川合善明市長3期目の春に秋の気配 | 行政調査新聞

川合善明市長3期目の春に秋の気配

送別会に呼ばれなかった川合善明市長

先月3月30日、川越市議会と川越市役所職員との送別会が川越プリンスホテルで行われた。
この送別会は慣例ではなく、以前は各常任委員会ごとに開催されていた。常任委員会によっては送別会をやらないところもあった。舟橋市長時代には公的な送別会はなく、各部署による個人的送別会であったという。
今年の送別会は3月議会の空転などもあり、スケジュール的にも厳しいものがあったため、4常任委員会合同で開催された。送別会の幹事長は議長、幹事は4常任委員会の各委員長であった。
ところが、およそ180人もの参加者が集ったこの送別会に、川合善明市長の姿はなかった。市長が参加しなかったというより呼ばれなかったのである。
市執行部と議会の間が絶えずギクシャクする市政において、本来、執行部を代表する川合市長が双方の調和を計るべきところ、市長にはその誠意も努力も見られない。市長の相変わらずの独断的姿勢が、市議会と庁舎を去る市職員たちから総スカンを食った様相である。
市議らと川合市長との間に大きな亀裂もあり、ことに期数の多い議員による「今回の送別会への市長参加は好ましくない」とする意向も反映された結果、市長への参加要請自体が見送られたのである。
本来、これだけの市政関係者が集まる行事であれば、仮に市長のスケジュールが過密であれ、市政に尽くした職員らの労をねぎらう意味からも、乾杯の音頭を取るためだけの参加くらいは常識である。今回の市長不在の送別会は、いかに川合市長が多数の関係者から敬遠、嫌悪されているかを象徴していると言えるだろう。
在職職員と先輩職員との惜別の場でもある送別会の、人情味あふれるムードが市長の参加によって台無しになることを想定すれば、最初から川合市長を呼ばない方が良いということである。これ程までに市議や職員らに毛嫌いされる首長も珍しいが、それは川合市長の政治家として信頼の欠如と彼の人格的な瑕疵(かし)が川越市政の日常である結果であろうと思うしかない。春だというのに、川合市長の周囲には早くも秋風が吹いている。

小林薫市議の質疑に対する、川合市長恒例の無責任答弁の数々

議会における川合市長の無責任かつ場当たり的な答弁は、ほとんど川越市議会名物と揶揄されるほどだが、平成29年度予算に関する小林薫市議の質疑に対しても、相変わらずのスチャラカ市長ぶりを披露している。

初雁球場について…

川合市長は選挙公約として「初雁公園野球場を移設して、プロ野球も呼べる球場にしたい」と、市長候補者としての記者会見時に語っている。
初雁公園の城址公園化や初雁球場などの今後の方向性について、川合市長はある議員の質疑に対して「さまざまな視点から有識者等の意見を参考に城址公園化の事業を進めていく中で合わせて検討していく」と答弁した。
小林議員は質疑の冒頭で、市長選挙中に配布された自由民主「号外」というチラシを提示し、その裏面に「初雁球場を移転新築します」とある点に言及した。
このチラシは自民党県連が作ったものではなく、自民党本部が発行元になっている。小林市議は質疑の中で「自民党の皆さんは知っているんでしょ!」と語りかけていたが、自民党所属議員は議会終了後に「そんなチラシ始めて見た。みんなそんなチラシのことは知らない」と語っている。
例え自分たちがチラシ作成に関わっていなくとも、市長選挙で川合善明氏を自民党川越市議団としてバックアップする立場にある以上、この一件は自民党川越市議団一同が認知していなければならないはずだ。
しかし誰も知らないということは、選挙中、自民党川越市議団の議員らは川合善明氏には関心がなく、川合善明氏を応援している素振りだけで、実は何もしていなかったも同然となる。結果的に川合氏は当選したものの、内実では川合氏は同志市議団からも、まともに相手にされなかった惨めな市長候補者であったとも言えよう。
噂によれば、このチラシを作ったのは、公明党の県議である福永信之氏と川合よしあき後援会の藤崎榮一副会長であるとのことである。同チラシ作成時、自民党県議の中野英幸氏も参加していたらしいが、中野県議はチラシの作成には消極的だったとの後日談もある。
市長の答弁では、このチラシは自民党が「自分の公約を表現してくれた」とのことであったが、大方の市議は川合市長の弁を信用していないようだ。

