してあるものの、年賀ハガキを使っていること自体に年賀状としてのメッセージが込められたことになります。
ひとことで言えば、脱法行為そのものです。
更に、川合よしあき氏についての記述を、官製はがきで書き送ることは、来る市長選挙の事前運動そのもので、公職選挙法に明確に違反するものだと思われます。通常、支持の依頼や自分たちが推薦する候補者を支持者に知らせる場合は、「部内資料」として告知しはがきのような誰にでも見える形の伝達手段を用いることは望ましくないと法律解説ではされています。
私は従来から、渋谷県議はやることが公明正大で、ある意味で愚直なくらい正直なところをかっていたのですが、今回の件には驚きました。最近、議員活動には「連座制」も適用される責任の重さがあり、あらゆる行動には慎重を期さねばなりません。仄聞するところでは、渋谷県議の後援会内で人事をめぐる揉め事が発生しているといいますし、コンプライアンスに関する判断力が喪失してしまったのかもしれません。
何者をも恐れず、直言される貴紙が御検討の上、警鐘をならしていただければ幸いと考え、一筆したためました。
何卒よろしくお取り計らい下さいますようお願い申し上げます。
草々