司法 が、川越市 川合善明市長 に“No” | 行政調査新聞

司法 が、川越市 川合善明市長 に“No”

司法 が、川越市 川合善明市長 に“No”

「原告(川合市長)の請求をいずれも棄却する」
2件の裁判で川合市長の全面敗訴!

原告(川合善明)のセクハラ行為の真実性は
「証拠上、それなりの根拠が認められる」
≪飯塚圭一裁判長判決≫

セクハラ被害者 市民女性A氏の主張
「虚偽とはいえない」と認めた、画期的判決!

 10月6日、午前10時30分、さいたま地方裁判所川越支部の大法廷で、画期的な判決が言い渡された。川合善明市長が、市民女性A氏とその代理人・清水勉・出口かおり弁護士が名誉毀損の不法行為に及んだとして訴えた2件の裁判で、原告川合善明市長の請求を「いずれも棄却する」という全面敗訴が言い渡されたのである。
 それだけではない。飯塚圭一裁判長はその判決理由の中で、川合市長のセクハラ行為に関するA氏の主張についても「証拠上、それなりの根拠が認められる」と鋭く指摘したばかりか、全体において川合市長の主張を「信用できない」と一刀両断にする画期的な判断を示した。
 「セクハラ行為は市民女性A氏の事実無根の作り話」などと、複数の裁判で主張してきた川合善明氏に、ついに司法の「NO」が突きつけられた。

「判決理由」の重要性

 この日、川合市長の全面敗訴となる判決が言い渡された2つの裁判は、いずれも原告川合市長が「同じ出来事」を、わざわざ2つの事件にして提訴したものだ。
 川合市長は、自らにかけられた市民女性A氏に対する過去の「強制わいせつ容疑」やセクハラ行為の存在を「まったくの作り話で事実無根の虚偽」だと主張してA氏を名誉毀損で訴えたのだが、それならば「A氏が虚偽を広めた」という、ひとつの事件の裁判にしかならないのが普通だ。
 ところが、川合市長は、A氏を痛めつけたい恨み骨髄からか、賠償金の請求額をカサ増しする狙いからか、本来なら1つの訴訟で事足りる事件を、わざわざ下記の2つの事件として別訴(個別の裁判)したのである。

1件目の裁判   令和元年(ワ)第965号 損害賠償請求事件

原告 川合善明   被告 市民女性A氏
原告 川合の主張:
A氏は、原告(川合)から強制わいせつ、セクハラの被害を受けたと虚偽の事実を弁護士に話したから名誉毀損の不法行為。だから150万円を払え。

2件目の裁判   令和3年(ワ)第293号 損害賠償請求事件

原告 川合善明   被告 市民女性A氏/清水勉/出口かおり
原告 川合の主張:
A氏は、原告(川合)から強制わいせつ、セクハラの被害を受けたと虚偽の事実を弁護士に話したから名誉毀損の不法行為で、その虚偽を知りながら弁護士会懲戒請求の代理人になったから清水勉弁護士と出口かおり弁護士も不法行為。だから被告3人は連帯して200万円払え。

 この2件の裁判で、2つとも「原告川合善明」の請求がすべて裁判所に棄却された、川合市長全面敗訴となったわけだが、この2件の裁判の争点は「市民女性A氏が、川合市長から強制わいせつ・セクハラの被害を受けたか否か」に絞られることは自明だ。そのうえで、2つの事件とも川合市長の訴えが完全に退けられたこの判決は、裁判所が、川合市長による性被害を主張した市民女性A氏の反論と陳述証言の信頼性が高いとの判断を示したのである。だからこそ「原告(川合市長)の請求をいずれも棄却する」という主文以上に、判決理由が重要になる。
 わかりやすく言えば、弁護士としての川合市長がインネンをつけた懲戒請求は、そもそもA氏がやったことではない。何度も指摘することだが、懲戒請求者は本紙社主・松本である。この点は、同判決文でも言及しているので後述するが、要するに、判決理由をたとえば「被告(A氏)は懲戒請求者ではないから、不法行為の当事者とはいえない」と済ませることも容易だ。つまり、判決理由で「セクハラ・わいせつ」に触れないことも出来る。同じ「請求棄却」の判決であっても、権力側(川合市長)に不利になるような判決理由を「書かない」ことは、日本の司法の体質的傾向からみれば、むしろ常識とさえ言っていい。
 ところが、さいたま地方裁判所川越支部の飯塚圭一裁判長による、この判決文では、原告川合善明氏のセクハラ・わいせつ行為にかかる証言の真実性について、具体的かつ詳細に検討し審理していることがわかる。ここで、判決文の全文をリンクで掲示するが、2つの裁判とも同旨の事件であるため、本紙では市民女性A氏ひとりが被告となった事件を取り上げる。       判 決 文 全 文

