懲戒処分 が 決定した 「弁護士」市長 川合善明氏!
全会一致で市長説明を求めた議会でも「謝罪しない」の開き直り答弁!
2月13日、川越市議会で「埼玉弁護士会からの戒告処分に対する川合善明市長の説明を求める決議」という議案が全会一致で議決され、3日後の16日、川合市長は議会での説明を行った。
これは、川合善明市長の市民女性A氏に対する一連の損害賠償事件に関係して、存命中の本紙社主・松本州弘が、川合市長の弁護士としてあるまじき言動に対する懲戒処分を埼玉弁護士会に求めた結果、川合善明氏の懲戒処分が議決されたことについての市長説明だ。これまで川合市長は、市民女性A氏を訴えた裁判について「個人の訴訟だから議会で説明する必要はない」などと説明責任を突っぱねてきたが、弁護士法に反して「戒告」という懲戒処分を受けたことについては、なぜだか議会で説明をするという。
全会一致で説明を求められたところで、川合市長は「弁護士としての個人の問題なので説明する必要はない」と拒否すれば済む話だ。なんの法的拘束力もない議決なのだから。しかし懲戒処分について議会で説明するという川合市長の答弁を聞くと、その真意がみえてきた。川合市長は、女性市民A氏に対する性加害事件が、被害者であるA氏の虚偽だとして損害賠償請求した果てに最高裁判所で敗訴している。
最高裁の判決は、さいたま地方裁判所川越支部の、A氏の被害の主張が「虚偽とはいえない」「むしろ証拠上、それなりの根拠がある」としたうえで、川合市長の主張を「信用することはできない」とまで踏み込んだ原判決と、これを支持した控訴審(東京高裁)の判決を維持したもので、川合市長に上告の理由はないと門前払いにしている。
川合善明弁護士としての懲戒処分以前に、市長の資格の欠片もないといえる川合氏だが、ここでも川合市長は、市民女性A氏に「謝罪する必要はない」と鼻の穴を膨らませて開き直る、行政の長とは思えない傍若無人の答弁に終始した。
その異様な川合善明市長の「トンデモ議会答弁」をリポートする。
「川合善明弁護士」は 何をやらかしたのか?
そもそも弁護士の川合善明氏が受けた懲戒処分とは何か?
簡単にいえば弁護士法という法令に違反した事実によって、埼玉弁護士会から弁護士として「品位を失うべき非行があった」と議決され処分を受けたものだ。ところが川合市長は言を左右に、あたかもこの処分が大したものではなく、市政に影響もしないから、市民に謝る必要もなく、さらには懲戒処分事案の相手側である市民女性A氏にも謝罪の必要はないと堂々と言ってのける異常ぶりだ。結論を先に置くようだが、法令違反をしながら議会でも平然と開き直る市長の傍若無人の「おれ様」ぶりを、どこまでも温かい目で見守り続ける川越市議会はさらに異常だということになろう。
すべての始まりは平成30年3月、市民23名が川越市を訴えた住民訴訟だった。
市が不正な手続きで、本来なら市道認定ができない袋小路の私有地を「市道」として認定したことで、その道路に面した私有地を保有する元市議らに便宜を図ったとする訴えで、この元市議と川合市長が昵懇の関係にあったことから不正が疑われるものとして、市民らが、不必要な市道認定による工事費の返還を市に請求した裁判だ。
すると川合市長は、市を訴えた原告住民に「あなたの意思で訴えたのか?」と問い質すアンケート仕様の手紙を送りつけたのである。これだけでもすでに異常な出来事だ。住民は「川越市」を訴えたのであって、誰も「川合善明」など訴えてはいないうえに、自分が市長だからといって「おれ様の市」を訴えたのか?などと有権者に個人的な手紙を送りつける市長など前代未聞だ。仮にも市長から直接そのような手紙が届けば市民は驚く。川合市長に恐れをなした市民のひとりは原告団から降りて、当初23名だった住民訴訟原告は22人となった。
川合市長は、この住民訴訟が自分の嫌いな元県議会議員による政治的工作だと主張し続け、本議会でも同様の説明に終始したものだが、23名の住民原告団のうち22人は裁判を続けたのだから、政治的工作であるはずもない。川合市長と仲良しの元議員らが私益を貪った疑いが強い事件だから、市民として行政庁を訴えただけの話である。
ところが市長になって以来、「川越市はおれ様のもの」と妄信しているかの川合善明氏は「おれ様を訴えてただで済むと思うな」とばかりに市民を恫喝し、挙句に住民訴訟原告団から、4名だけを選出して名誉毀損で訴えたのだから、この時点で弁護士資格どころか市長の資格も疑われる暴走ぶりだったのである。
