
東松山市社会福祉協議会・リーマン債1億円焦げ付き問題
「損失補填責任を職員、市民に押付けるな!」
明白な厚労省通達違反!理事会議決も経ずに「高リスク金融商品」を購入
坂本市長の「独断専行」と、驚くべき「リーマン社債購入の真相」!
会長(坂本祐之輔市長)の独断で高リスク社債を社協基金で購入
際立ったワンマンぶりで政府通知・運用規定違反の
“投機的運用”をすすめた責任は重大!
またしても東松山市である。今度は市長の独断ぶりが大損失を生み出した。7月に逮捕者2名を出した東松山市政史上最悪の官製談合事件の余波もやまない9月27日、同市を再び激震が襲った。
すでに大手全国紙等でも報じられているとおり、同月15日に破綻した米大手証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングス・インク(以下リーマン社)の第4回「円建て外債」(サムライ債)1億円分を、東松山市社会福祉協議会(以下「社協」)が基金で購入しており、それが焦げ付き必至といった状況であることが明らかになった。同協議会は10月1日に臨時理事会を開き、社債が焦げ付く可能性が高いことを確認。人件費削減などで5〜10年をかけて損失を埋めることを決議したのである。
社協が同社債を購入したのは昨年11月。このときすでに「リーマン債は高リスク商品」と囁かれていた、と金融関係筋は述べている。
本紙が社協事務局長の吉田隆夫氏および東松山市特別理事の竹森郁氏に面談し取材したところ、重大な問題が判明した。リーマン債の購入は、会長である坂本祐之輔市長と事務局の独断で決定したというのだ。社協理事会には諮らずに、である。この事実については埼玉県社会福祉課も「理事会に諮らず決定することは、2007年3月の厚労省通知に違反している」と指摘している。
すでに報じられていることだが、当初の社協事務局や東松山市などによる説明によれば、社協の基金運用については、2007年3月の厚生労働省通知にもとづき「社会福祉法人が資産運用において、元本保証の有無にかかわらず金融商品を購入できるようになった」ことにより、社債購入に踏み出した、としている(社協は、リーマン債と併せてオーストラリア銀行社債も購入したが、問題の発覚とともにこちらは売却した)。
しかし社協の基金とは、そもそも福祉サービスを必要とする人のためのいわば「準備金」のようなもの。こうした資金を投機的に運用することが大きな間違いであることは、東松山市社会福祉協議会の基金運用規定で「元本の償還及び利子の支払いが確実な債券」に限る、としていることからも明白である。
明らかに社協の運用規定にそぐわない「投機的運用」が行われたのは、坂本市長の独断専行によるところが大きい。仮に理事会に社債運用が提案されていたら、基金運用規定に照らした上で、その投機性に疑念が持たれたであろうことは、間違いないところなのだ。
こうした点について、吉田隆夫事務局長ら社協や市の幹部たちは、「ペイオフ対策で預金利子がつきにくくなったため、06年に運用規定を改定して預金以外の基金運用を可能にした……」などと説明している。だからといって「投機的運用」を許すものであるはずがないし、そもそもこの運用規定改定自体が厚生労働省の通知に反したもの。「社協の理事は損失を負担する法的義務はない」「リーマン社債保有に違法性はない」と強調していた竹森特別理事は、虚偽の説明をしていたとして東松山市から戒告処分を受けている。
なぜ、こんなワンマン経営が社協にまでまかり通っているのか? 「市を挙げて福祉に取り組む」と公約して当選してきた坂本市長。しかし、その独断専行ぶりがしばしば仇となってきたことは、本紙も過去号にて取り上げてきた。
東松山市の官製談合疑惑にみる「度し難い感覚麻痺」
坂本市長の露骨な“議会軽視”
さる7月に発生した同市をめぐる官製談合疑惑である。特定業者見積に基づく不正常な入札実施に関わった職員15人が停職、減給などの懲戒処分となった上、逮捕者2名を出し、市政史上でもかつてない事件となった。