川合市長によるセクハラ・わいせつ行為は
「真実性について、証拠上、それなりの根拠が認められる」

 一般的な読者には、判決文をそのまま読んでも理解しづらい点が多いと思われるので、本紙では判決理由での重要なポイントを挙げることにする。
 まず、判決文4ページから5ページに記載された「本件事実①」とは、以下のとおりである。「原告」は川合市長、「被告」は市民女性A氏のことだ。

 原告が、平成27年2月頃、居酒屋において、被告をカラオケのデュエットやチークダンスに誘い、その際、被告の腰に手をまわして被告の身体を引き寄せたり、胸を触り続けたりしたこと  (判決文4ページ~5ページ記載)

 この「本件事実①」が、同判決理由を読み解くにあたって極めて重要な点であることを覚えて頂きたい。同判決理由のハイライトは、10ページ末尾から19ページまで続く「当裁判所の判断」にある。その17ページには「本件事実①の真実性について、証拠上、それなりの根拠が認められるのであって、本件事実①が虚偽であると断定することはできない。」と書かれている。この「本件事実①」は、上掲の判決文そのままを意味するので、当てはめてみると次のようになる。

 原告が、平成27年2月頃、居酒屋において、被告をカラオケのデュエットやチークダンスに誘い、その際、被告の腰に手をまわして被告の身体を引き寄せたり、胸を触り続けたりしたことの真実性について、証拠上、それなりの根拠が認められるのであって、原告が、平成27年2月頃、居酒屋において、被告をカラオケのデュエットやチークダンスに誘い、その際、被告の腰に手をまわして被告の身体を引き寄せたり、胸を触り続けたりしたことが虚偽であると断定することはできない。

 この判決文を誤読しないように注意すべき点は、原告(川合市長)による「セクハラ・わいせつ行為があった」とは断定していないということだ。だが同時に、川合市長によるセクハラ・わいせつ行為が「なかった」とも断定していない。当然だ。
 なぜなら、この裁判では、原告・被告の双方ともに、客観的な証拠(映像や録音)が存在しないからだ。これは性被害事件の多くにも共通する。
 だからこそ、「どちらの主張が信用できるか」を判断するために慎重な検討を要する事件であり、判決理由はその判断の根拠を示すものとして重要になる。
 そして、さいたま地方裁判所川越支部・飯塚圭一裁判長は、市民女性A氏の主張の方を信用し、A氏が川合市長からセクハラ行為の被害を受けたとの主張が、虚偽であるとは言えないと判示したのだ。
 一言でいえば、原告たる川合善明市長の主張のすべてを、裁判所は一切信用しなかったのである。これは、川合善明氏が仮にも現職市長であることを考えれば、画期的というより、歴史的な判決とさえいえるものだ。

ま さ に 破 邪 顕 正 の 判 決
川合市長に連座する、三上喜久蔵議員も排撃!
「三上市議の陳述書は、信用することはできない」

 同判決文には、原告(川合善明)の信用性を否定する記述がいくつもみられるが、特筆すべき点は、この事件の訴訟当事者ではない、三上喜久蔵議員(川越市議会)についても相当の紙幅を費やして、川合市長が証拠として法廷に提出した「三上市議の陳述書」「信用できない」と斬り捨てたことである。判決文の該当部分をみてみよう。「原告」は川合市長、「被告」はA氏、「自身」が三上議員である。

 原告、被告及び自身の3名で飲酒したことは一度もないとする三上市議の陳述書(甲10)は、反対尋問を経ていないものである上、原告自身の供述からもうかがわれる上記3名の関係性にも照らせば、これを信用することはできない。(判決文17ページ)

 これは、川合市長に並び、三上喜久蔵議員には致命的なダメージとなる判決だ。川合市長は、本件裁判の証人尋問で弁護士と次のとおり証言している。
 「原告」は法廷の証言台に座る川合市長だ。

弁護士:被告(A氏)が平成27年2月に、あなたと三上さんと3人で飲んだとおっしゃってること について伺います。あなたは、古谷地区の会合の懇親会や二次会以外で、被告とお酒を飲んだことはありますか。
原 告:ありません。
弁護士:三上さんとはお酒を飲んだことはありますか。
原 告:ありません。
弁護士:三上さんと被告と3人でお酒を飲んだことはどうですか。
原 告:もちろんありません。
弁護士:被告が言っている、とんぼ(註・セクハラ行為があった市内居酒屋)で、あなたから体を触られたという事実はありますか。
原 告:もちろんございません。

令和4年5月19日午後1時30分
本人調書(証人尋問)