さて本紙社主であった松本が、埼玉弁護士会に対して川合善明氏を懲戒請求したのは今から5年も前の、平成31年(2019年)4月10日のことである。
当たり前のことだが、不正市道認定で川越市を訴えた原告住民団には代理人弁護士がついていた。いうまでもなく原告市民の全員、ひとりひとりが弁護士への委任状に署名・押印しての正式な代理人だ。弁護士でなくても、本人訴訟(弁護士に委任せずに裁判をやること)ではない裁判では、原告・被告の双方が弁護士抜きで直接やりとりすることはあり得ないと知っている。
ところが川合善明氏は、原告市民らに弁護士がついていることを知っていながら、原告弁護士を無視して、原告市民を畏怖させるアンケート仕様の手紙を送り付け、市民女性A氏に対しては直接電話して「私を訴えたんですね?」などと言い放ったのである。くり返しになるがA氏は住民訴訟の原告のひとりに過ぎず、「川合善明」を訴えた事実はない。それを「私を訴えたんですね?」と恫喝する川合市長は、自分個人と自治体首長の区別もついていない、おかしな市長としか言いようがあるまい。
そして、「川合善明弁護士」のこれら異常な行動に対して、本紙社主・松本が行った懲戒請求は、およそ5年の時を経た令和5年(2023年)12月15日、川合弁護士への懲戒処分を議決したのである。
「弁護士の懲戒処分決定」は とてつもなく重い
埼玉弁護士会による懲戒処分を受けて、川越市議会は本年2月、川合市長に対して本事案の説明を求める決議を全会一致で議決した。こうして、3月定例議会となる本議会で、川合市長がようやく口を開くこととなったのだ。
しかし、弁護士法に反して懲戒処分を受けた事実についての説明だといいながら、川合市長の答弁たるや、市民に対する一切の謝罪の言葉もなく、それどころか「大したことではない」かのように開き直る始末であった。その「トンデモ答弁」の詳細を報じる前に、そもそも一般市民には耳慣れない、弁護士の「懲戒処分」とはどのようなものなのか?について触れておこう。日本弁護士連合会のウェブサイトから説明を引用する。
◇ ◇ ◇
― 懲戒制度の概要 ―
弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」といいます。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受けます(弁護士法56条)。
懲戒は、基本的にその弁護士等の所属弁護士会が、懲戒委員会の議決に基づいて行います。弁護士に対する懲戒の種類は、次の4つです(同法57条1項)。
1. 戒告 (弁護士に反省を求め、戒める処分です)
2. 2年以内の業務停止 (弁護士業務を行うことを禁止する処分です)
3. 退会命令 (弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動はできなくなりますが、弁護士となる資格は失いません)
4. 除名 (弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格も失います)
◇ ◇ ◇
処分が軽微な順に1~4となっている懲戒処分だが、これは1の「戒告」自体が軽い処分だという意味ではない。「戒告」は、最も重い処分である「除名」に比して程度が軽いというだけで、弁護士=法を弁論する国家資格者として「品位を失うべき非行」に及んだ事実に変わりがなく、懲戒処分はすべてが重い処分なのである。
だが川合市長は、懲戒処分についての説明を求めるという議会の決議については「重く受け止める」などとしながら、同じ文脈のなかで「私の考えと違う部分があるという点では、若干考えているところも無きにしも非ず、そういう状況でございます。」と矛盾した答弁をしている。毎度の「川合式すり替え弁論術」で誤魔化しているが、要するに、議会の決議としても、懲戒処分を受けた事実も「重く受け止める」が、同時に埼玉弁護士会による懲戒処分決定には不服があるといっているのだ。
「重く受け止めている」という言葉は、いまそこで述べられている事案に対して真摯に猛省、自戒する者がいうべきことだ。議会の議決は重いが弁護士会の懲戒処分には「違う部分がある」などと公言する川合善明氏は、事態を重く受け止めているどころか、懲戒処分に納得していないことを認めているのだから、やはり「おれ様がルールの、おれ様市長」の面目躍如といったところだろう。
弁護士も公人に同質
