世界が同時崩壊 | 行政調査新聞

世界が同時崩壊

「アポカリプス」が現実となる日

物価高騰、インフレ、株式市場低迷、物流停滞など、世界全体が悪い流れの中にある。ウクライナ戦争が世界を悪化させている。
 世界はこのまま地獄に突入するのだろうか。

始まった金融崩壊

 6月に金利を0.75%上げた連邦準備理事会(FRB)は、7月にも再度0,75%の利上げを実施する方向にある。インフレに対応するための措置だと説明され、インフレが収まるまで金利を上げ続けることが想定される。世界的に物価は上昇傾向にあり、日本でも店頭に並ぶ様々な商品が値上げされている。それでも日本のインフレは世界から比べると小さなものだ。国際通貨基金(IMF)の発表では、4月の時点で米国7.7%、英国7.4%、カナダ5.6%、ドイツ5.5%、イタリア5.1%と軒並み激しいインフレ率に見舞われているが、日本はわずか1%。5月の予想値は、米国が8.3%で日本は2.0%。世界から見ると日本はインフレ局面とはいえない状態だ。

 それでも間違いなく物価は上がっており、庶民の財布は厳しさを増している。
 このインフレを抑え込もうと、FRBは金利上昇策をとっているが、それが効果あるものか、実に怪しい。世界にインフレを引き起こしている最大の要因は、コロナ禍とウクライナ戦争だ。金利を上げても、戦争が収まらない限り物価の上昇は続く。日銀はウクライナ戦争の中でも金利を上げず、緩和策を継続させている。米国が利上げして日本がやらないので、円安ドル高の局面が生まれ、6月23日には1ドル136.73円にまで上がってしまった。この先は上がったり下がったりしながらも、少しずつ円安が進み、秋には1ドル140円台まで行くとの観測が強い。中には9月に150円、200円になると予測する者もいる。円安ドル高が続けば輸入に頼る我が国の多くは悲鳴を上げるが、逆に円安で景気が良くなっている業界もある。
 黒田日銀総裁への風当たりは強いが、金利を上げてもインフレが収まらないことは事実だ。悪いのは金利を上げない黒田ではなく、コロナ禍の物流停滞とウクライナ戦争だ。欧米諸国もロシアも、これからますます厳しいインフレ局面に向かう。投資先を見失っている世界の金融市場は仮想通貨への資金流入を押し進めているが、これが健全とは思えない。とりあえず資金を移動させるために、金融界が詐欺的に仮想通貨を宣伝しているだけだ。世界の金融市場は崩壊に向かって進んでいる。金融界だけではない。世界全体が構造的な崩壊を始めている。

 最大の原因はコロナで、そこにウクライナ戦争が追い打ちをかけた。世界中のあらゆるところで人手不足が深刻になっている。特に日本を含めた米欧自由主義陣営は、人手不足に悩んでいる。テレビのニュースで、米国ニューヨークの市内で「人材募集中」の貼り紙が目立つと報道していたが、これはニューヨークに限ったものではない。我が国もあちこちで人手不足が深刻になっている。スーパーやコンビニも、支払いのための自動会計装置を導入し始めたが、この程度では焼け石に水だ。
 6月初めに、知人が2年ぶりに海外出張に出かけた。フランス・パリの空港で、知人の荷物が行方不明になってしまった。飛行機に積んだ荷物がどこかにまぎれて、空港で受け取れないことは、以前にもあった。だいたいの場合、2日もあれば手元に戻ってくるし、指定する場所に送ってくれるものだった。ところが今、空港には受取人不明の荷物が山積みになっていて、係員は「手元に戻るには2~3週間はかかるでしょう」と投げやりだという。これも人手不足のなせるわざだ。人手不足が最も深刻なのは日本だとの報告もある(「国際マンパワー・グループ」の報告書)

 日本では経営者の89%が人材不足を感じているという。しかし日本以外でも労働力不足は本当に厳しい。米国では多くの企業が「週休3日制」をとり始めているが、これも労働力不足のためだ。人手不足は自由主義陣営に限ったものではない。
 中国で産業用ロボットが爆発的に増加している背後にも、労働力不足があげられている。労働力不足は、この先、解決される事はなく、ますます深刻化していく。世界全体が構造的に問題を抱え、その解決法を完全に見失っている。

終わらないウクライナ戦争。世界全部が「敗者」になる日

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって4カ月になった。この状況で今「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」という言葉が飛び交うようになっている。戦争が長期に亘ることは、当初から想定されたものだったが、欧州諸国の温度差が本格的になり始めている。英国は第二次大戦のときと同様に、口だけは達者にウクライナ支持を内外に表明し、ジョンソン首相は2度もウクライナを訪れているが、それはバイデン米国をけしかけているだけだ。そのバイデンは11月の米中間選挙で大敗することが目に見えている。

