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日進竹の山南部特定土地区画整理事業問題
西尾克彦議員の質問で一歩前進の成果(愛知県日進市)
造成の宅地で、7月から亜炭坑跡地の地中調査を開始

 地中に埋設された産廃ゴミや亜炭坑跡地による空洞の存在が疑われる日進竹の山南部特定区画整理事業区域について、7月から音波測定等を含む地中調査が実施される。これは、3月8日に日進市議会で西尾克彦議員(日進公共事業監視会議議長)が取り上げたものに対し市側が「組合が計上した5000万円で調査を実施する」旨の答弁をしたことにより、実現したもの。

 日進竹の山南部特定土地区画整理事業の対象区域(約90ha)では、かねてより地中に空洞を残す亜炭坑跡地の存在や産廃ゴミ埋設の疑いが指摘され続けてきた。昨年、同区域内の北部保育園建設予定地で組合側の否定にもかかわらず、巨大なコンクリート片等を含む大量の産廃ゴミが掘り出され、問題が大きく沸騰したものだ。

  ことしの2月4日に竹の山集会場で亜炭坑問題についての説明会が開かれた際は30人の住民が集まり、「自宅の底地に空洞があるのを発見した」「家に不自然なひずみが出て、ひび割れが生じている」など、宅地の地下に存在する空洞や産廃ゴミの影響と見られる深刻な問題の発生が住民から指摘されていた。

 宅地の土中にガスを発生させる産廃ゴミや亜炭坑跡の空洞の存在は、大規模地震の発生が懸念される東海地方においては土壌の不安定化により大変な危険をもたらすことが明らかだ。西尾議員は現実に小牧市で発生した亜炭坑跡の空洞によると見られる住宅陥没事故の例(都市整備機構が開発した宅地で2棟の住宅が地盤陥没で居住不能に)を指摘しながら、こうした事実を伏せて区画整理事業区域内の宅地販売を推進してきた事業組合や日進市の責任を追及してきた。

 議会で答弁に立った中川勝美日進市助役は、こうした問題を伏せての宅地販売に手を貸した市の責任をなかなか認めようとはしなかったが、西尾議員と日進公共事業監視会議など住民側の動きに押され、市や組合としても土中の調査に乗り出さざるを得なかったものといえる。

消えた亜炭坑対策工事費14億円について新資料! 

 西尾克彦議員は、市議会質問でかつて14億円が予算計上されていた亜炭坑対策費が不可解にも5000万円まで減額された問題についても質していたが、この度、市から提出された資料で事業組合側が亜炭坑跡地について実態を調査し、その危険性を認識して当初の対策予算(10億円)を14億円まで増額した事実が明らかになった。

 資料は、日進公共事業監視会議が行った情報開示請求に応えて日進市が提出したもので、日進竹の山南部特定土地区画整理事業組合の平成6年度第3回通常総代会議事録、同平成10年度第1回臨時総代会議事録、同平成13年度第1回臨時総代会議事録、同平成14年度第2回臨時総代会議事録、日進竹の山南部特定土地区画整理事業・事業計画書(最初のもの)、同変更事業計画書(第2回)、同変更事業計画書(第3回)、愛知県建設部長から日進市長宛の事業計画の変更認可についての通知(平成15年4月4日)、組合や玉野総合コンサルタントが東京に出向いて建設省と行った防災連絡ヒアリングの打合せ・協議記録簿(平成8年1月16日)等からなる。これらによると、亜炭坑跡地の対策が空洞の充填によるものと想定されており、その予算が次のように変遷してきたことを確認できる。

 10億円(最初の事業計画書)→14億円(平成6年度第3回通常総代会議事録、第2回の変更事業計画書、防災連絡ヒアリングの打合せ・協議記録簿)→2億円(第3回の変更事業計画書)→5000万円(県から市長宛の事業計画の変更認可についての通知)。

 こうした経緯の中で示されている予算書では、14億円が計上されている頃までは「亜炭坑充填費」と但し書きがされているが、2億円に減額されて以降は「亜炭坑対策費」との但し書きに変えられている。つまり、安全のための工事実施費用という性格が、「対策」というボヤけた性格のものへと予算の意味が後退させられたのだ。

 これについて、中川助役は3月8日の西尾議員質問に対する答弁の中で「組合は亜炭坑道跡に係る処置について、平成13年の事業計画変更の時点で充填による陥没等の未然防止から、万が一陥没等が起こった場合にその都度処置する方針へと切り替えたというものであります」と述べており、予算の性格が後退させられたことを裏付けている。

 基本的人権を構成する根源的権限である居住権を住民が行使する土地について、安全が第一であることは言うまでもない。これは、国や自治体はもとより区画整理事業組合や民間デベロッパーまで事業に必須な前提条件である。仮に造成する宅地の地中に空洞などが存在すると思われるなら、これを発見し陥没を未然に防止するために措置をするのが当然だ。

 中川助役は平然と「その都度処置する方針へと切り替えた」と述べているが、震災などを考えた場合、これは「住民が仮に死傷しても後から処置すればよい」と言ったのも同然のことで、行政マンには決して許される台詞ではないのだ。では、肝心の区画整理事業組合はどう考えていたのか。

