最新状況 川越市長・川合善明氏による名誉毀損裁判… | 行政調査新聞

最新状況 川越市長・川合善明氏による名誉毀損裁判…

待ちに待った弁論<法廷での公判>で…
いよいよ反論を展開する「コレクト行政!連絡協議会」

市民団体「コレクト行政!連絡協議会」の刑事告発行動によって、自らの名誉を毀損されたと同会主要メンバーに対して民事訴訟を起こした川越市長・川合善明氏。

本件刑事告発から裁判のこれまでの経緯は「コレクト行政!連絡協議会」のウェブサイトで閲覧できるのでご参照頂きたい。『コレクト行政!連絡協議会HP』

4回連続で空転の公判…さらに2度の進行協議で、
やっと裁判所に認められた原告・川合善明市長の訴状

前回、9月19日の口頭弁論で裁判所から「4回目の出直し」を命じられた原告・川合善明市長。同日公判直後、さいたま地裁川越支部の野口忠彦裁判長は、原告と被告に「進行協議」を提案した。
進行協議とは、傍聴人を前にした弁論(法廷での公判)ではなく非公開の会議室で、裁判所・原告・被告間で裁判の進め方について率直な意見交換をする場である。本件の場合、原告・川合市長が訴えた主張が、そもそも裁判で審理が受けられる内容の主張になっていないとして原告・川合市長は「連続4回」も裁判長から訴えの書き直しを命じられ、その結果、進行協議で原告・川合市長の主張を整理するために協議となったものだ。

1回目の進行協議で、原告は次回の進行協議までに準備書面(5度目)を提出することとなり、その次回が10月20日であった。
同日午前11時、さいたま地裁川越支部別館の一室で、原告・川合市長代理人の佐久間豊弁護士と原告復代理人(復代理人は依頼人が委任した弁護士ではなく、原告代理人が選ぶ代理人を意味する民法上の用語。副ではない。)・坂本慎二弁護士、被告側は「コレクト行政!連絡協議会」代理人・清水勉弁護士と被告のひとりである映画監督の高橋玄氏が出席し、野口裁判長の指揮のもとで2度目の進行協議が行われた。

裁判長は、一部未整理に思われる点もあるとしながら、形式的には今回の原告準備書面に対して、被告が反論するよう初めて指示。清水弁護士から、「原告はすべてを事実関係の問題として書いているが、被告の意見の部分もあることは明らか。それを区別していないのは問題ではないか」と言うと、野口裁判長は「この辺りの考えの違いは、名誉毀損の裁判ではよくあることなので、被告の考えを書いてくれればいい」ということだった。
事実の問題となると、被告がその事実が真実であると証明する責任を負うが、意見に過ぎない場合は、意見の前提事実が真実であれば、川合市長に厳しい意見を述べていても、原則として名誉毀損にならない。それに対して野口裁判長は、被告が考えるように書けばいいとのことだった。

さらに野口裁判長から被告側に対して、真実性だけでなく相当性についても主張するようにという指摘があった。これは普通の裁判では、それぞれ別のことを書くので、準備書面を2回に分けて提出することになっているのを、この裁判では、ここに至るまでがあまりにも原告・川合市長側の時間が掛かった為に、被告側が早めに書面を出すことで裁判を早く進めようという意図だ。
被告側はこれに協力することにした。原告・川合市長は実に「5回に渡って書き直し」を命じられた準備書面で、ようやく審理の入口に立ったことになる。

それでも続く、川合市長の「綱渡り」

この日、10月20日の第2回進行協議の席で「次回反論」の裁判所判断を得た清水弁護士は、すかさず「次回から弁論(法廷での公判)に戻して頂けますか」と要望。だが、野口裁判長は「次回までは進行協議でお願いしたい」と回答した。

