イスラム対ユダヤ因縁の対決 | 行政調査新聞

イスラム対ユダヤ因縁の対決

中東は最終戦争ハルマゲドンに突入する!

 アフリカ大陸北東部のスーダンが内戦に揺れている。
 資源大国のスーダンは、2011年に南スーダンが分離独立するまでは、アフリカ最大の国だった。南スーダンが切り離されたスーダンは、元はアメリカ寄りの国だったが、資源を求めてロシアと中国が接近。そこに宗教問題がからみ、複雑な様相を呈している。この地域の宗教問題は、基本的にはキリスト教とイスラムとの対立だ。その深奥は、今、中東で進行中の「イラン対イスラエル」の対立に根ざしている。これから先の世界を遠望するには、「イスラム対ユダヤ(イラン対イスラエル)」の動きに注視すべきだ。中東の混乱は、直ちに極東に激変をもたらすだろう。

世界は大混乱に向かう

 ロシアのウクライナ侵攻は、終わりそうで終わらない。ブラジルのルラ大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領、さらにはロシアの民間軍事組織ワグネルの指導者プリゴジンまでもが和平工作に動いているが、ロシアは戦争(特別軍事作戦)を終えようとしない。この戦争は、まだ続く。そして世界はさらなる混乱を迎える。
 ロシアは戦争を長引かせ、「NATO対ロシア」の全面戦争に持ち込みたい。
 その駆け引きのために、敗けそうで敗けないロシア軍を演じている。NATO対ロシアの戦争になれば、米軍がヨーロッパ戦線に本格参戦することになる。一方、中東では「イスラム対ユダヤ」の構図が強まっている。3月10日にサウジとイランが握手を交わした。北京での出来事だ。サウジとイランは、歴史的に見ればアラビアとペルシア。この2大勢力は昔からずっと対立してきた。
 表立っては貿易、領土などの対立だが、根本はイスラム教のスンナ派(アラビア)シーア派(ペルシア)の対立だ。それが中国の仲立ちで、1300年の対立を越えて握手することになった。世界史的に大きな事件だった。
 その2日後の3月12日には、湾岸諸国連合(サウジなど6カ国)がイスラエルと絶縁を宣言。アラブ首長国連邦(UAE)はイスラエルと契約していたアイアン・ドーム(防空システム)契約の破棄を通告している。イスラム諸国が一体となってイスラエルとの対決姿勢を強めている。
 3月22日からイスラム諸国はラマダンに入った。日の出から日没までは断食するというイスラムの掟に従ったものだ。ラマダンに入るや、イスラエルは連日、シリアにミサイル攻撃や空爆を実施している。2月に起きたトルコ・シリア地震で、シリアは甚大な被害を受けたが、イスラエルや米国はシリアの敵視政策を続け、現政権(アサド大統領政権)は苦境に追いやられていた。そんなシリアを、イスラエルは空爆し、現体制を崩壊させようとしてきた。

 4月12日にはシリア外相メクダドがサウジを訪問。宗教の派閥を越えてイスラム諸国の一体を訴えてきたサウジは、10年ぶりとなるシリアとの航空便の再開に踏み切った。シリアに物資援助をするためだ。エジプトやヨルダンも歩調を合わせ、シリア支援体制をつくりはじめている。
 4月14日にはイラクのラシド大統領とイランのライスィー大統領がパレスチナ国の全面支援を表明した。パレスチナ国とはイスラエルの真ん中にある国だ。首都は東エルサレム。日本をはじめ米英などは国として認めていない。日本では「パレスチナ自治政府」と呼んでいるが、実は1988年に独立を宣言。現在は世界138カ国がパレスチナを独立国家と認めている。イスラエルにとっては最も危険な存在だ。

 間違いなく今年中に、イスラムとユダヤは戦火を交えることになる。たぶん夏の終わりか、秋になれば、中東は火の海に沈む。聖書で預言されているハルマゲドン(最終戦争)がはじまる。イスラエルが周辺のイスラム圏諸国と戦争をはじめる。
 イスラエルが戦火につつまれれば、米国は軍隊を出さざるを得ない。ヨーロッパでNATO支援に乗り出す米国は、中東でイスラエル支援をやることになる。米国にとって2正面作戦は厳しいものになる。ヨーロッパと中東に軍隊を派遣する米国は、極東が手薄になる。

敵は本能寺にあり。露中の狙いは「日本」

 ヨーロッパ戦線と中東戦線に米軍が出動すれば、極東は手薄になる。その状況を見据えて、4月14日、15日にロシア太平洋艦隊が史上最大の軍事演習を行った。
 注目を集めたのはロシア海軍の原子力潜水艦ペルゴイド。米原潜オハイオを抜き世界最大とされる原潜で、核魚雷ポセイドンを搭載している。日本のマスコミはこの軍事演習についてわずかしか報道していないが、これは我が国にとって脅威だ。
 一部の軍事評論家は、ロシアが北海道に侵攻し、占領する可能性があるとしている。ロシアは帝政ロシア(1721年~1917年)時代からずっと北海道を狙っていた。 
 いや、もっと昔のロシア(ロシア・ツァーリ国)も江戸時代に北海道(蝦夷島)を奪いとろうと考えていた。第二次大戦の最終局面で千島列島や樺太を手に入れたときにも、あわよくば北海道を占領しようと考えていた。在日米軍が手薄になれば、ロシアが北海道に進出するのは当然の話なのだ。米軍の主力がヨーロッパ戦線や中東に出ていくと、極東が手薄になる。すると当然、台湾や沖縄の米軍の力が弱体化する。中国が圧力を高めてくるのも必然の流れだ。

 本紙が以前から主張していることだが、中国軍が台湾に侵攻することはない。
 それはあり得ない話だ。だが中国軍が在日米軍と小競り合いを行うことはあり得る。中国軍の狙いは、そこにある。偶発的に見せかけて、中国軍は沖縄駐留の米軍と小規模な戦闘をはじめるだろう。その場合、米中の戦闘ではなく、米軍の先鋒としての自衛隊が標的になる。北海道に侵攻をかけるロシア軍と、沖縄で駐日米軍(自衛隊)に襲いかかる中国軍。年内に、そんな局面が起きることを想定しなければならない。3月末にモスクワでプーチンと習近平が会談を行った。

 この二人としては異例なほど長時間(4時間半)に及んだ会議での話題は、主にウクライナ情勢だったと報道されているが、当然ながら極東情勢、特に日本についての話し合いがなされたはずだ。ロシアと中国にとって、最大の目標は今も昔も日本なのだ。日本はもはや、米国の力を頼りにすることはできない。
 日本は対米従属の姿勢を改め、自主独立の気概を持たなければならない。自力でロシアと中国に立ち向かうには、どうすればよいか。その答えは、日本人なら誰もが理解しているはずだ。■

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