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CIAの勝利か

 11月18日の米『ワシントン・ポスト』紙第一面に興味深い記事が掲載された。ウォーターゲート事件暴露など、同紙の特ダネ提供記者として名高いボブ・ウッドワード記者の署名原稿である。

  この特報によると、「米中央情報局(CIA)は1年半前からアフガニスタン南部のパシュトゥン人部族指導者と接触し、反タリバン勢力の形成を画策していた」という。以下、同紙の報道内容を纏めた11月19日『読売新聞』の記事を引用する。

「同紙(ワシントン・ポスト紙)によると、CIAは
1・カンダハル周辺など南部でのタリバンに対する部族の反乱
2・米軍の空爆のための攻撃目標の選定
3・人道・戦略目的の大規模な食料投下の地点決定――などで中核的役割を果 している。

  CIAが一年半も前からアフガン工作に従事し、今回の軍事作戦で中核的役割を果 していることは、テロ組織との戦闘を専門とする陸軍の特殊部隊『デルタ・フォース』などが投入される場合と異なり、米軍がウサマ・ビンラーディンとそのテロ組織『アル・カーイダ』の活動にかなり前から注目し、地域の部族勢力を利用してタリバンの支持基盤を崩す機会を周到にうかがっていたことを示す。

 アフガニスタンでの秘密作戦に従事しているのは、CIAでも機密度が高い『特別 活動部』。約百五十人の戦闘員が六人一組のチームを組み、情報を細かに収集してきた。」
(読売新聞11月19日夕刊より)

 CIAの特別活動部隊とは、OSSの流れを汲む特殊戦略実行隊。この報道にもある通 り原則6人1組で、互いとの連絡は一切取らず、各組が独自に目的に向かって前進する。目的達成のためには、あらゆる手段が認められる。どんな犠牲を払ってでも、目的を達成させるという極めて強い意思を持ったチーム編成なのだ。
ボブ・ウッドワード記者の特ダネを信じる限り、1年半前の1999年(平成11年)春からおよそ25の特殊戦略実行隊が、互いに連絡を取ることなく、アフガニスタンのタリバン政権を潰す活動を展開していたということになる。

 命令を受けた時点から、1チーム6名は、全世界を相手に戦争することを覚悟して、目的達成のためにあらゆる手段をつくす。それがCIA特殊活動部隊というものだ。そして25チームが1年半前から「タリバン政権崩壊」という目的をもってアフガニスタンに入り込んでいた。

 そもそもCIA(米中央情報局)とはいったい何なのか。Central Intelligence Agency

 一般的に知られている歴史は、以下の通りである。

 1941年(昭和16年)、情報調整局(OCI)設立。その後、間もなく、この機関は戦略情報局(OSS)に発展。第二次大戦中、OSSは「破壊・放火・暗殺等を中心とする秘密攻撃部隊」として大活躍する。

 戦後の1947年(昭和22年)、OSSをCIAに改組。大統領直属、国家安全保障会議の管轄下となる。

 CIAに変わってからは、内部は主に2部門から形成されている。1つは「情報収集、及び対諜活動(カウンター・インテリジェンス)を行う『インテリジェンス部門』、もう1つは「実行部隊」である『オペレーション部門』である。

 米国社会の複合的要素を鑑みて、CIAは創設以来、オペレーション部門・インテリジェンス部門の2系統のトップのどちらかをユダヤ系が、残りを米国民族派系が牛耳ることが暗黙の了解とされてきた。

 ベトナム戦争後のターナー長官(元海軍提督)以降、CIAは質的な変化を見せ始め、実力行使のオペレーション部門よりも科学技術先行のインテリジェンス部門が優位 に立つようになる。そしてクリントン大統領時代の1995年に、CIAは大きな転換期を迎える。その転換の最大の引き金となったのは、エームズ事件だった。これはCIAの対ソ防諜部長のエームズが二重スパイを行っていたという衝撃的事件であり、この責任をとって、米民族派系のウルジー長官が辞任に追い込まれる。その直後には、同じく反ユダヤ系とされたコルビー元CIA長官が変死(ポトマック河畔で死体となって発見)という事件もあり、CIAの内部で何らかの闘争があったのではないかと噂された。

 この後半年間近く、CIAは長官不在という異常事態を送ったが、やがて第17代長官にユダヤ系米国人のドイッチェを迎える。そしてドイッチェ長官の時代に、CIAはオペレーション部門・インテリジェンス部門ともユダヤ系に牛耳られる状態となり、一部からは「CIAはモサド(イスラエル諜報機関)の下部組織に成り下がった」と評されるまでになった。実際、直後にエジプトでCIA工作員が非業の死を遂げた事件があったが、彼はCIAスタッフであると同時にモサドの重要メンバーであったことが判明している。

 民主党クリントン治世下でドイッチェ長官の後を継いだのが現在のテネット長官である。そしてこの時にCIA特殊活動部隊25チームがタリバン崩壊を目的としてアフガニスタンに潜入したのである。

 ニューヨークの世界貿易センタービルに2機の旅客機が突っ込み、また国防総省にまで旅客機が激突するという中枢同時テロを受け、米国ブッシュ大統領はテロリストとの対決を世界中に公表した。これはもちろん世界中が納得する姿勢であった。そしてテロリストはオサマ・ビン・ラーディンと彼の配下のアル・カイダであると認定され、彼らを匿うアフガンのタリバン政権に対する攻撃が開始され、今ついにタリバンは崩壊した。

 結果的に、CIA特殊戦略実行隊の目的は達成されたのである。

 果してこれが、CIA特殊戦略実行隊の地下工作の成果なのか。それともイスラム諸国に対するさまざまな圧力が結果 としてピン・ラーディンのようなテロリストを生み出したものなのだろうか。

 今回の米中枢同時テロについて、国際情報に詳しい人々は口を揃えてこう言う。

 「この事件の真相は、未来永劫、決して語られることはないだろう」。

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