ここで本紙の私見を述べてみる。弁護士になる人間は、まず司法試験に合格した後、1年間の司法修習を受けなければならない(川合市長が司法修習生だった時代は2年間だ)。この司法修習は、裁判官、検察官と並んで「法曹三者」と呼ばれる職業に就くために、必ず経なければならないもので、司法試験に合格しても司法修習を受けなければ法曹人として就労できない。しかし意外と知られていないことだが、この司法修習には、裁判所から給料(修習給付金)が支給されているのだ。
金額は月に13万5千円で、これに家賃補助費が月3万5千円となっている(川合市長の時代は20万円前後だったようだ)。なぜ自分の将来のために勉強する学生たちに給料が払われるのかといえば、司法修習生は、最高裁判所に帰属する身分だからである。
そのため修習期間中の授業時間も、公務員の勤務時間と同じ朝9時から夕方5時と決まっている。こうしたことからいえば、司法修習を経た法曹三者のなかで、唯一の「私人」となる弁護士も、国税で勉強させてもらった立場であり、公人でなくとも道義的に公人の義務を果たすべき職業であるとも言える。
だからこそ弁護士法には、公人に同質の厳しい懲戒制度が定められている。
川合善明氏のように、懲戒処分を受けながら、公人たる市長としても「私の考えと違う」などと、埼玉弁護士会の議決に反発心さえ覗かせる議会答弁をやってのける「弁護士市長」は、二重三重に「品位を失うべき非行」に及んでいるというべきだろう。
川合市長が「説明」に立った真意
それでは本議会に提出された「埼玉弁護士会からの戒告処分に対する川合善明市長の説明を求める決議」を受けての川合善明市長の答弁を具体的に検証してみよう。2月16日の川越市議会。議長の次の言葉から、川合市長の「説明」の幕は開けられた。
山木綾子議長
市長より2月13日に決議されました「埼玉弁護士会からの戒告処分に対する川合善明市長の説明を求める決議」について報告したい旨の申し出がありましたのでこれを許します。
まず、川合市長が自ら進んで「説明」を買って出たことに注目したい。川合市長は、前述の住民訴訟原告や市民女性A氏、その弁護士2名、A氏支援者で元愛媛県警のジャーナリスト仙波敏郎氏、同氏の請願紹介議員となった小林薫議員ら、なんと計8名に対して、見境のないというべきスラップ訴訟を5年間に次々と提訴しながら、議会でこれら一連の裁判について質問されても「裁判は個人的なこと」として、まともに答弁した試しがない。ところが本議会では、これまで答弁に応じなかった「川合裁判」に端を発する懲戒処分について、態度を一変させ「説明します」というのだ。
川合善明市長
おはようございます。最初に、この度の決議を重く受け止めますと共に議員の皆様にご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。また市議会の貴重なお時間を頂き、説明の機会を頂きましたことに感謝を申し上げます。
川合市長は、この冒頭の一言目から馬脚を現したといえる。
こうした「市長の不祥事」または「市長の醜聞」について、当の市長がまずもって謝罪すべき相手は「市民」である。ところが川合市長は「議員の皆様」にだけ「お詫び申し上げ」ながら、弁護士として「品位を失うべき非行」に及んだことを詫びるべき市民女性A氏や、住民訴訟原告ら市民に対しては、ただの一言も謝罪をしていない。
この後、川合市長は、本件懲戒処分に至った事情を、長々と演説で語ったものの、その内容は議会が求めた「説明」ではなかった。要約すれば、川合市長は弁護士としての懲戒処分を受けた背景事情を「説明」しながら、前述の住民訴訟は「G新聞社(本紙)」「S前埼玉県議」や市民女性A氏らによる、川合市長を個人的に攻撃し失脚させる目的の政治的工作だったと考えた(だから相手の弁護士を無視した行動は正当だった)と主張するかのような、極めて自己中心的な答弁に終始した。
本議会で、議会の議決に応じて「説明」に立った川合市長の真意は、この事実経緯の説明に擬した「自己正当化」にあると思われる。そうでなければ懲戒処分についても、いつものように「弁護士としてのことですから議会で答弁する必要はない」と言えば済むことだからだ。事実、川合市長の説明は、肝心の懲戒処分の説明よりも「本件住民訴訟はG新聞が主導した事件であると私は考えた」などの、懲戒処分とは直接関係がない、自分の妄想の正当化に時間を多く割いており、議員も傍聴人も取材した本紙にしても、内容がほとんど分からない答弁となったのである。
本議会も、川合市長と議員のいつもの猿芝居?
