危機管理意識の欠如が今回の災害を齎(もたら)した川合市長の責任は大きい | 行政調査新聞

危機管理意識の欠如が今回の災害を齎(もたら)した川合市長の責任は大きい

10月23日の明け方に関東地方を通過した台風21号は、川越市内において甚大な被害を齎した。報道によると、市内寺尾地区では、約440戸に浸水被害が出たということだ。川合市長は、「23日に浸水被害があったと報告を受けたが、寺尾地区はこれまでも浸水被害が出たところで、今回も大きな被害は起きていないと思っていた」(11月2日付 東京新聞)とコメントしている。
また、市の担当者によると、「寺尾地区に避難準備情報を出さなかった理由について、河川の水位が基準として定められているため、内水の上昇についての基準はなかった」と言っている。
思い起されるのは、平成28年の台風9号である。11年ぶりに関東に上陸(8月22日)した台風9号は、川越市内寺尾地区をはじめ砂・藤間地区などで浸水被害が起きている。台風9号の時の教訓が生かされないまま今回の浸水被害となった寺尾地区の住民にとっては、悲惨としか言いようがない。
前後するが、11月1日付の東京新聞には、「市のミスかどうかを判断するのは時間がかかる。防災専門家も入れて検討する必要がある」と川合市長のコメントがある。これだけの被害を出しておきながら検討するための時間があるならば、即刻次の被害を出さないための方策を考えるべきである。
今回の浸水被害に関する新聞各社の報道内容や臨時議会での川合市長の答弁などについて、誠意ある対応が全く感じられない。行政の最高責任者である首長の判断の誤りが、大きな災害を招いてしまうということを今回の浸水被害の件で改めて思い知らされた、というのが実感である。
自然災害に対して、余りにも軽く見ているとしか言いようがなく、恐ろしいことである。
突発的に起きる地震災害とは違い、台風による災害はある程度の被害は予見できる。
行政のトップによる危機管理意識の欠如がここで露呈したと言える。

読者より