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新町長就任・早くも歪みはじめた三芳町行政
「緑ヶ丘地区排水管布設工事」(第2工区)の指名入札
同一工事の途中で突然の「ルール変更」
「改善策」というが応札可能な地場業者は「疑惑の一社」のみ!

 公共工事発注に際し発注者が何の予告もなく、突如として入札ルールを変更したとしたら。「フェアな競争」とは言い難いはずだ。

 その結果として、かねてより談合業者との疑いのある「ダークな業者」だけが入札に参加できるようになったとしたら。もはや「アンフェアな競争」どころか、そこに生じるのは官製談合疑惑以外の何物でもない。

 新町長と「疑惑のS社」。その意を受けたと噂される某町議から「指名委員会」への圧力が、突然の予告なし、地場業者を土俵に上らせない「入札ルール変更」へとつながった……。こんな情報がいま、三芳町を駆けめぐっている。

三芳町発注工事・入札に新町長側の政治介入疑惑?
「緑ヶ丘地区排水管布設工事」第2工区(中止)の露骨な業者選定

 緑ヶ丘地区排水管布設工事――。埼玉県三芳町大字藤久保地内に排水管を布設するこの工事は、全体工区が2つに分割されている。そのうち第1工区についてはすでに完工ずみ。昨年5月16日に行われた指名競争入札では、三芳町の地場業者4社を含む合計12社が応札し、地場業者である(株)小笠原土木工業が落札。直ちに翌日から着工し12月8日に完了している。

 今年4月27日、残る工区の工事入札(予定価格6305万3333円)が告知され、5月15日に「緑ヶ丘地区排水管布設工事(第2工区)」の指名競争入札が、埼玉県三芳町役場にて行われる……はずだった。

 だが当日になって、発注者である町側は突如として入札の延期を決めた。入札直前でのこうした延期措置、その理由はたいていの場合「談合情報」だ。昨年の第1工区工事入札に応札した三芳町地場業者4社のうち、筆頭格にあたるS社に「入札妨害の疑いあり」との情報が町役場に寄せられたのである。

 町は直ちに予定されていた入札をストップし、2日間にわたる事情聴取を行った。そしてくだんのS社をはじめ応札業者から誓約書をとる形で、あらためて6月20日を入札日に設定した。

 ところが延期されたこの日の入札、今度は業者の辞退が続出した。結果的に入札そのものは中止。現在、三芳町は第2工区の発注に関し、指名競争入札にするか一般競争入札にするかという方法論も含め、9月議会への提出を予定し全面的に見直している最中という。

 この工事における「第1工区」「第2工区」という工区の線引きは、いわば便宜上のもの。もともとは「緑ヶ丘地区排水管布設工事」という一貫した大きな工事案件である。その要は推進工事。総延長約423メートルの推進工事部分は、ほぼ均等に分割されている(第1工区は209・7メートル、第2工区は213メートル)。2回に分けた工事の規模も推進部分に要する技術も、どちらも大差ないものだ。

 2つの工事に大差があるとすれば、それは技術的な部分ではなく政治的な部分だ。第1工区は林孝次前町長時代に行われたものであり、第2工区は現・鈴木英美町政のもとで行われるのである。

緑ヶ丘地区排水管布設工事(埼玉県三芳町発注)
第1工区(2006年度)
5月16日
入札執行。落札業者は三芳町の(株)小笠原土木工業。
5.17(着工) - 12.8(完工)
第2工区(2007年度)
5月15日 入札予定日。S社による入札妨害情報により延期。
三芳町、業者らに2日間にわたる事情聴取。問題なしと判断し誓約書を取る。
6月20日 再度の入札予定日。多くの業者が辞退。町側の判断で中止。
入札そのものの全面見直し(9月議会上程予定)。

 

突然の「ルール変更」
三芳町発注の工事、三芳町(地場)業者は1社のみ
第2工区入札にだけ「建設業法」を云々する三芳町の恣意性

 先にも記したとおり、第1工区入札に応札した12社のうち、三芳町に本社を置く「地場業者」は4社だった。だが第2工区では、地場業者は1社しか参加させない。しかもこの1社、さる5月15日に町に寄せられた「談合疑惑業者情報」の、まさに当事者だった。

 第1工区の入札は何の滞りもなく完了したのに、第2工区はなぜ入札そのものが中止に追い込まれる事態を迎えたのか。本紙が調べたところ、平成18年度に行われた第1工区入札と、今年度に行われた第2工区入札……実はこの2回の入札には大きな違いが設けられていたことが明らかになった。いわば「緑ヶ丘地区排水管布設工事」というひとつの一貫した工事の最中に、発注者(三芳町)が何の前触れもなく、突如としてルールを変更したのだ。つまり第2工区入札への業者指名に際し三芳町側は、それまでの第1工区入札にはなかった条件、「特定建設業」という名分を、一切の予告なく、議会に諮ることさえなく入札条件としたため、ほかの三芳町業者は入札から排除されたのである。

