醜態を曝け出した今回の条例案撤回 | 行政調査新聞

醜態を曝け出した今回の条例案撤回

条例案撤回という事態が川越市でも起きたことが、ここで分かった。川越市でも、ということだが、以前に鶴ヶ島市において起きたことは、まだ記憶に新しい。
鶴ヶ島市の場合は平成27年3月定例会において、一旦上程した条例の改正案の中に「市長の給与の改正の際に根拠としている算定基準が誤っている」との指摘があったことによるものであった。このケースの場合には、単純な人為的ミスによるものだった。

今回、川越市の場合は、今定例会(9月定例会)において上程した「川越市犬竹大学奨学金基金条例」を定めることについてで、既に議会側に上程した議案である。
聴くところによると、この議案には固有名詞即ち個人名が付いているため、好ましくないとの最終的な判断として議案を撤回したということだ。上程する前であるならばまだ話しは分かるが、議案が議会側に渡ってしまったことを考えると醜態そのものである。その上、条例案を修正して追加議案として再度上程しても、議会側には謝罪が無かったとのことである。
同様な条例案を種々調べたところ、こうした個人名の付いた奨学金はまず見当たらないというのが現状だ。そもそも、市の条例案に特定の個人名を入れること自体誤解を生じかねないし、行政の中立性・公正公平性の観点から見た場合当然のことである。

今回の条例案に限らず、ひとつの条例案を議会側に上程しようとする時には、それ以前に執行部において、その条例案の詳細な調整・チェックが行われているはずである。にもかかわらず、今回このような事案が発生したことは、どうしても理解できないし考えられないというのが率直な感想だ。
筆者がこれまでに川合市政の醜態についていくつか見てきたが、そこにはやはり自身の行政運営に対する浅薄と、首長としての資質にそもそも問題があると考える。よく政治家というものは人気稼業と言われるが、ただ単に人気だけで首長の椅子に座り続けるのであれば、市民にとってこれほど不幸なことはない。歴史と伝統のある川越市、その35万川越市民を代表する首長の条件は、品格・風格・才覚のある人物であることは言うまでもない。

愛読者より