 そして続く尋問で川合市長は、三上議員にも「3人で居酒屋で飲んだことはない」旨を確認して、その内容を三上議員に陳述書にしてもらった(実際には川合市長が自分に都合がいいように書いた作文)という証言をした。
 その「三上市議の陳述書」を裁判所が「信用することはできない」と一蹴したのだ。

 普通の言い方をすれば、川合市長と三上議員の主張はウソだと認める判決である。三上議員は、現在、市民女性A氏から「セクハラ・わいせつ行為に関する証拠隠滅加担による損害賠償請求」訴訟を起こされている。代理人は清井礼司弁護士・内藤隆弁護士だ。その事件はこれから口頭弁論が開始されることになるが、今回の判決で「三上陳述書」自体の信用性が、きっぱりと否定されているのだから、三上議員は裁判が始まる前から追い詰められたも同然だ。
 事件名として明確に記されているとおり「セクハラ・わいせつ行為に関する証拠隠滅」のために、川合市長と三上議員が共謀して虚偽の内容で作成した陳述書の存在が、原告A氏・被告三上議員の裁判で、信用されることはまず考えられない。
 なにしろ、その裁判も今回の判決を言い渡した同じ裁判長なのだから、自分の判決と矛盾する判断をする理由はない。三上議員は、来年(2023年)4月で任期を終えることになるが、同時にそこで三上喜久蔵氏の、政治家としての生命も終焉を迎えるだろう。自己犠牲を払って「おれ様市長」に付き従った挙句の果てが、晩節を汚す幕引きという、漫画にもならない話だが、すべては三上議員の自業自得でしかない。川越市議会の議員らは、他山の石とすべきである。

本紙社主・松本の主張は
川合市長に対する「侮辱行為と解することはできない」

 この裁判の判決文には、前述の「本件事実①」に続いて「本件事実②」という記述がある。本件事実とは、この裁判の争点となる事実を意味するもので、ひとつが冒頭の「原告が、平成27年2月頃、居酒屋において、被告をカラオケのデュエットやチークダンスに誘い、その際、被告の腰に手をまわして被告の身体を引き寄せたり、胸を触り続けたりしたこと」(本件事実①)であり、「本件事実②」とは下記の内容である。

 原告が、令和元年9月、被告に対して個人的に電話して「Aさん(被告)は、僕のことを訴えたんだな!」と脅すように強い口調で言ったこと(判決文5ページ記載)

 まとめると、川合市長の訴えの内容とは「①市民女性A氏の身体を触るなどのわいせつ・セクハラ行為に及んだ」「②A氏を電話で脅かした」という2点の虚偽をA氏らが懲戒請求書に記述して弁護士会に提出したことで、名誉が毀損され、名誉感情が侵害されたとするものだ。
 前述のとおり、本件被告の市民女性A氏は、川合市長が訴える争点の「懲戒請求」の当事者ではない。判決文では、A氏が過去に川合市長から強制わいせつ行為の被害を受けという話を、本紙社主・松本に伝えた事実について「情報提供行為」と定義している。だから、本来、川合市長は名誉毀損の争点となった懲戒請求者本人である本紙社主・松本州弘を訴えることが普通であり、むしろそれが常識ですらある。ところが川合市長は「将を射るにはまず馬から」の兵法を気取ってか、はたまた単なる弱い者いじめしか出来ないのか、当事者ではないA氏を相手取って「松本に情報提供をしたおまえが元凶なのだ」という裁判を起こしたのである。
 裁判官が「ずいぶん遠回しなインネンをつけた裁判を起こす原告だなあ」と思ったとしても、原告がそう主張するからには、裁判所としては「松本って、なんか悪いことやったのか?」という観点からも、被告の行為を検討することになる。
 その結果、「本件事実②」に対して裁判所が示した判断は次のとおりであった。

 松本らが本件懲戒手続きにおいて本件事実②を主張したからといって、それが原告に対する社会生活上許される限度を超えた侮辱行為と解することはできず、原告の名誉感情が侵害されたということはできない。したがって(中略)被告の不法行為責任は、この点で認めることはできない。 (判決文19ページ記載)

 これは、判決文本文の結部である「原告の請求は理由がないから、これを棄却する」とした「結論」、「裁判長裁判官 飯塚圭一」の直筆署名の直前の段落に記載されている。身内びいきの感嘆といおうか、まさか本紙社主と裁判長の名が、判決文の同じページに記されることになるとは、記者の想像を超える判決書であった。

