川合善明市長 VS コレクト行政!連絡協議会 裁判傍聴記 | 行政調査新聞

川合善明市長 VS コレクト行政!連絡協議会 裁判傍聴記

第3回口頭弁論も、前2回と同じく原告・川合市長の支離滅裂!
裁判長が「これじゃあ土俵に上れませんよ?」と原告に3度目の注意

7月27日、午後4時過ぎ。さいたま地方裁判所・川越支部の玄関ロビーには普段そこでは見られない光景があった。数十名の川越市民が4時30分から開廷される1号法廷での裁判を待っていたのである。その裁判こそ、川合善明市長が市民団体を名誉毀損で訴えた川合市長VS被告・コレクト行政!連絡協議会の裁判(平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件)の第3回口頭弁論である。
1号法廷は同裁判所で最も広い法廷だが、開廷5分前に傍聴席は1、2席を除いて満席となり、書記官が「もうこれ以上お入りになれません」と、なぜだか笑顔で呼びかけるという異様な盛り上がりを見せていた。第2回口頭弁論に続いて、本紙も満席の傍聴席から裁判を見守った。
前回同様、法廷には原告(川合市長側)席に原告代理人・佐久間豊弁護士ほか1名、被告席にはコレクト行政!連絡協議会の代理人・清水勉弁護士、出口かおり弁護士と被告当事者である土屋トカチ氏と高橋玄氏が座る。しかし、同様だったのは出廷者の顔ぶれだけではなかった。
第3回目となるこの日の口頭弁論も、なんと前回と同じく、野口忠彦裁判長から原告への「物言い」で幕を開けたのだ。

裁判長が開口一番、原告に…「確認なんですけどね」

裁判官席に着席するやいなや、野口裁判長は原告・川合市長側に「ひとつ確認なんですけどね。原告の今回の準備書面での主張は、前回の主張を撤回しないまま追加ということになるんですかね?」と問いかけた。どういうことか。原告側が提出した準備書面は、当方で開示することが出来ないので要点を説明したい。
今回、川合市長は前2回まで口頭弁論では主張していなかった、新たな主張を展開していたのだ。それは、コレクト行政!連絡協議会が行った、そもそもの告発状に記載されていた「カナイ消防機材本社の都市計画法違反」についてである。
これまでの原告の主張では、入札談合疑惑についての名誉毀損だけであってカナイ消防機材本社の都市計画法違反については、まるで自ら忌避するかのように主張に含んでいなかったのだ。告発状に記載された問題であるにも関わらず、である。長期に渡り、川合市長=カナイ問題を取材、追及して来た本紙は、原告がカナイ本社の都市計画法違反のくだりを名誉毀損としなかった理由を裏読みしていた。
つまり、立証が困難な官製談合疑惑とは違って、カナイ消防機材の本社が都市計画法に反して市街化調整区域に、現に建って営業中である事実は簡単に証明されてしまう。たとえ、都市計画法違反の公訴時効が成立していようが、現実に違反建築物を本社として堂々と営業を継続しているばかりか、なんらの行政処分も下されないとなれば、カナイ消防機材の会長・金井眞一郎氏が、川合善明市長の高階地区後援会長であることからも、この件を名誉毀損訴訟に盛り込めば、自分から疑惑の藪蛇を突くようなものだと、川合市長が考えても不思議はない。だからこそ被告(コレクト行政!連絡協議会)が都市計画法違反を告発した部分については名誉毀損を主張してこなかったのだろう。誰もがそう思う。

ところが、第3回目の口頭弁論に向けた準備書面において原告・川合市長はなんと唐突に「カナイ本社の都市計画法違反についての告発も名誉毀損」であると主張してきたのだ。
前回の本紙記事でのコレクト行政!連絡協議会メンバー特別対談で「なぜ都市計画法違反については名誉毀損を主張しないのか」というコメントを紹介したが、まさかそれを目にした川合市長が「じゃあ、こっちの件も名誉毀損だと訴えてやる!」と児戯にも等しい過剰反応を示したのか、原告の主張は迷走を極めている。
原告が今回提出した準備書面は、前2回までの主張と同じく「告発状に記載された官製談合疑惑」を名誉毀損としたまま、前回まではなかった「カナイ消防機材による都市計画法違反」という告発言動も名誉毀損として「追加」されたものである。