東松山市各課の体たらくぶりは度し難いものがある。なんと公共工事の予定価格を自ら算定できないため、業者からの見積を予定価格に採用。事実上、「行政からの予定価格漏らし」という官製談合土壌を作ってしまったのである。この「業者の見積をそのまま予定価格にする」という同市のあきれた入札方式は平成16年(04年)以降に生じたものだが、ここにも市長の独断体質が現れている。というのも本紙の取材に答えた行政関係者らによれば、坂本市長が当時の行政当局に命じた「事業費の一律20%削減」方針」がきっかけだった、というのである。一方的に尻を叩く市長に対して、なす術なく行政側が安易な方向に流れた、というのだ。
「ともかく、従来発注してきた事業の額面を2割カットするための方策に悩んだ職員が、現場の業者の知恵を借りる形でつい見積を取り、予定価格の参考にしたというのだが、そんなやり方が正常な入札を損なうことも、行政と業者の依存と癒着を進めてしまうことにも、幹部も含め職員の誰も思い当たらなかったのだ」
こうした市長の独善ぶりは、官製談合問題を審議した市議会の答弁にも現れた。官製談合疑惑が発覚する半月ほどまえ、すでに6月19日の市議会一般質問にて鈴木健一市議会議員が市長を問い糾していた。
鈴木議員は、「落札率の高止まり(※入札に於ける落札率が異常に高く、談合の存在を十分に疑わせるもの)について、何度も質問してきた。……ほんの少しでも注意していれば、常識的にもわかったのではないか。『事務方の最高責任者は副市長』ということで副市長が辞職したが、最高責任者は市長ではないのか。指名委員会の監督を市長が行なっていなかったことが問題ではないのか」と坂本市長に問い質した。
坂本市長は、「落札率が100%とか高止まりしているとかではなく、業者の見積をそのまま(予定価格として)出していたことが最大の問題」と、行政のあり方が問われていることを認めつつも、開き直りとしか言いようのない次のような答弁をも口にした。「このことを鈴木議員が知っていたなら、なぜ私たちに知らせてくれなかったのか。私も市長になって5年で折々議員の方が市長室に来て要望を多くされるが、鈴木議員はここ5年で一回もない。職員もいるのだから、質問ではなく担当課などにいち早く知らせてくれれば、市の発展にもつながる」
有権者の代表が行政をチェックする議会の場での答弁とは考えられない、あきれた暴言である。議員は、住民の要望や意見を議会の場で公に質すのが第一義的な仕事だ。市長が「質問でなく、担当課などにいち早く知らせてくれれば」と発言することは、議会の尊厳に泥を塗るものに他ならない。それこそ、「密室の談合」への誘いを市長自らがしたと言われても仕方のない所業である。無反省どころか、首長としての資格が問われる発言といえよう。
坂本市長の際立ったワンマンぶりを、あますところなく示すエピソードだ。市民の代表たる市議会議員の指摘すら、まともに聞く姿勢を持っていない。まして、社協の理事などはこのワンマン市長にかかれば……。
このワンマンぶりはしかし、リーマン債問題でさらなる損失拡大にもつながったのである。
なぜか報告されなかった「リーマン経営状態悪化」の情報(8月)
市長は「独裁者」転じて「裸の王様」か?
報道では、リーマン社が経営破綻する以前の8月下旬、ある証券会社社員から社協に対し、リーマン社の経営が悪化したため株価や社債の値段が下落していることを指摘。対応を検討すべきである、との助言が寄せられた。このとき対応したのは、先述した吉田隆夫社協事務局長と副主任。しかし両氏はなぜか社協最高責任者である会長・坂本祐之輔市長に報告せず、12月の満期まで保有を続けることを事務局レベルで決めていた、という。
この結果、「12月19日の償還日には利払いのあるはずだった約140万円」がふいになるどころか、元金の1億円まで焦げ付く最悪の事態となったのだ。吉田事務局長らの責任は重大といえるが、そもそもなぜ、リーマン社債の購入を独断で進めた坂本市長に、事態が報告されなかったのか?