大きな理由は、今回やっと辛うじて法廷に通用する訴えを提出できた原告・川合市長だが、対する被告代理人・清水弁護士の反論展開によって争点を明らかにし、立証対象を絞り込むことを、裁判所・原告・被告間で確認するためだ。
争点を絞り込まないと、今後、さらに無駄な時間を費やすことになりかねない。
次回も進行協議として、公開法廷での弁論を次々回と裁判所が指示したもう一点の意外な理由が、さいたま地方裁判所川越支部の法廷スケジュールである。

本件裁判は、同裁判所で最も広い1号法廷で毎回開廷されている。特に2回目以降からは公判が回を重ねるごとに傍聴席は市民たちで満席となっていった。
裁判所の意向も「これだけ傍聴人がおられる裁判ですから極力、弁論(法廷での公判)でいきたいと思います」と公判のなかで述べていたほどだ。ところが、合議部(複数の裁判官による裁判を担当する部署)が1号法廷を使えるのは「毎週木曜日だけ」という所内の運営になっているため、原告・被告の代理人弁護士の都合を調整していると、次回期日がなかなか入れられない。
であれば、進行協議でできそうなことは会議室で進めて、その後の内容のある進行は法廷で行うことにするのが適当だろうということだ。というわけで、次回までは傍聴不可の進行協議で準備を進め、弁論に戻すのは次々回(来年1月目途)となったのである。
次回の進行協議は12月8日(金)午前11時30分、さいたま地裁川越支部別館で行われるが、一般傍聴人は入れない。ただ進行協議終了後すぐに、清水弁護士が進行協議の内容を説明する予定である。

いよいよ反撃開始か?

進行協議は一般傍聴が出来ないにもかかわらず、この日も(10月20日)裁判所には、清水弁護士のレクチャーを聞こうと市民数十名が集まっていた。普通、このようなことはあり得ない。公判は勿論、進行協議の内容まで、そのたびごとに詳細に解説をしてくれる弁護士もいないし、傍聴出来ないことを知りつつ裁判所ロビーで進行協議の終了を待つ市民が集まることは、東京の裁判所でさえ見ない光景である。
清水勉弁護士は「次回からやっと反論が始められます。待たされている間に、反論準備は大体、出来上がっています。裁判所の都合もあって、皆さんが公判で再び傍聴出来るのは、おそらく年明け1月になるでしょう。楽しみにお待ち下さい」と語った。
ようやく反撃開始となるわけだが、清水弁護士は続けてこう話した。「名誉毀損裁判のほうは、こちらは訴えられたほうなので、どこまでも防御なんですね。これからは住民の側から市に問題提起する準備をしています。」
これは「川越市民の決起」を意味する。

実は、この6日前となる10月14日のこと。川越市内某所で、市民有志数十名による集会が開かれた。同集会は、名誉毀損裁判の「コレクト行政!連絡協議会」と直接の関りがない全く別の問題について川越市民が決起し、この問題追及のための勉強会の講師として清水・出口両弁護士が出席した。
この日は、地元の一大イベントでもある「川越まつり」であったのだが、清水・出口両弁護士の講義を聞きに市民が集まっていた。名誉毀損裁判で被告となった「コレクト行政!連絡協議会」のコネクションが、清水勉弁護士の法律指導のもとで次第に本格的な市民活動として形成されていったのである。

この日の集会には、狭山市民オンブズマンの活動家として著名な元・狭山市議会議員の田中寿夫氏も参加、市民たちも川越市行政の不正に斬り込む意気を盛り上げたのである。
ついに動き始めた川越市民たち自身による自主的な市民活動は、もはや川合善明市長のまごついている名誉毀損裁判では止めることなど出来ない。
皮肉なことに川合市長は「コレクト行政!連絡協議会」を相手に名誉毀損訴訟を起こしたことで、逆に川越市民を刺激し覚醒させてしまったとも言えるだろう。年内には、川越市民集会の具体的な行動が開始される予定とのことだ。そこからが、腐敗行政への本当の反撃の始まりとなる。