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川越市9月議会一般質問
詭弁を弄する舟橋市長に
物言えぬ「眠れる市議ら」

 川越市議会第4回定例会(9月議会)一般質問第2日目の午後。壇上の菊池市議(市民クラブ)は、市長らの職務と職責について質問を行った。

 川越市財団職員の公金着服問題への市長の対応を攻めたまではよかった。だが口達者な舟橋市長のあからさまな詭弁に弄され、反論一つできないまま「新清掃センター建設問題」に拘泥しつづける菊池市議の姿勢は、通常議会で切れ味トップを誇る彼にしては、期待をしていただけに竜頭蛇尾の感をぬぐえなかった。実に残念であった。

 まず、問題の「市長発言」を振り返ってみよう。舟橋市長はさる8月30日、記者会見にて「あて職のトップは十分な監督責任を果たせない」として、年末までに関係する団体の会長や理事長などの辞表を出す意向を明らかにした。この日の会見で、舟橋市長は6月に発覚した小暮浩・元市青少年健全育成協会職員(市職員が兼務=懲戒免職)の公金着服事件をめぐる調査結果を報告。その中で「私が(協会の)理事長だが、あて職でやっていると監督は不可能。これを契機にすべて整理したい」と述べた。

「あて職」(充て職)とは、自治体の関連機関・団体等の委員や会長に、職員個人を任命するのではなく、特定の役職にあるものを任命することだ。

 舟橋市長の「あて職」は、埼玉県市長連絡協議会会長や首都圏中央連絡道路建設促進期成同盟会会長など、複数の自治体が参加する団体のトップから、川越総合卸売市場や川越まつり協賛会会長など民間を交えた団体、さらに庁内の市行政改革推進本部長までさまざまである。そうした中に、今回の事件の舞台となった市青少年健全育成協会も含まれている。

 ある特定の役職(川越市長)の兼任として、別途の何らかの役職(市青少年健全育成協会理事長等)が自動的に指定された場合、つまり意識してなった職に知らないうちに別の職がくっついていたとき、別の職の方にも同じ熱意で取り組むことはできない、監督も不十分になる。だから「あて職」を辞めたい……これが舟橋市長の主張である。

 この発言を取り上げ、菊池市議は「市長は逃げるつもりか」と質したことを皮切りに、菊池市議は同事件に対する舟橋市長の対応の遅れを追及した。

 着服事件が監査の手により発覚したのは5月12日。20日に再監査を行い小暮元職員に確認を求めたところ、同職員は着服を認めている。

 理事会に諮られ適切な措置を執ろうということになったのは6月5日。このとき1300余万円の返金および再発防止等が話し合われている。

 菊池市議は問う。「6月5日の理事会でそのような事実が明らかになったのであれば、この段階で『必要な措置』をとるべきではなかったのか。なぜしなかったのか。なぜ市長は内部調査に委ねたのか。理解不能だ」

 すでに5月20日の段階で本人が着服を認め、さらに6月5日の理事会で報告されていた。にもかかわらず川越市は、同職員が懲戒解雇処分を受ける前日(7月27日)までに、この職員に2,125ヶ月分の期末勤勉手当、有給休暇、リフレッシュ休暇を与えてきたのは、これまで報じられてきたとおりである。

「市は7月28日の懲戒解雇まで有給休暇やボーナス等を与えてきた。市民からの抗議が殺到している。6月5日の時点できちんとした対応さえとっていれば、有給やボーナス等は不要だった。この理解不能な措置で市民が被った被害をどうするのか。本人に返済を求めることができるのか」

 さらに菊池市議は刑事訴訟法第239条2項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」を引用し「あなたは弁護士だからよくご存じだろう」と迫ったのである。


舟橋市長の自家撞着ぶりに物言えぬ市議たち

 菊池市議に対する市長の答弁は「いかにも舟橋流」そのものの詭弁であった。市長は開口一番「私が長をつとめる財団内部で起きた犯罪であるため、私は被害者である。告発ではなくて告訴」と、まずは自らが「財団理事長」であることを強調。

 ところが市長は、ここで奇妙なことを言い出したのである。

「『なぜすぐに告訴をしなかったのか』の理由だが、事件の内容がはっきりしなければ告訴状が書けないからだ。私は法律のプロだ」と、今度は舟橋弁護士としての立場を持ち出してきたのだ。

 とんでもない詭弁である。

 舟橋氏は弁護士である以前に市長であり、財団の理事長だ。弁護士というのは舟橋功一氏個人が取得したライセンス。舟橋氏は「法律のプロである以前に市長」である。元職員が横領を認めた段階で、市長がやるべきことは「告訴」ではなく「通報」だ。

 市長は財団の顧問弁護士ではないのだ。市長が「法律のプロとして納得するかどうか」は問題ではない。舟橋功一氏がすべきことは、元職員自らが公金着服を認めた段階で直ちに警察に通報することである。

 菊池市議から「公務員の告発義務」の話題を向けられたことで、口達者な舟橋市長はこれを逆手にとり、自らの処置の遅れに対する詭弁を弄してみせた。その結果が川越市の「犯罪者に対するボーナス支給や有給休暇」という、常識では考えられない対応に至るのだ。

 そして度し難いのは、このあからさまな市長の詭弁に対し、後続する質問はおろか、議席からヤジの一つも飛ばなかったということだ。40名の市議らは、いったい何を考えているのか。8日に中原市議が市長を質した迫真の一幕のみ、かろうじて川越市議会が「議会としての機能」の余喘を保っていることを示した。だがあの瞬間以外は、「口のうまい市長と40名の眠れる市議」の、安逸で力の抜けた質問と答弁が延々と繰り返され、川越市は何も変わらない。

 公金横領という犯罪を認めた職員にボーナスや有給を与える自治体の、どこが正常なのか。そのことを追及されても「期末勤勉手当は支給日まで処分がなければ支払わざるを得ない。条例に基づき給与等を支払ったので返還させることは難しい」などと、滔々と述べる神経はまさに理解不能である。

「条例に従って」の一点張りの川越市。だがいったい犯人に対するボーナスや有給休暇を、市民の誰が納得するというのか。市民感情および常識に真っ向から反対する結論を、いくら「条例に従えば支払わねばならない」からといって、そのまま支払うとは何事か。非常識にすぎる。市民感情への配慮すらない。「条例がそうだから仕方がない」と紋切り型の判断で運営するなら、行政などコンピューターにでも任せた方がいい。そこには人間の機知も、危機対応の知恵も何もない。

 中原市議の言を俟つまでもなく、川越市は機能不全である。■

 

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