 建設業法によれば、建設業者は「特定」と「一般」とに分けられている。両者の違いは下請への発注金額の制限。つまり一般建設業と特定建設業ともに請負額の制限はないものの、発注者から直接請け負った工事(元請)を下請に発注できる金額に違いがある。一般建設業者は、下請契約の総額が税込みで3千万円(建築一式工事の場合は4千5百万円)以上は下請に発注することができないのである。外注先の下請業者を保護する目的から、建設業法にはこのような条項が備えられている。

 この排水管布設工事は、両工区とも約6千5百万円規模の大がかりなものである。そして工事のうち主要部分が推進工事であることは先に記したとおりだ。推進工事とは下水道をはじめとする管路の非開削埋設工法。まず立坑を堀り、そこから特殊な機械(掘進機)を使用して地中を採掘し、掘進機の後続に推進管を順次継ぎ足すことで管路を築造する方式。排水管布設工事のまさにメインに相当する部分であり、工事予算の多くがこの推進工事に投入される。

 推進工事は特殊な技術および機材を要する工事である。そのため発注者(三芳町)から直接工事を受注した元請業者はたいていの場合、推進工事の技術および機材を持っている下請業者を使わざるをえない。そしてここに問題がある。

 三芳町の本件工事の場合、すでに完工した第1工区(予定価格6千5百万円)のうち、町側が積算した推進工事予算は3千万円を超えていた(実際の工事金額は2520万円)。第2工区も工事規模はほとんど変わらないため、やはり町側の積算によれば第1工区とほぼ同額の予算が設定されている。本来ならば両工区とも、元請が「特定」建設業者でなければ、下請を使うことができない工事なのだ。

三芳町のとってつけたような言い抜けぶり
町の法令遵守?改善策?
地場産業育成に重きを置けば、新行政は著しい後退!

「3千万円を超える下請を使う業者は、特定建設業者でなければならない」という建設業法の大前提をいまさら持ち出し、第2工区入札にかかる指名選定段階で突然のルール変更を行った三芳町。「建設業法へのコンプライアンス(法令遵守)」を、なぜいまごろ言い出したのか。本紙は町役場を訪ね話を聞いた。対応したのは5名の上級職員。そのうち1名は現在の「助役(副町長)なき三芳町」で、本来なら助役が担当するはずの指名委員長の代理を務めるT総合政策室長だった。

 なぜ第2工区工事で突然、“特定”業者を指名基準に含めたのか、という本紙の問いに対し、町側が開口一番に持ち出したのはやはり「建設業法」だった。そのうえで「担当課の意向を受け指名委員会に諮った上で、他市町村との比較をも考慮した結果だ」と述べた。

Q:なぜ、わざわざ第2工区から、なのか。

A:「平成19年度という区切りがよかったため、第2工区入札には『特定』という条件を入れた。これは入札の『改善策』だ。第1工区のときは、われわれの判断基準が甘かった」

 先に述べた通りこの工事、2つの工区に分けられているとはいえ、もともとは一貫した「緑ヶ丘地区排水管布設工事」である。工区分けは便宜上のものであり、実際には平成18年度から着手しはじめられた、ワンセットの工事案件だ。むろん、建設業法の遵守は重要である。しかし「改善」という形であらためて建設業法へのコンプライアンス姿勢を見せるなら、この「排水管布設工事」以後の工事案件からはじめればよいのではないか。

Q:「建設業法に則した改善」を図るなら、今年度から新規スタートする発注案件からはじめる、という方策もあったはずだ。実質上、昨年から継続している事業の途中で指名基準を変更する必要がどこにあるというのか。

A:「……」

Q:“特定”について、業者には予告したのか。それとも突然変更したのか。

A:「予告はしていない。あくまで平成19年度から、という切りの良さから踏み切った。予告しなかったことについては反省している」

 公共工事の入札は、発注者と受注者とが対等の立場で実施されねばならない。発注者と受注者の対等な立場での合意による、公正な契約の締結がなされてはじめて透明な入札となる。これは「公共工事品確法」の精神そのものだ。その大前提として、発注者側は応札条件を完全に情報公開し、条件に変更があった場合は入札前にこれを明らかにする必要があることは言うまでもない。発注者が「年度の区切りがいいから」と、恣意的かつ予告なしに応札条件を変更することなど、許されるはずがないのだ。「予告しなかったことについては反省している」とは何事か。重大なルール違反である。

Q:前回(第1工区)入札の際も、推進工事の積算価格は3千万円を超えていた。ならば前回の入札は建設業法違反だったのか?あるいは違反であったかどうかをチェックしたのか?