「告発状全部が名誉毀損ってことになりかねませんよ?」-裁判長と傍聴席の失笑

つまり、原告は、被告・コレクト行政!連絡協議会の刑事告発内容のすべてを名誉毀損だと主張したのであり、およそ法律家が書いた法律構成とは思えない支離滅裂なのである。
コレクト行政!連絡協議会による告発状のインターネット公開と、その内容を公表した記者会見は「告発状に記載されたことだけ」を公益に資する言論活動という観点から行われたことである。
刑事告発は主権者である国民の権利であり、通常、告発行動それ自体に違法性はない。被告(清水勉弁護士・出口かおり弁護士)は、官製談合の疑いがあるから捜査してくれという地検への告発状を公開したものであって名誉毀損にはならないと主張してきた。
つまり、原告=川合市長がその告発状に対して名誉毀損を主張するには、告発状の「どの部分」「どういった理由」で名誉毀損となるのか、すなわち裁判で争う審理対象を明確にしなければ裁判にならないのである。ところが、川合市長は「告発状全部が名誉毀損!」と言うに等しいデタラメな主張を、この第3回目の口頭弁論で唐突に展開したのである。
これには野口裁判長も「この調子だと告発状全部が名誉毀損ってことになりかねませんよ?」と失笑。これは「もし告発状全部が名誉毀損などと主張するなら裁判にならない」との意味である。告発状全部が名誉毀損だなどという主張は、法律構成上、あり得ないからである。
だからこそ裁判長も、被告代理人・清水弁護士も再三に渡って「主張を整理するように」と原告に要望してきたのだ。それが3回目となる口頭弁論では、整理どころか裁判所に命じられた「宿題」さえ放置したまま、さらに支離滅裂な新主張を加えてきたのだから被告側も傍聴席も裁判官も呆れ返ったのである。「これじゃあ土俵に上れないですよ?」と原告に注意した裁判長の一言に、傍聴席からも失笑が起きる始末であった。川合市長は本当に弁護士なのか?法律構成以前の問題として、裁判長からの日本語による指摘も理解できていないのである。

被告・コレクト行政!連絡協議会 告発(告訴)状を「非常にロジカルな文章」と
裁判長から再度評価される

今回の裁判でも注目すべき点は、コレクト行政!連絡協議会の告発状について、裁判官が高い評価を認めていることだろう。勿論、裁判官が予断を以て被告・コレクト行政!連絡協議会を味方しているというような稚拙なことではない。
前回法廷でも、野口裁判長はコレクト行政!連絡協議会の告発状を「見事な三段論法で構成している」と表現したように、被告は一貫して論理的に川合市長の疑惑に言及しているのだ。法曹のいわば頂点でもある裁判官が「被告の主張をここまで褒めるなど珍しい」とは、前回口頭弁論での被告代理人・清水弁護士の感想である。
そしてこの日の法廷で野口裁判長は、コレクト行政!連絡協議会の告発状を「ロジカル」「非常にロジカル」と4回も5回も「ロジカル=論理的」であると評価したうえで、原告に対して「この論理的な告発を分解して名誉毀損だと訴えるからには、この理論構成を論破する法律構成を立てなければ無理ですよ」と言っているも同然の注意を促したのである。
法廷は川合市長が市長の椅子に座っている川越市役所に隣接した、さいたま地裁・川越支部だが、原告である市長代理人・佐久間弁護士らのほうが完全なるアウェー状態。東京から来たコレクト行政!連絡協議会側と傍聴席、そして裁判官らに取り囲まれた佐久間弁護士らが落ち着きなく目を泳がせていた光景が強く印象に残った。
こうして第3回口頭弁論は、次回までに改めて主張を整理するようにと原告が裁判長に言われ、次回期日を9月19日午前10時30分として閉廷した。

清水勉弁護士、裁判所エントランスで異例の熱血レクチャー!

閉廷後、コレクト行政!連絡協議会代理人・清水勉弁護士が満席となっていた傍聴人を前に、裁判所エントランスでこの日の裁判のレクチャーを行った。
清水勉弁護士については、インターネットでその名を検索すれば法曹界の超大物弁護士であることが誰にでも判るだろう。人権派と言われるが、依頼人の情理に寄り添わないことをポリシーとする、真の正義の法律家である。だから本件のような行政腐敗に対しては、一般的な弁護士報酬の規定を超えた熱血で傍聴人にも事件の内容を判りやすく解説するという労を厭わない。
特に裁判所での裁判官と弁護士のやり取りは、傍聴人が聞き取りやすいようになどと考えて発言されていない。法廷内の裁判官や原告・被告席に備えられたマイクは裁判所の記録用のもので、コンサートのようにその声をスピーカーに通して傍聴人が聞きやすくするためのものではない(このことは、日本の司法は結局、主権者には開かれていないという別の問題提起を内包している)。
このことを知っている清水弁護士は、この日の法廷でも裁判長の発言と同じことを聞き取りやすい大きな声で原告に要望し、さらに閉廷後には、聞き取り辛かった法廷でのやり取りをこの日詰めかけた約40名の傍聴人を前に解説したのである。「依頼人には寄り添わない」清水弁護士は、しかし「主権者である庶民には寄り添う」のである。
傍聴席が満席になること自体、さいたま地裁・川越支部で初めてのことかもしれないうえに、玄関で弁護士が閉廷後に傍聴人にレクチャーするなど、前代未聞の光景だろう。
この日、コレクト行政!連絡協議会メンバーに話を聞くと「川合市長の数々の問題がマスコミに出るのは時間の問題かもしれません」という。果たして、そのXデイはいつなのか?
心ある川越市民は、次回9月19日午前10時30分の第4回口頭弁論を傍聴して頂きたい。この裁判を目撃すれば、川合市政の崩壊状態をまさに「百聞は一見に如かず」で実感できるはずだ。

※ コレクト行政!連絡協議会の公式ウェブサイトでは、清水勉弁護士による被告側準備書面も公開予定だという。

コレクト行政!連絡協議会 httpssssss://www.correct-gyosei.com/