 戦争を始めれば愛国心が高まり、現政権が有利になることが普通だが、米国ではその雰囲気が全くない。欧州でも、フランスやドイツ、イタリアはウクライナ戦争に腰が引け始めている。開戦当初は負け続け、多大な損害を出していたロシアは、態勢を立て直し、ウクライナ全土への新たな攻撃態勢を作りつつある。それでは今後ロシアが有利に戦争を続けるのかというと、簡単には判断できない。
 特にロシアと国境を接しているバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の対ロ強硬姿勢は、ロシアにとっては厳しい材料だ。エストニアは国民の2割がロシア人で、本来はロシアの肩棒を担ぐ国のはずだが、ロシア軍ヘリの越境(領空侵犯)に激しく抗議し、ロシア軍の動きをけん制している。リトアニアはロシアの飛び地であるカリニングラードへの鉄道輸送をストップさせ、お陰でカリニングラードでは物価が激しく上昇、食料品が12%の値上がりを見せている。カリニングラードは高級家具の輸出で知られているが、リトアニアがロシアからの鉄道を止めたお陰で、木材価格が70%も値上がりし、輸出家具の生産がほとんど停止。

 ロシアの財源の一つが先行き不透明となってしまった。当初、ロシア軍の惨敗が伝えられていたウクライナ戦争は、欧州の「ウクライナ疲れ」が目立ち始め、見通しはいよいよ不透明になっている。ウクライナ政府は開戦以来のロシア軍戦死者が2万7000名に達したと発表している。英国政府の公式見解によると、ロシア軍5万人が戦死または重傷で戦列を離れることになったという。一方、ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、開戦以来ウクライナ側に1日100人~200人の戦死者が出ているという。4カ月で1万2000名~2万4000名だ。戦時中に発表される戦死者数は信用できるものではない。ロシア側、ウクライナ側の戦死者のどちらが多いかは問題ではない。確実に大量の人々が亡くなり、この先も増え続けるだろう。

 大雑把に開戦以来の状況を俯瞰すると、前線の戦闘現場で戦っているロシア軍、ウクライナ軍は互角で、兵力損失はロシア側が大きい。ウクライナの背後には米英NATO勢力が控え、「ウクライナ疲れ」が見え始めてはいるものの、なおしばらくは五分五分の戦闘を続けそうだ。英国ピーター・サンダース陸軍大将はこの状況を「第二次大戦開戦直前の状況と同じ」だと言っている。彼だけではない。世界中のあちこちから「世界は第三次大戦に突入した」との声があがっている。戦争の長期化は、戦場の拡大を予測させる。ウクライナの戦争が世界のあちこちに飛び火する可能性が高まっている。中東や西南アジアだけではない。極東にも火の粉が舞うかもしれない。

世の終わり「アポカリプス」が到来する

 世界の終末や大災害のことを「アポカリプス」と呼ぶことがある。アポカリプスとはキリスト教で「ヨハネの黙示録」を意味する言葉だが、これが「世の終わり」や「大災害」の意味で使われている。今まさにアポカリプスの時代が到来したといえる。
 ウクライナ戦争でロシアが、核兵器を使う可能性が取り沙汰されている。小型核が使われるとの予測があり、プーチン自身も核兵器の使用に言及している。そんな状況下の6月22日に、ロシア連邦保安庁(FSB)のジミン大佐が拳銃自殺で亡くなった。ジミン大佐はエリツィン大統領時代から大統領の警備にあたり、プーチン大統領の下では「核ボタン」の担当者だった。ロシアの核ボタンは大統領、防衛相、参謀総長が携行する複合システムをとっていると伝えられる。ジミン大佐は、核ボタン担当という重圧に押し潰されたのだろう。それほどまでにロシアの核事情は緊迫している。

 核が使用される可能性があるのはウクライナだけではない。中東にもその恐怖がある。5月末にイラン革命防衛隊の大佐が自宅近くで射殺された。この暗殺にイスラエル諜報機関が関与していると米国は見なしている。その後6月に入って、イランの科学者2人が毒殺されたが、米紙「ニューヨーク・タイムズ」はこの事件もイスラエル諜報機関によるものだと報道している。イラン政府も「イスラエルの工作員が毒を盛ったと確信する」と述べ、イスラエルに対する報復を宣言した。ウクライナ戦争で中東の状況は報道が少なくなっているが、非常に危険な状態に突入している。
 想定外の国で内戦が巻き起こる可能性がある。米国である。米国カリフォルニア大サンディエゴ校のB・ウォルター教授は「米国が内戦に向かっている」と警鐘を鳴らしている。今年11月の中間選挙では、支持率が急落しているバイデン民主党が惨敗することは間違いないが、問題は2024年の大統領選だ。次の大統領選は、共和党トランプと民主党の戦いになる。現在の勢いならトランプが勝つだろうが、2年先の世界は誰にも見通せない。いずれにしても激戦になる可能性が高い。トランプが勝っても負けても、米国は国が二分される。