市政関係者が述べる。
「坂本市長は、自分の都合が悪いことには一切耳を傾けず、人に責任をなすりつけるんです。まっとうな指摘をした人間が左遷される、といった事態も起きている。そもそもリーマン社債の購入は、理事にも諮らずひと握りの取り巻き幹部との談合で決めたもの。社協で仕事をしている普通の職員には、何の関係もありません。それなのに市長は10月1日、『1億円の穴は、社協職員の人件費削減などで数年かけて行う』などと勝手なことを表明している。無責任きわまるとしかいいようがありません」
別の市政関係者は、こう語る。
「福祉のまちづくりという高邁な理想は結構だが、まわりに置いたのはイエスマンばかり。だから市長が何か言えば言いなりになるばかりでなく、他から間違いを指摘されると反論不能になる幹部たちばかりなんです。社協の職員の中からは、『福祉サービスの低下につながれば市民も被害者。最高責任者(坂本市長)が勝手にやったことの始末まで、なぜわれわれが被らなければならないのか。これでは真の責任者である市長がまったく免罪されてしまうではないか』という不平が聞こえてくるのです」
自分が撒いた種を自分で解決できない、いや解決できる人材を遠ざけてきた「裸の王様」……。これが坂本祐之輔市長の実像であることを、今回のリーマン債焦げ付き問題は、赤裸々に暴いてしまったのだ。
許せぬ!社協職員、市民への損失穴埋めによるしわ寄せ
際立つ「取り巻き幹部」たちの無能ぶり!
先に市政関係者が述べたとおり、坂本市長はリーマン債焦げ付きで生じるであろう1億円の損失を社協の職員、ひいては東松山市民に転嫁させ、押付けようとしている。10月1日に市長が提案し、社協理事会に決議させた内容は、次の通りである。
社会福祉協議会決議第1号
資金運用に対する東松山市社会福祉協議会の方針について
社会福祉法人東松山市社会福祉協議会が管理する資金の運用について、下記のとおり決議します。
平成20年10月1日 提出
社会福祉法人東松山市社会福祉協議会
会長 坂本祐之輔
記
東松山市社会福祉協議会が保有しているリーマン社債(リーマンブラザーズ第4回円貨社債)が、同社の経営破綻により、取引停止となっている現況は極めて遺憾であり、この結果、本件社債の価値が無くなった場合には、1億円もの貴重な財源が失われることとなり、これは、社会福祉協議会理事全員が、たとえ無報酬でその任を受けていることとはいえ、社会的責任を痛感するものである。
今後は、東松山市社会福祉協議会の運営について、福祉サービスに影響がないことを前提として、人件費についてさらなる節減・削減を徹底的に行い、今後数年間かけて、1億円の経費を節減し、本件の損失を補うことが必要である。
また、今後の資金運用においては、安全かつ効率的な資金運用に努め、資金運用する際には、金融の専門知識を備えた者を、債券購入の意思決定過程に加え、より確実な資金運用を行っていくことを、東松山市社会福祉協議会の方針とする。
以上、これを決議する。
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まったくひどい話である。自らが独断で購入決定したにもかかわらず、その責任を決議もしなかった理事全体に及ぼして「社会福祉協議会理事全員が、たとえ無報酬でその任を受けていることとはいえ、社会的責任を痛感」などと空疎な言辞を弄しつつ、その補填対策については「人件費についてさらなる節減・削減を徹底的に行い、今後数年間かけて、1億円の経費を節減し、本件の損失を補う」と、まったく責任のない末端の職員に押付けている。これでは、いかに文章上「東松山市社会福祉協議会の運営について、福祉サービスに影響がないことを前提として」等と述べても、職員にしわ寄せがいくことでサービス低下につながりかねないのは明白だ。
市民から本紙に寄せられた意見のように、「実際に責任のある者を明確にし、その者たちの責任に於いて始末をつけるべきで、サービス低下や職員へのしわ寄せ、税金投入で1億円の補填を行うべきではない」というのが、本当の正論である。まして、こういう話も市政関係者から本紙に寄せられているのだ。
「東松山市社会福祉協議会の今年度予算は特別会計なども含め約15億円ですが、リーマン債やオーストラリア銀行社債の購入には、市が交付した地域福祉基金、約3億6900万円を充てたのです。これは、坂本市長にしか決定できないものです」
そう、結局、焦げ付いた1億円の原資は、東松山市民のための税金なのだ。行政の最高責任者が責任をあっちこっち持っていって、ほっかむりできる性質のものではない。しかし、この市長も市長なら、「取り巻き連中」もむべなるかな、の体たらくぶりである。市長が図々しくも「1億円補填は人件費削減で」などと社協理事会の決議として天下に表明したそのいっぽうで、市長に次ぐ社協の事務方責任者である吉田隆夫事務局長は、日本共産党の塩川てつや衆議院議員に批判されて、直ちに市長や理事会が打ち出した「人件費削減」方策の誤りを認めてしまっている。