市民無視の「しゃんしゃん議会」
結果として、川合市長は長い時間、意味不明な言い回しで、議会を煙に巻いてみせたといえるだろう。つまり「弁護士として懲戒処分を受けたといっても、いつもの川合市長と行政調査新聞との確執なんだろ?市政の大局には関係ない」などというような、議員らに対する印象操作を成功させたのである。仮に、現在の川合善明市長の市民を市民とも思わない病的な自己中心的態度や、最高裁での敗訴の内容、弁護士としても懲戒処分を受けた人間性をして「川越市政に影響がない」などと本気で信じている議員がいるなら、それは議員の義務を放り出した名ばかりの議員給与ドロボウといって過言ではあるまい。本紙の予測だが、川越市議会は「川合市長は説明責任を果たした」として、市長辞職勧告決議案が緊急発動されることもないまま、本議会も事実上の「しゃんしゃん議会」で閉会することになるだろう。
実際の議会の様子は、本稿末尾に貼った議会録画中継のリンクからご覧頂きたいが、質問に立った議員らは、「聞いておしまい」の表層だけに終始した感は否めない。ただし、ひとりの川越市議会議員だけは、川合善明市長追及の手を緩めることはなかった。川越市議会最長老議員にして、「川合善明市長の生みの親」でもある小林薫議員である。たとえば「市民に謝罪する必要はない」と議会で公言する川合市長に対して「謝るべきだろう」と糾弾する小林議員の声は、本件一連の「川合市長裁判劇」を知る市民の怒りを代弁した迫力に満ちていた。
小林薫議員
(前略)だってあなたは市民から選ばれてそこに座っているんでしょ、市長という立場に。あなたを信用して投票した人がいるんじゃない。そうでしょう。裏切ったことになるじゃない、そしたら。それともなんですか、戒告処分というのは大したことはないと。世の中で毎年120人くらい受けるんだから、私もそのうちの一人ですから大したことはないんだと。
そういうことなんですか、だからあなたを選挙で4回も選んだ人たちは裏切られたわけじゃないんですか。そういうことに対して、ちゃんと説明すべきでしょと申し上げているんですよ。それと市長、じゃあね、封書を送った22名。また電話をかけたNさんという女性に対して、こういう処分が出たわけですから、この方にもきちんと謝罪すべきではないですか。
どうなんですか。それこそ1軒、1軒尋ねて行って謝るのが筋じゃないですか。
どうするんですか。謝罪すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
これに対する川合市長の答弁が、「懲戒処分を重く受けとめている」と本当に自戒する人間の発言とは思えない次の一言である。
川合善明市長
住民訴訟の原告になった人たち、あるいは市民女性A氏に対して謝罪をすべきとは、私は全く考えておりません。以上です。
有権者で納税者である市民らをスラップ訴訟に巻き込んできた川合市長は、もはや自己中心の権化としか言いようがない開き直りを止めないが、その理由については、小林議員が明瞭に喝破している。
小林薫議員
市長ねえ、よくそうやって正々堂々と謝りませんって、謝罪しませんって言えますね、市長。埼玉弁護士会が認めたんでしょ。
そしてもう一つ言えば、最高裁判所の判決が2件出ているわけですよ。あなた全面敗訴しているじゃないですか。それについては、市民女性Aさんという女性に謝罪しないんですかと言ったところ、謝罪しませんとはっきり言いましたよね。(中略)
じゃあ自分が正しいんですか。(懲戒処分を受けたのは)正しくないことがでたからでしょ。
市長は謝罪をするということは嫌いなんですか。まあ、嫌いなんだろうな。嫌いだからそう言うんだろうけどもね。
さて、本議会も残すところあと5日で閉会となる。
議員関係者に取材した限り、小林議員を除けば、誰も川合市長を追及する構えを見せる議員はいないようだ。前回の市議会選挙の結果、1期目の「新人議員」が多く当選した弊害ともいえるだろう。川合善明という人物が4期にわたる「市長」としての資格と品位を持ち合わせているかどうかの判断さえ、新人議員諸氏には出来ないというわけだ。しかし、それは市民に当選させてもらった市議会議員としての不作為にほかならない。我田引水で恐縮ながら、本紙は、川合市長初当選の前、川合氏が一介の弁護士だった頃から「その人物」を知る唯一のメディアでもある。
川越市議会新人議員の諸氏には、川合善明市長の「おれ様政治史」について、本紙をさかのぼって熟読して頂きたいものだ。