A:「建設業法違反には当たらない。だが改善すべき問題として認識していた」

 三芳町は地方交付税不交付の財政優良自治体とはいえ、行政区画としては小規模である。町内に営業所だけを構えた他市大手業者と、数少ない地場業者とが同じ条件で競争すれば地場業者に不利であることは想像に難くない。地場業者の受注機会が減る傾向は否めず、健全な地場産業の育成もままならない。そうした懸念を抱いてきた林前町長は、本来ならばランクの低い業者であっても、三芳町発注工事に際しては特別なランクアップを図り受注機会を増やすなどの方策をとってきた。同時に多くの工事に際し指名競争入札を導入。そこには地場業者への受注機会増大という方針のほかに、一般競争入札の乱用は深刻なダンピングを招来する、という強い懸念も影響していた。

 国土交通省は地方自治体における一般競争入札を奨励している。だが公共工事のダンピング合戦と、その結果による出血価格での受注が手抜き工事につながる危険性は、いまやどこの自治体でも大きな問題となっている。一般競争入札が入札制度の公正・透明性を図るとはいうもの、その実、工事品質を低下させ、地場業者の企業経営を弱体化させるからである。

 しかも入札条件に「特定建設業」(マル特)などを付加された暁には、三芳町の豊かな財源を虎視眈々とねらう他市大手業者に、町は食い物にされる。地場業者はひとたまりもない。

「国がいくら『一般競争入札』を奨励しようとも、国の方針は国の方針。地場業者育成のためにも、ダンピング受注による手抜き工事で住民の生活を脅かさないためにも、わが町はおもに地場業者を対象とした指名競争入札を多く行う」とした林前町長の方針……。首長のこうした毅然とした態度こそが、地方自治体の独自性を担保するのである。

Q:現在の三芳町政は、これまでの林前町長の政策や方針を否定するのか?

A:「否定する、というつもりはない。だがあくまで建設業法には従わざるを得ない」

 建設業法はいうまでもなく国家の法律だ。だが国の法律だけで自治体が運営できるなら、そもそも地方自治体(地方公共団体)などという単位は必要ないではないか。地方公共団体は国の出先機関ではない。新たな鈴木町政に、地方自治体の独自性はどこにあるというのか。そして町側のいう「改善策」の結果、第2工区入札に応札できる地場業者はたったの1社、まさに、さる5月15日の「入札妨害情報」で当事者と名指しされた疑惑の業者だけになったのである。

Q:町側の言う「改善策」により、応札可能な業者は「疑惑のS社」だけになった。ほかの業者は、競争に負けて姿を消したのではない。土俵にすら上がれないのだ。「平成19年度の区切り」とは、町側のご都合にすぎない。何度も言うがこの工事は性質上、昨年度から一貫して行われている工事案件と考えるべきではないのか。

A:「我々も最初から「3年計画の工事」としておけば問題がなかったのでは、と思う」

「三芳町の工事に三芳町の業者が入れない」という矛盾。根本的に大きな問題を持つこうした方策を、三芳町行政が国の方針を楯に強行することで、自治体の自主性そのものが著しく後退していくのである。住民の厳しい目が、今後の三芳町行政を睨んで当然だ。

就任2ヶ月、早くも露呈しはじめた「選挙の後遺症」?
選挙戦で鈴木町長(候補)にべったりだった「疑惑のS社」
第2工区は「官製談合だ」との声も上がっている

 そして町側は、驚いたことに「第1工区入札も第2工区入札も、それほど違いはないはずだ。いったい何が問題なのか」と平然と述べたのである。何らの予告もなく、一言の釈明もないまま突然「こちら(町側)が、こちらの意志でルールを変えたのだ。業者は黙って従え」と言わんばかりの方針変更のあげく、「それの何が問題なのか」とは、悪しき「官尊民卑・独善的お上意識」の典型だ。

 いやそれだけではない。実は本紙、三芳町役場を訪れる前段階で、現鈴木町政をめぐるさまざまな噂を耳にしている。そもそも今回の三芳町による突然の指名ルール変更についても、さる4月に行われた町長選の「後遺症」が早くも露呈しはじめた、との声が各所から聞こえてくるのである。さらにはS社が「特定業者」であること自体も、真相はS社が某町議を通じ、町側(T総合政策室長)に「『マル特』をつけてくれ」と依頼した結果だ、という噂さえもが流れている。S社がそこまでできる理由とは……鈴木町長の選挙戦にS社が大いに協力したからだ、というのだ。

 S社は三芳町業者のいわば筆頭格として、これまでも「談合のとりまとめ役」との噂が浮上してきた業者である。

Q:“特定”業者という条件付けに関し、一部の議員から圧力がかかったという噂があるが?

