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 金正男不法入国事件の真相


金正男拘束!

 北朝鮮の最高実力者・金正日の長男、金正男(キム・ジョンナム)が5月1日、成田空港で入管難民法違反容疑で身柄を拘束され、4日に中国・北京に強制退去させられた。この事件はゴールデン・ウィーク真っ只中の日本に激震を走らせたばかりか、極東アジアや米国等に重大な影響を及ぼすと考えられている。

 すでにTV新聞各紙が詳細を報道しているので事件のあらましはご存じのことと思われる。だがこの事件、マスコミの報道を24時間見ていただけで奇妙さが浮き彫りになっていた。報道内容が明らかにトーンダウンしてきているのだ。

 たとえばTVも新聞も、第一報では「金正男らが偽造旅券で日本に入国するという情報が法務当局に寄せられた」、「成田空港では東京入国管理局の職員らが警戒、男性らが入国審査カウンターに入って来るなり周囲を取り囲み、別 室へと連行した」(5月4日各紙朝刊)と報道していた。なかには「その際、男は『なぜ? どうして?』と日本語を話していた」と報道するTV番組もあった。さらに「男は係官の質問に対し、自ら北朝鮮の最高指導者・金正日の長男、金正男であると語った」とも報道された。ところが国外退去が決まった段階以降、マスコミ報道は完全にトーンダウンしてしまった。

 これはもちろん、政府発表の影響もあるだろう。

 法務省当局は金正男拘束直後から、警察庁ばかりか外務省や首相官邸等と緻密な協議を行い、異例とも思える僅か4日の拘束で金正男一行4人を北京に退去させた。しかも報道されている通 り、政府当局の答えは、「金正男かどうか確認できなかった」「日本は法治国家であり特別 に厳しく調べるわけには行かない」「金正男一行らが偽造旅券で入国するという事前情報は一切なかった」、挙げ句には「その点に関してはご勘弁願いたい」と、事件そのものを一刻も早く忘れ去りたい雰囲気である。

 男はほんとうに金正男だったのか? だとすればいったい、この事件の真相は何だったのだろうか?


台湾からの情報

 5月1日午後3時31分、シンガポールから成田空港に到着した日航機に金正男と二人の女性、そして男児1人が乗っていたのだが、一行4人の正体を日本政府当局に事前連絡してきたのは台湾情報局だった。台湾はいっぽうでこの情報を極東米軍にも通 報しており、日本側の対応が注目されていた。法務省は直ちに彼らの拘束を決定。成田空港で4人の到着を待ち、予定通 り拘束。同時に内閣調査室、首相官邸、外務省等が協議に入っている。なお、一部マスコミでは欧州からの情報として「欧州と北朝鮮との関係強化に懸念を持っていた米CIAが日本の公安当局に通 報した」、あるいは「英国の海外情報機関(MI6 )が掴んだ情報」としている。信頼できる公安関係者も「情報源は英国MI6」と明言しているが、台湾発の情報が来たことも間違いのない事実。あるいは複数からの情報提供があったと考えられる。

 金正男の日本行き情報が外部(他国情報機関)に漏れた原因は、電話あるいはメール等の盗聴だと考えられる。金正男は北朝鮮IT部門の最高責任者またはそれに準ずる地位 にいると考えられているが、北朝鮮IT産業の大黒柱の1つ「平壌情報センター」はシンガポールに支社があり、ここを訪れた金正男が平壌情報センターから電話、または電子メールを送信し、それがNSAの全世界盗聴網システムに引っ掛かった可能性が高い。台湾情報局がこの情報を入手した手段については、目下のところ不明ではあるが。

 台湾情報局が、入手したこの極秘情報を日本に通報したウラには、4月末の李登輝前総統訪日にあたっての「ビザ発給」に対する謝礼という意味合いもあった。その深奥には、総統時代から李登輝が語っていた「日本人拉致問題の解決」に対する一つの回答でもあったと考えられる。

 李登輝はかつて、北朝鮮に拉致された日本人の解放という難問題は、日本・北朝鮮という当事国だけでは絶対に解決できないと語り、この問題解決には「第三国(=台湾)」の介在が不可欠と説明。さらに日本=台湾の緊密な連携が東アジア全域の政治的平和、経済的繁栄に重要であることを力説していた。今回の「金正男日本入国情報」提供は、拉致問題解決に台湾が関与できることを日本政府当局に明確に知らしめたものだったのだ。

 成田にやってきた男は、正真正銘の金正男(当時29歳)であった。政府は「確認できなかった」と答えたが、確認しようとしなかっただけである。そして彼と一緒にやってきた女性2人、男児については諸説が入り乱れている。「金正男の長男とその母(=夫人)、保母」というのが一般 情報。「金正男の第二夫人とその子供、第二夫人の妹」という説もある。ほんとうのところは、どうやら「第二夫人と第三夫人、そして第二夫人に生ませた長男」のようだ。


