行政調査新聞社 社主:松本州弘 埼玉県川越市

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川島町議会
爲水町議、放置エタニットパイプについて質疑
メーカーと県、国の責任で恐怖のアスベスト管を早急に撤去せよ!

 本紙インターネット版はさる4月、埼玉県川島町の「平成の森公園」近くで大量のアスベスト管が放置されている事実を報じた。町民会館に隣接する土地2カ所に、経年劣化が始まった「エタニットパイプ」(アスベスト混入管、約200トン)が大量に野積みされているのだ。石綿の飛散による深刻な住民被害が懸念されることから、本紙は政府(環境省、経済産業省、厚生労働省)に通報し対処を打診。厚生労働省経由で埼玉県環境部廃棄物指導課、川島町生活環境課、そして埼玉県東松山環境管理事務所が本紙の案内で現場を調査した。

 6月12日、川島町議会で初めての一般質問に立った爲水順二議員(民主)は、この放置エタニットパイプへの対処について質問。町側はこれまで埼玉県と共同で進めてきた措置と調査状況について答弁した。

「日本エタニットパイプ(現日本ホーバス)与野工場」からの持ち込みと判明

 爲水議員は、野積みされた大量のエタニットパイプについて「劣化破損の恐れがないとはいえない」と指摘し、「町民会館を含め、近くにはお年寄りや子どもたちが日常的に出入りする施設もある。アスベストは、健康上たいへん有害であり、早急に撤去する必要がある。いつまで放置した状態にするのか」と質した。

 これに対して、高田康男町長は「農地民有地に放置されているものの、アスベストが飛散するおそれは少なく、切断破砕しない限り危険はない。また、現在、地権者に撤去指導を行っているが、個人に対して処理費の補助をする気はない」と答弁。生活環境課は、「野積みされた2カ所でエタニットパイプの破損やアスベストの飛散を防ぐために、当面の処置として埼玉県と町が共同でビニールシートをかけた。現在、地権者への撤去指導を文書で行っている他、持ち込まれたエタニットパイプの所有関係を明らかにするための調査を継続中」と経過を説明した。

 爲水議員はつづけて早急な撤去に向けての努力を要請するとともに「放置されたエタニットパイプは、川島町が撤去した廃管との噂もあるが?」と問い質したのに対し、生活環境課はこれまでの調査内容をふまえて要旨、次のような説明を行った。

  • エタニットパイプが野積みされたものとはいえ、責任関係を明確にして対処していくためには、パイプそのものの所有関係を明確にしていく必要がある。
  • 川島町は埼玉県の東松山環境管理事務所らとの共同で、旧日本エタニットパイプ(株)の経営を引き継いだ日本ホーバス(株)の毛呂山工場および本社を訪問し調査した。当時の関係者がすでに不在、あるいは「資料整理が困難」との理由から判然としない点もあるのだが、町民会館近くの2カ所に放置されたエタニットパイプは、旧日本エタニットパイプ与野工場から加工用の規格外品として持ち込まれたものであることが判明した(なお実際の町議会における答弁では、エタニットパイプ持ち込みに関係した企業の具体名は述べられなかった。しかし、答弁中、「毛呂山工場」「与野工場」その他、企業特定につながる具体的な状況が述べられたので、本紙で確認したところ、答弁で取り上げられた企業は日本ホーバスであることが判明したので、記事では企業名を記載することにした。尚、当該企業が日本ホーバスであることは、川島町や埼玉県の関係者に照会し、事実であることが確認されている)。
  • 2カ所に野積みされたエタニットパイプには、公共工事で撤去されたものは含まれていない。
  • 現在、地権者は町民会館近くに野積みされた分については、安全上の配慮から会社に管理を委託し、農地にある分は自己管理を行っている。「立ち入り禁止」看板の設置や、縄を張るなどの措置をとっている。

 アスベスト対策については、国の政策の転換に関わる問題であることから、使用者や関係地方自治体ばかりでなく、メーカーや国の責任を明確にしてすすめるスキームが検討されてきた。その点から見て、川島町生活環境課が調査の結果、野積み放置されたエタニットパイプの出所が旧日本エタニットパイプ与野工場であることを明らかにした意義は大きい。

