鶴ヶ島市長選挙 | 行政調査新聞

鶴ヶ島市長選挙

―信頼回復のため次期首長に問われる力量―

本年10月22日は鶴ヶ島市長選挙の日である。既に、現職の藤縄善朗市長は、次期市長選には出馬せず、三期12年で引退を表明している。現在のところ、鶴ヶ島市長選への出馬表明をしているのは、前市議会議長の齋藤芳久氏のみだ。
鶴ヶ島市と言えば、平成17年の11月、現在の藤縄市政が誕生して以来、職員による不祥事や不適切な事務処理が発生するなど、市民の市政に対する信頼を失墜させることばかりが記憶に残っており、その都度藤縄市長が謝罪するという繰り返しであった。
これほど不名誉なことが幾つも起きること自体が異常であり、市政の信頼回復までには程遠いのが実情だ。ここでは、その一つひとつを列挙することは控えたいが、鶴ヶ島市の状況を見るや全てにおいて白けムードだ。鶴ヶ島市民そのものが、市長選など関心が無いと言ったところである。
裏を返せば、誰が首長になろうと市政に期待はしていないということの表れだ。すなわち、市政の信頼を大きく失墜させてしまったことは、藤縄市長の責任のみならず、チェック機関でもある議会側にも大きな責任があると言わざるを得まい。職員に至っては職場に対する覇気が全く感じられないのである。これが、今の鶴ヶ島市の現状だ。
藤縄市長も思えば気の毒ではあった。行政内部から長い期間、市民の耳にした情報によれば、藤縄市政三期にわたって藤縄市長の足を引っ張り続けた外部介入者(前市長の側近)と内通者らによる行政内部への攪乱を藤縄市長は防げなかったようだ。
鶴ヶ島市民にとっては、こうした苛立たしい連中が行政内部に口を出すかぎり、安定した行政運営が確立できないのは火を見るよりあきらかだ。これら煩い連中は、これからも庁内をのさばることだろう。

こうしたことを抱えての今度の市長選である。前述のとおり、現時点において出馬表明しているのは、前市議会議長の齋藤芳久氏一人だ。
既に市民の手元にも齋藤氏のリーフレットが届けられている。選挙用リーフレットは、その候補者が有権者に対して政策や信条、信念などを伝えるための手段として、非常に重要なツールである、と理解している。今ここに、鶴ヶ島市長選挙(10月22日)に出馬表明している齋藤氏の選挙用リーフレットを目にしている。当然こうした類の物は、読み手の側に関心を持たれ共感を覚えるような内容でなければ、単なる印刷物で終わってしまう。

ところが、このリーフレットを一目見て、読む意欲を無くしてしまうほどお粗末なのである。自分もこれまでに、こうした印刷物は飽きるほど目にしてきたが、首長選挙でありながらこの程度の内容では、行く末が案じられる。挙句の果てに、リーフレットの末尾には、政治家3者のコメントが掲載されている。この先生方はリーフレットの内容を、しかと確認しているのか。うんざりするというのが実感である。
聴くところによると、この候補者は、自ら進んで出馬表明したのではなく、某有力者から頼まれて渋々出馬を表明したらしい。と言うと、このリーフレットは、本人ではなく第3者が作成した、と疑いたくなるほど中味は素人そのものが作成したとしか思えない内容なのだ。市議会議長まで務めた人物自身の作成とは思えない。

客観的に見て、現在の鶴ヶ島市の財政や福祉、民生、教育の現状を理解していないと、このようなリーフレットになってしまうのだ。いずれにしても、鶴ヶ島市長選挙は待ったなしでやって来る。鶴ヶ島市民7万人の代表として恥ずべきことがないように、現在の鶴ヶ島市の状況を俯瞰しながら、どのような市政を行っていくべきか、しっかりとした信念を持った首長の誕生を望みたい。

愛読者より