川合善明市長の控訴はあるか?
12月議会は、重大な責任を問われる

 本稿では、前回判決主文を伝える速報に続いて、判決書に書かれた判決理由を紐解いてみた。しかし、現時点では判決が確定したわけではない。
 川合市長が本件判決書を現時点で受け取っているのかも不明だが、控訴期限は裁判の当事者(弁護人を含む)が判決書を受け取った日から起算して2週間となっている。その控訴期限を過ぎても、川合市長が控訴しなかったときに初めてこの判決が確定する。仮に、川合市長が控訴でも棄却されることを想定しながら、政治的な釈明の理由にするためだけに、あえて控訴する可能性は十分に考えられる。「ただいま係争中の事件ですので、お答えは差し控えます」という、政治家の使用頻度トップともいえる逃げ口上で、議会の追及をかわすためである。
 だが、果たして川越市議会が今回の判決を重くみて、川合善明市長を厳しく追及することがあるのだろうか?これまで本紙は長年にわたって、腐敗市長のみならず川越市議らの問題も指摘してきたが、議員らの多くは「議員バッジで給料貰おう」という手合いの「スチャラカ政治家」で、市長が横暴だろうが独裁的だろうが、市民のことなど欠片も念頭になく、自分の議員報酬が失われないように立ち回ることだけに腐心する、文字通りの税金泥棒が過半数以上を占めている。

 腐敗行政には好都合とでも言おうか、川越市は選挙の投票率も得票率も35万人都市としては極めて低い。川合市長の今期(4期目)選挙での得票数は、38,465票市民有権者29万275人13%に過ぎない。投票率も22%でしかなく、逆にいえば、川越市は「政治に関心も関係もない市民」がほとんどという状況なのだ。ある市民は「川越市は、町は古いけど、都内に通勤する人たちが寝に帰るだけのところです」と失笑する。だから、議員らも「なにも市長に睨まれてまで市民のために闘うなどバカバカしいから黙っていよう」と開き直っているのだろう。

 今回の判決で完全勝訴を勝ち取った市民女性A氏が、川合市長からスラップ訴訟で攻撃されている最中、その被害救済を訴えた、仙波敏郎氏の請願を不採択に持ち込んだ一件だけでも、川越市議会の「ことなかれ主義」を遥かに超えた、「市民見殺し主義」は公職者として犯罪に等しい。請願に賛成と立ち上がったのは、反川合善明の最前線にして請願紹介議員の小林薫議員と、共産党議員だけである。

 「女性の人権」だの「女性の性被害を許さない」などとシュプレヒコールだけは声高な公明党も、川越市議会では「沈黙のサル」のように議席で黙ったままではないか。
 このような市議会だからこそ、川合善明という邪悪な人物が4期目となる長期政権の首長でいられるのである。川合市長の悪性は、弛緩しきった市議会を養分として肥大してきたとも言えよう。

 川合市長が、今回の判決を不服として控訴するのか、判決確定となるのか、いずれにしても、川合善明市長と三上喜久蔵議員が「信用できない」と、司法に判断された人物である以上、議会は、次期12月議会では超党派で市長に対する不信任決議案を提出すべきだろう。なお、今回は川合市長の全面敗訴となった2件の裁判の一審を終えたものの、「川合裁判劇場」は続いている。
 市民女性A氏と仙波敏郎氏が被告とされた川合原告裁判も、さいたま地方裁判所川越支部で係属中であり、A氏がついに反撃を開始した被告川合善明、被告三上喜久蔵のそれぞれの裁判も幕を開けた。市民の言葉に慎重に耳を傾ける飯塚圭一裁判長の判決は、本紙記者の司法を見る目を変えてくれたほど画期的な判例となったが、無論、裁判所は原告・被告のいずれにも肩入れすることがあってはならない。
 今回のA氏の勝利に油断は禁物だ。本稿の最後に、市民女性A氏原告裁判、小林議員被告裁判の、それぞれの次回期日を告知しておく。
 場所はいずれも「さいたま地方裁判所川越支部」

10月20日(木)午前10時30分  原告 A氏    被告 川合善明
                【侮辱による慰謝料請求事件 第2回口頭弁論】

11月 2 日(水)午前10時30分  原告 川合善明  被告 小林薫
                【損害賠償請求事件】

※この裁判は、弁論準備手続のため一般傍聴はできません。
但し終了後、A氏代理人<清井礼司弁護士・内藤隆弁護士>による説明会を予定。

11月15日(火)午後2時30分  原告 A氏    被告 三上喜久蔵
               【セクハラ・わいせつ行為に関する
                     証拠隠蔽加担による損害賠償請求事件】

※この裁判も、弁論準備手続のため一般傍聴はできません。
11月2日同様、A氏代理人<清井礼司弁護士・内藤隆弁護士>による説明会を予定。

 本紙は、一連の「川合裁判」を、ひとりでも多くの市民諸氏に傍聴して頂き、メディア各社にも取材を呼びかける次第である。

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