訪日の目的

 5月4日、成田から全日空機で北京に飛んだ金正男は、ファーストクラスの座席では飲み物しか飲まなかったが、1日夕に7時間にわたる取り調べを受けた際には入管職員に「おなかが空いた」と弁当の購入を依頼したほど大食漢だった。またこの際に係官に1万円札を渡しているが、財布には1万円札と米ドルが「3センチほどの厚さ」(入国係官の話=5月5日朝刊各紙)も入っていた。腕にはローレックスの腕時計、首と腕には純金のアクセサリー。夫人はルイ・ヴィトンのバッグ……。その他、確認できただけでも時価数百万円のアクセサリー類を身につけていたらしい。

 さて、この金満・金正男はいったい何の目的で日本にやってきたのか? 本人は「東京ディズニーランド見物」と言ったらしいが、もちろんこれは真っ赤な嘘だ。新聞各紙のなかには「IT情報の入手が目的か」「秋葉原で新商品購入が目的」「気軽に観光気分で」などと書いているものもあるが、もちろんこれらも平和ボケ日本記者の脳天気な憶測。これとは別 な角度から、産経新聞朝刊(5月5日)に以下の記事が見られるが、こちらは朝鮮総連の応対ぶりについて解説し、「亡命」説を述べるなどかなりマトモだ。

 「日本で北朝鮮の工作活動に従事した経験のある張龍雲氏は『わざわざ偽造旅券を使って、しかも家族とみられる人間と一緒にシンガポールから入国する意味がさっぱり分からない。あれだけの要人にボディーガードがいないのもおかしいし、朝鮮総連の出迎えがないのもおかしいでしょう』と話す。深まるなぞに亡命説を唱えるのはノンフィクション作家の萩原遼さんだ。『北朝鮮では正男氏のほかに腹違いの二男、正哲氏も金総書記の有力な後継者とみられている。その後継争いが熾烈(しれつ)で、二男の方が勢力が強く正男氏がおびえていたという情報を聞いている。金総書記は来年で六十歳の還暦。もう後継者 が決まってもよい時期。今年二月の誕生日に何らかの意向が示されたのかもしれない。二男に決まったのであれば、正男氏が身の危険を感じて亡命する可能性は十分にある』」

 この萩原遼氏の説は、かなり正しいと見て良い。しかし同時に本紙は、今回の金正男極秘来日は「亡命前の下調べ」だったと推測する。


北朝鮮の内情

 金正男が成田空港で拘束されたのが5月1日夕。そして2日には外務省を中心とする関係各省、機関が台湾、中国(北京政府)、韓国に対応についての打診をする一方で水面 下では北朝鮮との交渉に入っていたと思われる。

 その5月2日、平壌ではEU(欧州連合)代表団が金正日総書記と非公式会談を行っている。翌日に控えた公式会談の内容を調整するのが目的だったが、予定されていた非公式会談に金正日は1時間ほど遅刻し、午後4時過ぎに百花園迎賓館に現れている。さらに当初、自らが主催し演説するはずだった歓迎夕食会にも金正日は出席しなかった。マスコミ各紙はこれを「相変わらずの『自分流を貫く』金正日」と報道したが、果 して現実はどうだったのか?

 明らかにこの時点で、金正日は溺愛する息子・金正男が日本の入管当局に拘束されたことを初めて知ったと考えられる。念のため強調しておくが、拘束されたことを初めて知ったということであり、日本極秘訪問については事前に知っていた可能性が高い。

 北朝鮮では現在、かなり深刻な権力争いが勃発していると見られている。

 韓国の『朝鮮日報』は「北の食糧配給が5月にも中断の可能性」と報道しているが、北朝鮮の食糧不足は非常事態の水準を遙かに越えていると見られる。こうしたなか、北朝鮮の洪成南首相は5日、軍事費予算を対昨年比1億3000万ウォン増の31億3000万ウォンと発表したが、金正日直轄の国防委員会傘下の第二経済委員会が軍需経済を管轄しているため、現実の軍事費はこれを遙かに上回ると想像される(『朝鮮日報』5月5日)。ここに不満が勃発するのは不思議ではない。

 北朝鮮のいわゆる「金王朝」は、建国の父・金日成の後継者問題で正一、正日が争い、正日が辛うじて勝利したという過去がある。その金正日も六〇歳となり、食糧危機を前に後継者問題が再び問題となってきた現実があるのだが、じつは金正日そのものが危機に瀕しているという情報がある。

