行政調査新聞社 社主:松本州弘 埼玉県川越市

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県住川越笠幡団地建設計画
存在確実な「遺跡」の調査依頼に対し「既知の埋蔵文化財なし」
川越市文化財保護課は無能集団か?

 本紙は2月から3月にかけ「短期集中連載」と銘打ち、県住川越笠幡団地建設計画をめぐる公務員らの犯罪に等しい行為を詳細に報じた。元川越市都市計画部次長の神田壽雄氏(現・川越市議会議員)、埼玉県住宅都市部長から転じ前川越市助役であった村上貞夫氏、そして現在、埼玉県住宅建物取引業協会会長を勤める郷土開発(株)の細谷金作社長らが「謎の空き地」を舞台に行った約9億もの犯罪的錬金術の全貌については、5回にわたる連載記事をお読みいただきたい。

【短期集中連載】 
いま明かされる、県住川越笠幡団地をめぐる「約9億円の錬金術」!

第一回:「謎の空き地」を追え!
http://www.gyouseinews.com/local_administration/feb2006/005.html

第二回:神田壽雄川越市議という人物
http://www.gyouseinews.com/local_administration/mar2006/003.html

第三回:マスタープラン
http://www.gyouseinews.com/local_administration/mar2006/004.html

第四回:傀儡たちの舞台
http://www.gyouseinews.com/local_administration/mar2006/006.html

第5回:森は森へ還せ!
http://www.gyouseinews.com/local_administration/mar2006/009.html

 だが、連載はこれで終わったわけではない。

 第5回連載を終えた後、本紙が埼玉県宅地建物取引業協会の主要役員に対し公開質問書を送達したことは既報の通りである。

 県宅建業協会副会長に宛てた公開質問書の本文中、本紙は次なる連載記事の予兆となる事実を「確認中」として短く記した。ご記憶の読者諸氏もいらっしゃるだろう。

 確認中ですが、その中には次のような内容のものがあります。
  『記事に取り上げられている県住用地では、宅地造成中に遺跡が掘り出された(川越市文化財保護課では業者よりの遺跡物発掘の届け出はないとのこと)。しかし、郷土開発(株)は作業の遅れをきたすことを嫌って、法律を侵して行政への届出義務を怠った上、これを産業廃棄物で埋め戻した』
  これは驚くべき情報で、事実なら許しがたい犯罪です。

 公開質問書の送付より約1ヶ月半を経た現在、本紙がこの内容に訂正を加えるとすれば、この事実経緯については「確認中」ではなく「ほぼ確認済み」だ。

 はるか昔、わが郷土に暮らした先人たちが遺した生活文化の痕跡は、今を生きるわれわれにとって貴重な文化財であり、保護すべき対象であることは言を俟たない。こうした文化財を「土地の造成作業の都合」により産業廃棄物で埋め戻したというのは、一度破壊すると二度と復元できない埋蔵文化財に対する認識の甘さどころの話ではない。文化財に対するおぞましき冒涜であると同時に許し難い犯罪といえよう。

 文化財保護法には、遺跡を発見した際には届け出なければならない旨が明記されている。

(遺跡の発見に関する届出、停止命令等)
第96条 土地の所有者又は占有者が出土品の出土等により貝づか、住居跡、古墳その他遺跡と認められるものを発見したときは、第92条第1項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。

 4月上旬、埼玉県で営業する、ある宅建業者が県住川越笠幡団地建設予定地……「謎の空き地」にて、確かに遺跡が存在したという証拠を入手した。同業者はこれをもとに川越市教育委員会生涯学習部文化財保護課に対し調査を要請した。

 だが28日、文化財保護課から来た回答には、埋蔵文化財の保護に対する責任をまったくといっていいほど感じられない、投げやりとも取れる文言が短く記されていたのである

重要文化遺跡等調査要請」について

(中略)このたびご照会のございました川越市大字笠幡の当該地につきましては、現在文化財保護法の周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しておりません。
  なお、土地の所有者または占有者が出土品の出土等により遺跡と認められるものを発見したときは、埼玉県教育委員会教育長に届け出なければならないとされております

 さる宅建業者は文化財保護課に対し、確証もなくいたずらに調査を依頼したのではない。本記事にて明らかにすることはできないが、自らの業者名および所在地等をすべて明記し、確たる証拠を揃えた上でのことである。

 またこの宅建業者は市に対し、当該地における既知の埋蔵文化財の存在可否について確認を要請したのではない。「謎の空き地」に存在することが確実と思われる、まだ見ぬ遺跡について、具体的な調査を依頼したのである。言うに事欠いて「周知の遺跡はない」とは、市は一体何を考えてこのような回答を示したのか。

「謎の空き地」の所有者は県。ならば「市民から遺跡の存在について調査依頼がありました」と、土地所有者に対する連絡はスムーズに行われるはずだ。自治体から自治体への連絡だからである。発掘調査許可も得られるだろう。これまで何度も報じたとおり、県住笠幡団地建設計画は「現在も進行中」なのだ。したがって発掘調査を行い、記録保存措置を執らねばならない。同時に土地所有者である埼玉県は、遺跡発見を文化庁長官に届け出なければならないのは、先に示した文化財保護法のとおりである。

 実際、開発や土地造成が遺跡発見につながるケースは多い。かつて大阪万博前の土地造成の際には、銅鐸鋳型の出土で有名な東奈良遺跡(大阪府茨木市)が発見されている。近年話題になった吉野ケ里遺跡(佐賀県神埼郡)、平塚川添遺跡(福岡県甘木市)も工業団地の造成中に発見されたものだ。

 だが多くの場合、遺跡は悲劇的な運命をたどる。工事を推進する側の企業や自治体にとって、遺跡とは工事を中断させ、場合によっては計画そのものを潰してしまう障害物に他ならないからである。そのため発見された遺跡の多くは簡単な調査のみが行われ、報告書一つを残しただけで永遠に消滅させられてしまう。一昔前では遺跡の発見で騒ぎとなるのを防ぐため、遺跡らしき物が出土するやいなや現場の判断で即座に壊してしまった例も多かったという。近年では01年には石川県の垣吉A古墳群の石棺が公園工事に、02年では沖縄県のイシグスクが土地造成工事に、また昨年6月には大阪府で古墳がNTTドコモ関西の基地局建設により、それぞれ破壊されたことが報じられている。

 これらの遺跡破壊はいずれもマスメディア等で報じられ、その都度埋蔵文化財に対する自治体の保護意識を糾してきた。川越市は同じ轍を踏んではならない。

 また「謎の空き地」をめぐり同宅建業者が所持している「証拠」は、遺跡だけにとどまらない。細谷金作氏があの場所に産業廃棄物を投棄した濃厚な疑いも、遺跡調査と同時に明らかになるはずなのだ。

 市は埋蔵文化財の調査と保護に対し責任を放棄しているのか。さもなければ神田および村上両人が仕組んだ犯罪行為を知りつつ、触れたくないとでも言うのだろうか。

 川越市はすみやかに「謎の空き地」、すなわち県住川越笠幡団地建設予定地における埋蔵文化財について調査せよ。■

 

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