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白日のもとに晒された不正裏口入試のタブー
「誰もが知っているが、誰も公で問題にしてこなかったこと」──7月11日の参議院厚生労働委員会で共産党が暴露した宮路和明厚労副大臣(既に辞任)の口利きによる帝京大学医学部不正入試疑惑は、正にこのタブーを白日のもとに晒すものだった。
「息子の帝京大入学試験が近づいて参りましたが、ご挨拶に伺った方がよろしいでしょうか」(依頼者からの電話での問い合わせ)「受験番号を至急、ご連絡下さい」(沖永荘一帝京大学総長からの応答)と記載された宮路事務所の電話メモ(共産党がコピーを入手、発表)には、宮路副大臣が「了」のサインをしたものとなっており、日常的に入試にかかわる口利き行為がおこなわれていたことを示している。宮路氏は、東京大学の同窓である沖永総長(これもすでに辞任)とは20数年らいの友人といい、帝京大学(というより多数の企業や医療法人、宗教法人まで要する「帝京グループ」)側から宮路氏の政治資金管理団体に決して少額ではない政治献金がされていた。
この構図で許しがたいのは、帝京大学は医学部受験生の保護者に対して入学手続き前に多額の寄付を要求し、これを形ばかりの隠蔽をはかるために別に設置した財団法人に納入させていることで、いわば不正入試と並行して受験生の親たちが支出した寄附金の一部が政治献金の形で口利きをした政治家にキックバックされるという事実である。
このような不正が日常化する中、帝京大学は7年間に140億円もの寄附金を医学部受験生から集め、そのうちの65億円を所得隠ししていたのを国税庁に摘発され、その疑惑糾明の流れの中で宮路議員の不正口利きの疑惑が浮上したのである。
帝京大学医学部裏口入学に「S・K枠」?
宮路議員は、「こんなことはしょっちゅうある」と悪びれずに述べて怒りを買っているが、その後も全く反省の色がない。福田官房長官に至っては、「受験番号を教えて、何が問題なんだ」とまで記者会見で述べるなど、自民党議員や大臣たちが裏口不正入学について感覚を全くマヒさせていることを露呈している。反面、一方の当事者である帝京大学側は「受験番号を電話でやりとりした経緯はない」などと、宮路議員とは全く食い違う説明に終始しており、こちらの方が問題をより深刻にとらえていることを伺わせる。
口利きした政治家側より、大学側が問題を重視している背景に何があるのか。本紙は周辺取材を進めるうちに大学関係者から驚くべき事実について証言を得た。
「帝京大学については、医学部定員のおよそ半分が『口利き』枠なんです。総長に親しい宮路さんとか、大物政治家の方に5名ずつの枠を設けており、その他に学長枠、総長枠など『口利き』のための学籍を分け合っています」
呆れた話である。仮にも大学医学部は国立であれ私立であれ、日本国民の生命を守る医師養成の入口である。故に、その学生になるためには他学部とは比較にならない程、困難な試験を突破することが期待されるのであり、また学部運営のために国民の血税から多額の補助金が支出されているのである。こうした大学医学部が、その入口からカネや情実で手続きが歪めらることがあるなら、日本の医療の質はモラルの面でも技術の面でも低下していくことが必定である。
宮路議員を始めとする不正入試口利き政治家や、沖永前総長などの所業は正に国益と生命の尊厳をも踏みにじる許されざる行為なのだ。この間、医療過誤による患者死亡事故が相次いでいるのも、長年の構造的な医学部不正入試が背景にあるといって過言でない。ここで述べられたことが事実と客観的に確認されるなら、帝京大学医学部など存在意義が全くない、いや存在することが犯罪的とすら言われても仕方がないことになる。
さらに関係者は、宮路議員よりも大物の名前を聞けば誰でも知っている政治家が帝京大学医学部の不正入試や寄附金名目のカネ集めに関与していることを明らかにした。
「S・K議員は、帝京グループから毎年300万円以上の献金を受け取っています。更にカネのかかる医学部の各施設の工事には、自分の息のかかった業者に斡旋し、そこからも献金を受け取っている。こうした関係は、相当に長期にわたっていますが、最近内部で呆れられていることはS・K議員の愛人の子息が医学部に在学していることで、もちろんそれも『口利き』入学です」
公共事業への口利きから、KSD疑惑への関与、さらには許永中事件との関係などで時に「逮捕の可能性」が過去に何度も囁かれたS・K議員こそ、今回の帝京大学不正入試疑惑の最大のキー・パーソンだというのである。「帝京ならS・K」は、マスコミ関係者の間でも今や常識になりつつある。その内容には、公私混同もはなはだしい醜聞が隠されているといえそうだ。
延長国会の会期も、あとわずかだ。ムネオ疑惑、与野党の垣根を超えた秘書給与流用問題など、大不況にあえぐ国民や有事法制などの重要案件の審議はそっちのけで金権腐敗問題に明け暮れた感のある国会だったが、新たに暴露された帝京大学不正入試問題は今後どこまで解明されていくか、見物である。
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