 去る3月23日に、成田空港で北朝鮮籍と思われる男女2人組が拘束され、中国に強制退去させられた事件が起きているが、この時も朝鮮総連はもちろん、北朝鮮系の工作員たちも入国予定をまったく知らされていなかったことが判明している。公調当局はこれを「金正日独自が送り込んだ資産管理工作員」と見なしている。万一、北朝鮮に不測の事態が起こり、金正日が亡命するような場合に備えた極秘の工作で、党や政府機関にも内緒の行動だったらしい。

 今回の金正男来日の真の目的は、「金正男個人が権力闘争に敗れて亡命を企てたもの」という見方と同時に、金正日一家すべてが党や政府、朝鮮総連等には秘密にして「金王朝亡命時の資産管理の下見のために極秘来日」という説が考えられるのだ。


緊張の東亜

 5月2日、予定より1時間遅刻して百花園迎賓館に現れた金正日は、EU代表団と以下の4点について了解したとされる。すなわち、(1)弾道ミサイル試射の凍結延長(2)南北和解の継続(3)金正日総書記の訪韓意思(4)北朝鮮との人権対話 である。

 しかも現実に、まず話題になったのは南北会談と訪韓だった。また弾道ミサイル試射問題にも絡み、マスコミは以下のような分析をしている。

 「(EU代表団は)弾道ミサイル試射の凍結延長については『米国の対北朝鮮政策見直しに時間を与えるためだと思う』と述べ、金正日総書記が米国に対し対話再開の希望など融和的メッセージを送ったものとの見方を明らかにした。」

 「今回のEU代表団受け入れの狙いは、EUを通じ米国を有利な方向に動かそうというものだ。しかしペーション首相は『EUは米国の代わりをする考えはない』と述べており、EUの動きが南北関係をはじめ朝鮮半島情勢にそれほど影響を与えることはなさそうだ。」(以上、産経新聞5月5日朝刊)

 ここにすべてがある。北朝鮮・金正日は明らかに米国との直接対話を求めているのだ。

 平和ボケの日本人でも、現在の東亜がいかに緊張状態にあるかおわかりだろう。東亜は今、中国(支那北京政府)・台湾の緊張と、南北朝鮮の対立、それに日本がどう関わるかで微妙な綱引きを行っている。安定した欧州、対立が明確な中東とは違い、東亜は一発逆転の状況をそれぞれが持ちながら、激烈な外交戦と地下戦の最中にある。

 ここに関わってくるのが米国だが、米国の狙いはひと言で言えば「中国孤立化作戦」にある。アーミテージ・レポートに見られるように日本を完全に米国の代理人に仕立て、朝鮮半島全域を支配し、台湾には武器まで提供して北京政府を追い込もうとしているのだ。この情勢分析を正確に行い、米国に擦り寄ろうとしているのが金正日北朝鮮である。

 仮に、小泉新政権が明らかに米国ブッシュ政権の意を汲んで作られたものだと、金正日が確信していたとしたら……。

 現在の北京政府の財政的困窮、ロシアの現状、EUの実態……。北朝鮮復興のためのカネや技術を用意できる国は、日本以外にはあり得ない。その日本を動かすのは米国以外にはない。金正日はそう考えるだろう。それのみが現実だからだ。では、小泉新政権の真意を知るためには何をしたら良いのか?

 公調関係者等のわが国情報機関関係者の口ぶりから推測する限り、金正男の来日(亡命下準備工作)は、少なくとも4月28日には判明していたようだ。一説には4月21日午後に台湾から情報が流れたとも言われている。そうした状況下に金正男が現れ、小泉新政権は僅か4日で彼を国外退去させてしまった。

 微かに漏れてくる情報のなかには、「これで日本は北朝鮮に『貸し』を作ることができた」という政府弁護の言葉があるが、冗談ではない。北による「日本人拉致問題」解決の巨大なカードを自ら放棄したというのが真実ではないのか。

 金正男による亡命準備とは即ち、金王朝崩壊を意味している。今、北朝鮮が崩壊することは、米国にとっても絶対に容認できるものではない。今回の「金正男国外退去=北京送還」は間違いなく米国が描いたストーリーであり、小泉はそれに乗ったと思われる。

 小泉新政権が米ブッシュ政権の思惑(「アーミテージ・レポート」遵守等)通 りに動いていることは、既に本紙でご説明したが、いったい日本という国は主権を持った独立国と言えるのだろうか?

 「ディズニーランド観光」などという発言を真に受けるようなマスコミに支配されたまま、この国の民は自ら考えることすらしなくなっていくのだろうか。 金正男が日本にやってきた真の目的は、亡命下準備だと本紙は推測している。だが、その深奥にはさらなる闇が広がっているようだ。

  本紙は現在、さらなる調査を続行中。来週にでも新たな情報をご提供できるものと考えております。乞うご期待!

 

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