 前回(2020年)大統領選では不正選挙の可能性が指摘され、大騒動になった。次回2024年でも、どちらが勝とうが不正選挙騒動が巻き起こることは必然。そうなると米国は内戦状態になる。乱暴で荒っぽい米国で南北戦争以来の内戦が起きれば、どちらかが核兵器に手を出す可能性が高まる。米国の軍事関連予想企業「ディーガル」が「2025年には米国の総人口は1億人を割る」との予測を発表した。
 現在3億3000万人の人口が1億人を割るとしたら、核兵器の使用しか考えられない。世界はアポカリプスの時代に突入している。

新たな叡智(えいち)が出現する

 アポカリプスとは聖書「ヨハネの黙示録」を意味し、転じて「世の終末」の意味としても使われる。「ヨハネの黙示録」は1~2世紀にギリシア語で書かれたものだ。ギリシア語のアポカリプスは正しくは「アポカリュプシス(ἀποκάλυψις)」といい、「大いなる叡智の出現」を意味する。大いなる叡智とは、現実にこの世に存在しているのだが、私たちが見ることのない真実を意味する。

 18世紀に活躍した英国海軍の軍人、キャプテン・クックという人物がいる。本名はジェームズ・クック。下っ端の水兵から出世して艦長になった男で、太平洋を3回航海し、ニュージーランドやハワイ諸島を発見した。1779年にハワイで住民と戦闘状態に入り、命を失ってしまった。キャプテン・クックは英国海軍の帆船2隻でハワイに出向き、小型ボートに分乗してハワイ諸島に上陸した。クックが殺されたのはハワイ島南部で、住民と争って、最後は槍や投石を集中的に浴び、絶命したという。

 クックの死後、英国海軍は改めて現地で聞き取り調査を行ったのだが、このとき奇妙な事実がわかった。クック一行を襲撃した現地人は、クックたちが分乗してやってきた小型ボート(カッターボート)はわかっていたが、2隻の帆船(レゾリューション号とディスカバリー号)を見ていないというのだ。島の沖合に大型の船が浮かんでいたのだから、その姿が見えないはずはない。だが原住民の誰一人として、帆船の姿を見た者がいなかった。原住民がウソをついているとは思えない。彼らの目には、帆船は存在しなかった。小型ボートとは比べようのない大きな船など見たことがない原住民にとって、理解を超えた存在は「目に入らなかった」のだ。
 大いなる叡智とは、そのようなものと考えられる。世界は今、荒れ狂っている。活動期に入った太陽は、嵐のような太陽風を噴き上げ、地球全体に巨大なエネルギーを送り込んでいる。そのエネルギーを浴びて、地球の自然も荒れ始めている。気候が人心を惑わすのか、人心が気候を変動させるのかはわからないが、地球の自然も、世界の政治情勢も大荒れの時代に突入している。

 6月19日には石川県能登半島で震度6弱の地震が起きたが、この地震は本紙も含め多くが予測していたものだった。日本列島は今、北海道、福島・茨城・房総半島、そして京都、九州が激しく揺れ動いているが、おそらく日本全域全てが地震危険地域に存在している。日本だけではない。6月22日にはアフガニスタンを巨大地震が襲い、1100人超の死者を出している。同じ日に中国の山東省と河南省は異常な熱波に襲われ、電力供給の限度ギリギリ状態となった。

 一方、広東省では大雨で113の河川が警戒水位を突破、1700軒以上の家屋が倒壊している。日本では関東地方は空梅雨模様だが、7月以降には各地で記録的な豪雨、土砂災害が起きるのではないかと心配されている。戦争や内乱は怖いが自然が牙をむくと、人間が作ってきた全てが一瞬で失われてしまう。地球は今、間違いなくアポカリプスの時代に突入している。
 あと1年か2年、遅くとも3年以内に「大いなる叡智」が姿を現すはずだ。その叡智は、最初に姿を現すのは日本だと本紙は確信している。自然災害に備えつつ、やがて姿を見せる叡智を拝んでみたい。■

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