亜炭坑跡地の危険性を認識していた組合理事長

 平成6年度第3回通常総代会議事録(平成7年3月25日)には、当時14億円とされた「亜炭坑充填費」について、牧進理事長の次のような発言が記録されている。

「亜炭鉱の対応については、充てんを考えていますが、昨年ボーリング調査、現地の聞き込み調整も行い、その結果により充てん費用を4億円増額しました。いずれにしても換地・保留地ともしっかりした地盤を作ります」

 更に充填工事の方法について総代の一人から質問されたのに対して、牧進理事長はこう明言している。

「この近辺の折戸東部の組合で行った方法ですが、キラと言われる製陶の際に出ます廃棄物と、コンクリートをまぜて亜炭鉱跡に注入してゆきます」

 当初の亜炭坑充填予算10億円を14億円に増額した背景には、ボーリング調査を含む実地調査で判明した亜炭坑跡地の存在があったということなのだ。これらのやりとりは、当時の牧進理事長をはじめとする組合の幹部たちが亜炭坑の危険性をハッキリと認識していたことを如実に示すものである。

 これを更に裏付けるのが、平成8年1月16日に東京の虎ノ門パストラルで開催された建設省と区画整理事業組合、愛知県、日進市、玉野総合コンサルタントが出席しての第1回打合せ・協議の記録簿である。ここでは、「事業費の附帯工事14億円は何か」との国側の問いに対して、計画実施側が「亜炭古洞の充てん工事費である。工法は、セメントミルクの注入等を予定している」と明確に答えていることが記録されている。
 
  資料に示されたこれら一連の事実は、この間、日進公共事業監視会議や西尾克彦議員の追及に対して、亜炭坑跡地の存在の危険性をひたすら隠し続けてきた区画整理事業組合とこれに追随してきた日進市役所の欺瞞ぶりをあらわにしたといえる。既に工事費を「10億円から14億円に増額」させる決定を一時はさせたほどのボーリング調査を含む実地調査の結果があったことが明らかであるので、日進市は直ちにこれを再検討して組合を指導すると共に、当時の調査資料を市民に公表するべきである。

「なるべく支出をおさえて、事業費をやすくすませる」ために充填費を減額?

 では、「工事費の増額が必要」との認識がなぜ全く逆の方向に転換させられ、「対策費」に名を変えた予算が14億円から2億円へ、更に5000万円へと“暴落”させられたのか。「充填費の14億円への増額」がされたわずか2〜3年後の平成10年度第1回臨時総代会議事録(平成10年6月27日)には、総代と牧進理事長の間で次のようなやりとりが見られる。

総代「保留地処分金についてお伺いしたいのですが、現在の経済情勢をみてみますと、周辺の土地売買価格は、以前の半分ちかくになっているのが現状で、今回の変更ではuあたり170,000円に変更されておりますが、この金額による収入で事業全体の施工は大丈夫ですか。(後略)」

理事長「保留地処分単価については、今回の変更でuあたり170,000円に変更しておりますが、実際の処分については、現状でこの単価が最高の水準であると考えており、将来の地価の動向がはっきりとしませんが、非常に厳しい現状であることは認識しております。支出についても、工事事業、調査設計等の実施についても十分に検討し、なるべく支出をおさえて、事業費をやすくすませるよう、今後も努力していき、事業費が足らなくならないよう努めてまいります」

 「なるべく支出をおさえて、事業費をやすくすませる」…そうしなければ、土地価格下落で不振な見通しとなった保留地の宅地販売による事業費確保すら難しくなるというジレンマに区画整理事業組合は陥ってしまったということだ。これは理事長のみならず、他の総代からも理事長発言を受けて「事業の終りになって事業費が足りないというような状況になってはこまるので、工事費、調査設計費等の支出をなるべくおさえ、この事業が円滑に進むように努力していただきたいです」との発言が出ていることからも、組合幹部全体の認識であったことが確認できる。

区画整理事業組合と日進市役所、玉野総合コンサルタントの責任は重大

 しかし、待ってもらいたい。こんな認識の下で、14億円も予算計上されていた安全のための対策費用が2億円、さらには5000万円へと減額されてよいはずはない。

 「支出をおさえなければ、事業費がまかなえない」のは、計画をした者の責任であって、安全面で“安普請”をした宅地を購入させられる住民であるはずがないではないか!

  要するに、亜炭坑跡地や産廃ゴミ埋設の存在(最終処分場も2ヵ所あったことが県の資料で確認できる)で安全な宅地を造成するのに多大な費用がかかるプランであるのに、一時の“右肩上がりの地価高騰”にまどわされ、200億円以上という巨額な事業費も保留地を高額で販売することでまかなえるという甘い認識で突っ走った…日進竹の山南部特定土地区画整理事業は、プランの推進者たる愛知県や日進市、その意を呈した“県職員天下りの巣窟”でもある玉野総合コンサルタントなどの見通しの誤りで、広大な欠陥・危険宅地を生み出してしまったのである。

 行政と事業組合の責任は重大である。今後、市議会や住民運動での真相究明と事態打開への追及活動が期待されるが、小紙としても引き続き全力でこの問題の報道に取り組んでいきたい。

(愛知支局)

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