参院選で対立する陣営の双方を応援!まさに「コウモリ」と呼ぶに相応しい川合善明・川越市長の世渡り | 行政調査新聞

参院選で対立する陣営の双方を応援!まさに「コウモリ」と呼ぶに相応しい川合善明・川越市長の世渡り

「お前は、いったい誰の味方なのか?」
この事実を知った人は、誰もがそんな言葉をぶつけたくなるだろう。10日に投開票を終えた参院選をめぐる川合善明川越市長のことである。
今回の参院選は、憲法改正問題などを争点として全国で与野党が激しくぶつかった。その中で、川合市長はまさに「コウモリ」ともいうべき動きを繰り返した。
先日、本紙に掲載された「裸の王様を自覚したのか? 川合善明川越市長・参院選で突如の公明党支持の謎」。ここに記されているように、川合市長は、これまで縁の薄かった公明党の公認で出馬した西田まこと候補への投票を呼びかける選挙ハガキに自らの名前を記し、埼玉県内の有権者へと送付したのである。
市長の就任以降、川合市長は自分の「与党」を次々と乗り換える、地方自治体の首長としては、節操のない行動を繰り返してきた。当初は、民主党(当時)の強力な後押しを受けていた川合市長だったが、市政運営のみならず2014年12月には後援会費の不適正支出を民主党会派の片野広隆市議から糺されたことで豹変。それまでは一部特定の市議だけの交流であった自民党にべったりとくっつくことで、議会での様々な追及を逃れてきた。
ところが、最近では幾たびも市議会を空転させ、重要な審議すらままならない運営に呆れられたのか、自民党会派からも信頼を失いギクシャクし始めていた。そうした中で、フォローしてくれる公明党への義理立てが、選挙ハガキを用いた西田まこと候補の支援にと繋がったのだろう。

ところが、投開票日の翌日。7月11日付の『埼玉新聞』10面に掲載された写真を見て、本紙の執筆陣も驚いた。「激戦で民共明暗」と記された記事では、西田氏と同じく埼玉選挙区で当選を果たした、民進党の現職・大野元裕氏の写真が掲載されている。花束を手に笑う大野氏の後ろには、上田清司埼玉県知事らと並んで、川合市長の勝利を願う「必勝ビラ」が堂々と掲示されていたのである。つまり、川合市長は同じ選挙区で議席をめぐって争った西田氏と大野氏に二股をかけていたのである。
ご存じの通り、自民党と連立政権を組む与党・公明党と、地方の一部の選挙区では社民党・共産党と野合した民進党の候補の主張はまったく相容れない。安倍首相を支える与党に属する西田氏は、当然アベノミクスの効果は現れていると主張し、大野氏はそれを失政だと真っ向から否定する。日米安保条約をめぐっても西田氏は日米同盟維持を主張し、大野氏は即時廃止の意見である。すなわち、川合市長は、とうてい同じ船に乗るはずなどない二人の候補者の両方に「私は心からあなたを応援している」という顔をして媚びを売っていたのである。
川合市長には確固とした政治思想など元からなく、只の権力思考のみが彼の望みでしかないことが改めて明らかになった!

川合市長は腹の中でなにを考えていたのだろうか。市議会では批判されっぱなしの自身に手心を加えてくれている公明党には「今後ともよしなに」と選挙ハガキに名前を記し、一方では同じく大野氏に「必勝ビラ」を送っていた上田知事を通じて、民主党にも手心を加えて貰おうと、安い知恵を働かせていたに違いない。

<埼玉新聞 2016年7月11日 掲載>

謎なのは、投開票日当日の川合市長の動きである。参院選の当選結果は、新聞・テレビの出口調査によって午後8時には、早くも明らかになった。当選を決めた西田氏・大野氏双方の選挙事務所には、情勢が明らかになる前から大勢の支持者が集まっていたはずである。その時、川合市長は、どちらの選挙事務所にいたのであろうか。
はからずも『埼玉新聞』の報道写真に写ってしまったことで、川合市長がコウモリのように立ち振る舞っていたことが、川越市民ならず埼玉県民にまで明らかになってしまった。
自主性のない川合市長の行動によって、川越市民までもが、恥をかいてしまった事実は、もう取りかえしがつかない!