日本共産党東松山市委員会が発行している「週刊民主松山」(No.1806.2008.10.12)には、「社協、リーマン社債購入損失の恐れ 福祉後退させるな 埼玉・東松山 塩川議員調査」と題された、日刊「赤旗」埼玉版と見られる記事の複写が掲載されている。ここには、「1億円の穴埋めを社協人件費削減で」という坂本市長らが打ち出した方向について、批判する塩川てつや衆議院議員と吉田事務局長ら(他に東松山市の林正治健康福祉部長が同席)とのやりとりが、こう示されている。
「社協理事会が、焦げ付いた基金の穴埋めのため人件費などを削減するとしていることについて、塩川氏は『基金の穴埋めのために福祉サービスが影響を受けるようでは本末転倒だ』とのべ、サービス後退や職員へのしわ寄せをしないよう求めました。社協も『その通りだ』と応じました」
いっぽうでワンマン市長の顔色を伺い、正しい指摘をされると姑息に「その通りだ」と相槌をうつ……。読者諸氏は、こうした「取り巻き幹部」たちの姿にどのような印象を抱くであろうか。東松山市社会福祉協議会や東松山市が、「週刊民主松山」や「赤旗」に抗議した、という話は聞かない。こうした坂本市長を取り巻く構造の中に、高邁な理想とは正反対の反市民的施策がまかり通ってしまう、不正常な筋道が出来てしまっているのだ。
もう一つの重大疑惑・三菱東京UFJの浮上
「リーマン債購入」は立ち退きの見返りだったのか?
本紙は、一連の取材の中でさらに重大な問題の端緒をつかんだ。大手メディアはなぜか報道していないのだが、リーマン債を市側や社協に売り込んだのは、三菱UFJ証券なのである。ちなみに先に挙げた「リーマン経営悪化を社協に指摘した証券会社」とは、同証券ではない。
本紙に寄せられたある投稿は、リーマン社債購入の真相を以下のように明かしている。
リーマン社債の購入につきまして、市長は東松山駅前整備事業に伴う三菱東京UFJ銀行の移転に伴い膨大な補償費を払ったにもかかわらず、その他に銀行への見返りとしてリーマン社債の購入を行った、と銀行関係者や市役所内部の方達から洩れ伝わってきております。
その内容としては、移転に伴う補償費は公費から支払われているのですが、見返りに購入する社債の費用は公費支出できないため、裏金として自由に使える社会福祉協議会の基金を、市長の独断で使用することに決めた、というのです。
これが事実であれば、市民に対する背任行為であることはもちろん、銀行に対する便宜供与ともなり、市長は重大な犯罪を行ったことになります。
今回のリーマン社債の購入に関しましては、誰が何を言おうと、リスクを承知で買った市長の責任こそが重いのです。当然、市長の責任において、私財を投げ打ってでも全額弁償するべきだと思っております。
(「東松山市民」様からのご投稿)
この投稿の内容が事実なら、呆れた話である。東松山駅前開発をめぐっては、「大鳥居取り壊し工事」など、入札や事業内容について、さまざまな疑念を呼ぶ噂が流れている。有力地権者であった三菱UFJに対し、こうした形で税金を横流しし、あまつさえ焦げ付かせるなどということがあってはならないことは、当然である。
取材の過程で本紙は、さらに驚くべき噂も耳にした。焦げ付いた1億円の内訳には、実はリーマン社債購入とは無関係な、東松山市関係者が横領した金額も含まれている、というのだ。つまりリーマン社債の焦げ付きを奇貨として、横領金をリーマン社債による損失に含めてしまっている、というのである。むろんこれは「噂」に過ぎない。だが火のないところに煙は立たず……。そうした疑惑を呼ぶにしかるべき情況が、東松山市政に存在するのは確かなようだ。
坂本市長は、今回の事態について「(リーマンが)破綻するとは夢にも思わなかった。理事会とも協議して、今後の対応を考えたい」と述べている。また吉田隆夫事務局長は、本紙に「今後の運用については、金融の専門家にも相談して……」と述べているが、問題はそのようなことではない。事実を追えば明白な坂本市長の独断による損失の責任を、いったいどう見るか、それを追認した幹部たちはどのように責任をとるのか、を明確にすることである。
東松山市に必要なのは、もはや「事態の解明」ではない。「誰が責任をとるか」である。そして責任を取るべき主体が社協職員や市民であってはならないこともまた、明白なことである。
本紙は引き続き、東松山市社会福祉協議会と坂本市長をめぐる問題について徹底的な検証を行っていく所存だ。■
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