川合善明市長VSコレクト行政!連絡協議会 裁判傍聴記 | 行政調査新聞

川合善明市長VSコレクト行政!連絡協議会 裁判傍聴記

前代未聞の裁判、第2回口頭弁論が予想外の幕開け!
原告側(川合市長)が裁判長から「出直し」を命じられる!?

先日5月25日、さいたま地方裁判所・川越支部で午前10時半から開廷となった原告・川合善明川越市長VS被告・コレクト行政!連絡協議会の裁判(平成29年(ワ)第29号 損害賠償請求事件)を、他十数名の傍聴人と並んで本紙も傍聴した。
コレクト行政!のウェブサイトでも同法廷の模様が報告されているので、こちらも併せて一読されることをお薦めする。

コレクト行政!連絡協議会 公式ウェブサイト
httpssssss://www.correct-gyosei.com/

本件裁判は、さいたま地裁川越支部1号法廷(野口忠彦裁判長)で開廷。合議審(3名以上の合議体による審理)の裁判なので、法廷の裁判官席には野口裁判長のほか2名の左右陪席裁判官が座っている。
原告席には、川合善明氏の代理人・佐久間豊弁護士ほか1名、被告席にはコレクト行政!連絡協議会の代理人・清水勉弁護士、出口かおり弁護士と被告当事者である土屋トカチ氏と高橋玄氏が座る。傍聴席には、川合市長の宿敵・小林薫市議、コレクト行政!川越市民代表で当初の告発人でありながら被告に指定されなかった戸松廣治氏の顔も見える。
奇しくも開廷中に野口裁判長が「これほど多くの傍聴人もおられますから、当面は弁論を続けたほうがいいでしょう」と言ったほどで、裁判所としてもこの裁判を重視している様子が窺える。

さて、前回本紙記事でも触れた通り、被告・コレクト行政!側は、スケジュール上の理由で第1回公判に出廷できなかったため、擬制陳述で答弁した。

※ 擬制陳述 
答弁書の擬制陳述 被告が最初にすべき口頭弁論期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は被告が提出した答弁書に記載した事項を陳述したものとみなして、出頭した原告に弁論をさせることができる(民訴法158条)。 簡易裁判所においては、続行期日でも擬制陳述とすることができる(民訴法277条)。

ところが、第2回口頭弁論となるこの日の裁判は、予想外の場面から幕を開けた。
野口裁判長は開口一番、原告・川合善明側に対して「訴状の争点を整理して、どこが名誉毀損だというのか改めて弁論を提出して貰わないと、被告も答弁のしようがない」と、原告の主張それ自体に「出直し」を命じるに等しい指示をしたのである。簡単にいえば、裁判所は川合市長に対して、法廷で通用するちゃんとした書面にして出し直しなさいと一蹴したのも同然の珍事なのだ。
つまり、原告・川合善明市長は、裁判が始まる以前のことを裁判所から指導されたのである。これでは原告は、まるで司法試験受験前の学生状態ではないか。

「前にも言ったでしょ?」―裁判長に2度も注意された原告主張の不備!!

しかし、驚くべきことは、そればかりではなかった。
裁判長は本件裁判の端緒となったコレクト行政!の告発状を指して「被告の告発状は三段論法で理論的に書かれています」と高く評価し「原告も、被告の告発状を踏まえて理論的に主張を整理して出すように」と告げた後に、原告にこう言った「前回にも言ったでしょ?」。「前回」とは4月の初公判のことである。
なんと原告・川合市長は、初公判で裁判長から「理論的に訴状の主張を整理して出し直せ」と注意されていたのだ。清水弁護士を含めて被告側は前回法廷に出廷していないので、原告・川合市長が初公判から裁判長に注意されていたとは知る由もなかった。
その挙句に2回目となるこの日の口頭弁論でも同じ指摘をされたのである。
被告側・清水勉弁護士はコレクト行政!連絡協議会 公式ウェブサイトに次のようなコメントを寄せている。「裁判所がここまではっきり原告を批判し、被告の告発状の出来がいいと褒めるのは非常に珍しい」

本紙の取材に応じたコレクト行政!連絡協議会市民代表の戸松氏も「失笑を通り越して呆れました。前回、裁判長に言われたわけですよね?要は、弁論に入れるまともな書面を出せと。確か、川合市長は東京弁護士会の副会長までやったんじゃなかったですか?そのうえ、多分お仲間の弁護士だと思いますけど2名も代理人がいて、法律家が3人揃っている。それで初公判で注意されて、2回目も開廷の冒頭で“前に直せって言ったでしょ”と裁判長に叱られるってどういうことなんですかね?官製談合の疑惑以前の問題として、これが川越市の長なのかと思うと市民として恥ずかしい限りですよ」。
裁判を注目し傍聴に来たという一般市民も「開いた口がふさがらない。プロの弁護士が自分から訴えておいて、それが裁判に通用しないシロモノだというんですから。川合市長後援会の人たちは、この現実を直視したほうがいいんじゃないのか」と話す。

裁判所に現れた川合善明市長 ― 打ち合わせの挙句にこの醜態?