「対処はメーカーの義務」と宣言=日本ホーバス

「埋設されている石綿セメント管を診断し使用可否を判断・処置方法・安全な撤去方法・最終処分方法等を提案し、対処することは石綿を扱った経験のあるメーカーの義務であると考えています」

 これは、日本ホーバスが自社のホームページ上で明らかにしているアスベスト対策に関するスタンスだ。

 日本ホーバスは、旧日本エタニットパイプの経営を引継ぎ、1981年以来、アスベスト含有のエタニットパイプに代わる強化プラスチック複合管を製造。同時にアスベスト製品に関する調査・診断・分析・撤去・廃棄に関する業務にも取り組んでいる企業である。したがって前身企業の「負債」であるアスベスト製品対策の責務をも負うことを自認している。

 今回の町議会で川島町生活環境課が明らかにした「放置されたエタニットパイプは、旧日本エタニットパイプ与野工場からの持ち込み」という事実経過がより責任性を明確にする形で跡付けられていくのであれば、川島町で野積みされているエタニットパイプの処理については「メーカーの義務」を天下に公言している日本ホーバスと、アスベストの大々的使用を長年にわたり認可してきた国が主たる責任を担うことになるのは明白だろう。

「あんな量のエタニットパイプを個人の責任で処理させるなんて、それこそ破産ものだろう」……。町議会で爲水議員の質問を傍聴していた住民の一人はそうつぶやいた。アスベスト問題とは、いわば国全体の失政のツケであり、現在放置されているエタニットパイプの処理について模索中の埼玉県と川島町は、その原点に立って国とメーカーに処理の責任を取るよう迫っていくべきだ。

<シートがかけられた状態の現在の廃パイプ。左側に町民会館が見える>

<道路脇の水路にも廃パイプが垣根として使われている>

 

「地元問題は目に入らないの?」
目前の放置エタニットパイプを尻目に
「10周年記念講演会」を開いた山口泰明衆議院議員

 6月12日の定例町議会の傍聴者たちは議会後、次のような感想を述べ合っていた。

 「それにしても、10日には山口泰明衆議院議員が議員生活10周年の記念講演会を町民会館で開いたというんだが、目の前にエタニットパイプが野積みされているのに何にも気がつかないのかね」

 「基調講演は、自民党の大幹部である中川秀直幹事長だったそうだね。そんな重鎮が来てくれるなら、その場で見せて対処を迫れば一発で解決だったろうにね」

 「いや、泰明さんはアスベストだのゴミだのに関心はないだろうさ。親父の泰正町長は、ゴミをどけるどころか、ゴミをあちこち埋めまくってカネをつくるような人だったのだから、息子がゴミを無くす仕事なんかしないだろう」

 本紙が報じた「平成の森」への大量の産廃埋設疑惑(島村工業と山口泰明衆議院議員の父である故・山口泰正町長の結託によるものと噂されている)は、川島町民にとって問わず語りの常識となっているそうだ。

 本紙は住民からの通報を受け、政府を含む関係機関に直ちに働きかけることで放置されたエタニットパイプへの対処を促してきた。これが町議会でも取り上げられ、町、県、そして政府が動くまでになってきている。

 だがそもそもこうした仕事は、地元から選出された「選良」たる国会議員こそが率先して取り上げ尽力すべき問題なのではないか。

「山口衆議院議員にそんなことを期待するのは無理だ。どうやって地元からカネを吸い上げるか、それしか頭にないんだから」

 地元の人がこう語るような国会議員。本紙は、山口議員の「カネ問題」(特に話題となった“カラ事務所費問題”)を取り上げ、直接取材もして追及したが、このような人物に郷土、国家の未来を託してよいはずがない。

そんな問題すら考えさせられるエタニットパイプ放置。この問題の早期解決を図るため、本紙は引き続き町民諸氏とともに力を尽くしていく所存だ。■

 

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