A:「そんなことはない。先にも言ったとおり、担当課からの申し入れで指名委員会に諮ったものだ」

Q:現に鈴木新町長と、その意を受けた町会議員が町役場に圧力をかけ、何とか三芳町の地場業者をS社1社に絞って応札させ、チャンピオンにしようという目論見があったという噂を何度も聞いている。また最近「町長選で鈴木陣営に味方しなかった業者が、町発注の仕事を予告なしにどんどん切られている」との声も聞く。そうした噂と突然の指名ルール変更とを合わせてみれば、「官製談合」の疑いをますます強めざるを得ない。

A:「そのような噂と一緒にされれば、疑われても仕方がないだろう。町側から予告なく一方的に契約を切られた業者はいない」

「いない」どころか事実、排水管敷設工事第2工区の地場応札業者は何の予告もなく事実上の排除……契約どころか、契約できるか否かの競争の場に出場するチャンスさえ、突如として奪われたのだ。その他の案件でも、「突如として切られた」業者は少なからずいるはずだ。本紙は憶測で書いているのではない。

鈴木新町政の独断と偏見に住民からはやくも不満の声
議会は三芳町行政を厳しく監視せよ

 これらはみな、前町長時代には見られなかった問題である。新町長の登場からわずか2ヶ月で、三芳町行政にはこれまでにない歪みが生じ始めている。これがもし新しい町長、ならびに町長側に立つ一部議員の政治介入に起因するものであるならば――。行政職員はこうした「ごり押し介入」に対し、毅然とした態度で挑まねばならないことは言うまでもない。だが現三芳町行政の姿勢はどうか。まるで開き直ったかのような「建設業法へのコンプライアンス」を錦の御旗に掲げるその姿から、本当の意味で町の地場産業育成という課題に対し真剣に向き合っている様子を見ることができるかと問われれば、はなはだ心許ない。

Q:今回の入札は「中止」、つまり今後行われる入札方式はこれまでのものとは関係なく、指名競争か一般競争かを含めて全面的に再検討するとのことだが、その中に「特定建設業」という条件を含めるのか。

A:「適正な入札にすべく全面的に検討する」

 本紙は今回、三芳町が取ったやり方……予告なしの、突然の指名方針変更のような行政の取り組み方を看過することはできない。それどころか経験則として、こうしたケースの背後には官製談合の匂いが充満していることを指摘せざるを得ない。

 先にも記したとおり指名委員長の代理を務めたのはT総合政策室長。この人物、当職に就く前のポジションは三芳町税務課長である。指名委員会委員の経験はまったくなし。ゼロなのだ。

 またこの人物、町役場においては現鈴木町長の懐刀と噂され、鈴木町長のイエスマンだとさえいわれている。林町長時代には他職員からの受けが悪く、庁内で重要視されていなかったとの噂もある。

 林町長時代、三芳町は市への昇格を睨み3名の参事制を導入したのだが、本来指名委員長代理はこの3名の参事の中から選択するべきではなかったのか。それが町行政にとって順当な人選だったはずである。指名委員会未経験という、こと入札執行に関しては門外漢だった人物を、いきなり指名委員長代理にするとは無謀にすぎる行為ではないのか。

 ちなみに、林前町長が選んだ3名の参事はそれぞれ、まるで左遷のように要職からはずされたという。

 こうした姑息な手段で行政の刷新など図れるはずもない。むしろ行政の後退だ、と鈴木町政に対して早くも住民から不満の声が上がっているのが現実だ。

 三芳町行政は、6月20日に再度実施されるはずだった入札に際し業者の辞退が続出したのは何故なのかを、よく考える必要がある。「疑惑のS社」という「チャンピオン」がすでに決まっており、すでに事情聴取まで受けていたとなれば、どこの奇特な業者がわざわざ再度の入札に参加するだろうか。

 三芳町は次回入札にむけ、その方式について全面検討を明言。今回中止した入札の背後にある「疑惑」については否定した。だが火のないところに煙は立たない。鈴木英美新町長誕生の「選挙の後遺症」が、これまで大きな問題もなく安定して運営されてきた町政に早くも歪みを生じさせているのではないのか。こうした入札の問題のみならず、多方面にわたる行政の歪みがたがいに共振し、やがて三芳町に大きな暗雲が立ちこめることになる。S社との癒着疑惑、鈴木町長にささやかれるスキャンダラスな噂を含め、本紙は三芳町の将来を大きく危惧するとともに、今後も鋭意注視していく所存だ。■

 

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