ところで、この裁判が始まる約20分前のこと。原告である川合市長は裁判所玄関ロビーに姿を見せていた。代理人弁護士との打ち合わせだったのか、様子見なのかは不明だが、開廷前に引き上げていった。
しかし、開廷冒頭から(それも2度も)裁判長に「これでは裁判にならない」と指摘されるなどは「市長」として、また「弁護士」としてこれ以上ないというほどの醜態では、川合氏の代理人を受任した弁護士が気の毒にさえ思えてくる。
コレクト行政!連絡協議会のウェブサイト掲載の公判報告にもあるが、ここで、裁判の進め方について説明をしておきたい。
刑事事件と違って、民事訴訟の提訴は所定の形式的要素を満たしていれば、訴えは裁判所に受理される。ただし、その訴え(本件の場合、川合市長による名誉毀損だという訴状)が、裁判で審理するに足る内容かどうかは担当裁判官が決定した後に判断される。だから、裁判長に門前払い同然にされた川合市長の「おかしな内容の訴状」も受け付けられる。
法廷で印象的だった光景は、野口裁判長が被告側・清水弁護士に対して「これじゃあ被告も弁論のしようがないでしょう?」と失笑混じりの声をかけていたことだ。プロの判事と被告弁護士に比して、原告・川合市長側だけがまるで素人のように置き去りにされたかの状態で、原告代理人弁護士も裁判長の指摘を、俯き黙って聞くしかなかった始末だったのである。
結果、原告が改めて提出書面を書き直すために「1カ月半」の期間を要請し裁判所もこれを認め、次回公判期日は7月27日午後4時半と決定して閉廷した。

不可解な提訴に残る疑問

同日、午後に県庁内のさいたま県政記者クラブに於いて記者会見が行われた。記者クラブ加盟のマスコミしか参加できない会見なので本紙は会見後、コレクト行政!メンバーに特別対談の形で取材に応じて頂いた。
以下はその一問一答である。

本紙:
今日の裁判を振り返ってコメントを…。
コレクト行政!高橋氏:
清水弁護士が言ってましたが、まともに訴える気があるのか?と。名誉毀損だというなら、そもそも私たちが告発記者会見を開いて告発状をインターネットで開示した昨年10月の段階で手を打つのが普通だというわけです。時間が経つほど拡散しちゃうわけですから。今更気がつきましたけど、確かにそうだなと。川合市長は名誉毀損と言いながら、3か月も放置した後に提訴している。この間、川合氏から私たちの元に削除要請の連絡も内容証明郵便もない。だから、当初から選挙対策のパフォーマンスであって、準備書面もいい加減のままだったのではないかと思う。
コレクト行政!戸松氏: 
われわれが告発した、川合氏の高階地区後援会長・金井氏の会社(カナイ消防機材)による都市計画法違反について、一切、名誉毀損としていないのも不可解ですよ。同じ告発状に記載されている内容なのにね。それに、どういうわけだか私も告発人なのに訴えられていない。
本紙: 
訴えられたかったんですか?(笑)
コレクト行政!土屋氏: 
戸松さんは他のメンバーと違って品格があるからでしょうと清水弁護士が冗談を言ってましたけど(笑)。都市計画法違反については、実は後から公訴時効になっていることが判った。でもそれは刑事訴訟法のことであって、行政としては違法状態が継続している以上は除去命令などをやらなければおかしい。それをやらないのは所管が市長に忖度(そんたく)してのことではないかと思います。
本紙: 
まさに、いま話題の「忖度」ですね。川合市長がカナイの件を名誉毀損で訴えていない理由はなんでしょう。
コレクト行政!高橋氏: 
これも清水弁護士の見立てですけど、カナイを盛り込んでしまうと、たとえばこちらは金井氏を証人尋問で法廷に呼ぶことも可能になる。それを避けたい原告の意図があったと考えられる。
コレクト行政!土屋氏: 
それに名誉毀損で社会的地位が下がったと主張していますが、川合氏は先の選挙で初当選の時よりも高い得票率だったことが判っています。
本紙: 
名誉毀損どころか、逆に人気が上がったわけですね?
コレクト行政!高橋氏: 
そうですね。名誉毀損どころか、川合市長からは感謝状を貰ってもいいくらいじゃないかと(笑)
コレクト行政!土屋氏: 
そんなの貰ったら、利益供与ですよ!(笑) 
本紙: 
被告・コレクト行政!は隙だらけの原告・川合市長を笑い飛ばしましたが、勿論、名誉毀損裁判での勝訴が目的ではないでしょう。
コレクト行政!土屋氏: 
この裁判が重要なのは、もしも本件名誉毀損が認められなければ自ずと川合市政の官製談合疑惑がより強くなるという点です。裁判長が私たちの告発論旨を高く評価した事実は、その内容に理論的な整合性を見てくれたからではないかと思います。
コレクト行政!高橋氏: 
記者会見では、刑事告発のその後の進捗について質問もありましたが、これは私たちと捜査機関との申し合わせで口外できません。私たちは今後も粛々と市民の立場で出来る限りの川合市政追及の言論活動を展開していきます。

本紙は川越市民、そして市議会諸氏に申し上げたい。
この日の法廷で原告が置かれた立場こそが川合市政の元凶を雄弁に物語っているのだ。川合市長はいったい誰のために35万人都市の市政の頂点に座しているのか?主権者たる市民からの自らの疑惑の追及に対して、選挙を前に裁判所を利用するかの提訴(それも法廷から2度も出直しを命じられるお粗末極まりない訴え)を平然と行う軽挙妄動の市長を、市民も市議会もこのまま見過ごしてはならない。
次回公判には、さらに多くの市民の皆さんに裁判を傍聴して頂きたい。川合善明市長の真の姿を自分の眼で見極める絶好の機会となるはずだ。
なお、コレクト行政!連絡協議会の許諾を得て、被告・コレクト行政!が裁判所に提出した準備書面と記者会見で配布された清水弁護士作成にレジュメを本件参考資料として公開しておく。

準備書面

記者会見用レジュメ