さて「初雁球場を移転新築します」との市長公約だが、第4次川越市総合計画にも掲げられていない事業計画は簡単に実行することができない。ましてやプロ野球を誘致する球場を建設するとなると100億円規模の費用が想定され、建設用地確保も容易ではない。川合市長の公約実行は現実的には無理な話である。
本件についての市長の最終的な答弁は「具体的なことは、これから検討していく」との極めて曖昧なもので、公約とは名ばかりの放言であったと言わざるを得ない。事情を知る市民たちは「奴は平然と市民を騙しやがった」と、川合市長を厳しく批難している。

第4次川越市総合計画は平成28年3月に策定されたものである。つまり、それ以前より市職員、市執行部が同事業計画の策定に向けて会議を重ねていたことになる。
市長の初雁球場移転新築の構想が第4次川越市総合計画策定以前よりあったとするならば、当該事業の推進に向けた計画や基本構想が掲げられているはずである。しかし同総合計画には、初雁球場の整備や新築といった文言の記載は見当たらない。
これについては、平成28年第6回定例会(12月12日)に於ける一般質問で川口知子議員が次のように市長に質している。
「川合よしあきレポート2016秋号に野球場の整備改修とあるが、第4次川越市総合計画には野球場の整備改修という文言は載っていない。総合計画のどこにその文言が載っているのか」
これに対して川合市長は「(第4次川越市総合計画の)93ページに「スポーツ施設等の整備・充実」というふうに記載してございます。この中に含まれるものと考えております」と答弁している。市長答弁の「スポーツ施設等の整備・充実」とは、次の通りである。

① 既存のスポーツ施設を利用者がより安全かつ安心して使え、スポーツ振興に資するよう、整備及び改善を図ります。
② スポーツ活動の場の充実のため、新しい体育館の建設を進めます。

ずいぶんと乱暴な答弁である。第4次川越市総合計画の中から、単に川口議員の質疑に当てはまりそうなものを拾い上げた適当な答弁に過ぎない。これも川合市長の十八番「その場しのぎの思いつき答弁」の一例である。
初雁球場移転新築は選挙に向けた市長の、票集めのための偽善的放言に過ぎずない。選挙中に突如として言い出した「プロ野球を呼ぶことのできる球場新設」という選挙公約は、他の候補者より注目を得るためだけの偽善に満ちたパフォーマンスであったということになる。

市民体育館について…

平成24年3月、宮元町の県保健所の跡地(5680㎡)を土地開発公社が約1億7525万円で購入した。このときの上田埼玉県知事と川合市長との間に「2年以内に体育施設の用に供するものとし、かつこの土地を10年間、同用途にするものとする」という覚書がある。
しかし29年度予算では、新設体育館建設事業に掛ける予算は0円となっており、1円も計上されていない。

平成23年7月12日、「第2回 川合市長と語り合うタウンミーティング」に於いて、川合市長は、参加市民より市民体育館建設の進捗状況の説明を求められた。川合市長は「県の保健所の跡地を市が安く買えるということになりまして、そこに市役所の裏にあった市民体育館のかわりのものをつくりたい」と説明している。続いて参加市民から「体育館の駐車場に関する質問」も投げかけられた。当時、川越市はまだ県から土地を購入していない。いわば、市民体育館建設への市民の熱い期待が込められた質問であった。この時、質問に立った市民は、県より土地を購入後、すぐに新しい市民体育館が建設されると思っていただろう。

ところがその後、平成26年第5回定例会 文化教育常任委員会(9月19日)及び平成27年第1回定例会 文化教育常任委員会(3月5日)で、担当課長は「市民体育館の用地取得後、翌年から設計の予定であったが諸般の事情より設計には至っていない」と答弁。
土地取得後、2年以内に体育施設にするという覚書があるのにも関わらず何もしていないとなると、不履行として法的に問題になるのではと委員に指摘を受けている。担当課長は「やむを得ない事情ということで埼玉県知事宛てに川越市長名で予定どおり進んでいないというような承認の書面を提出いたしまして了承をいただいておるところです」と回答している。
文化教育常任委員会では2年に渡って同じことを委員に指摘されている。また、県から保健所跡地を購入した後には、議会で多くの議員から市民体育館建設に関する質疑が行われている。
この状況では、川合市政は県から土地を購入したものの、予算の計上ができないことを理由にするばかりで、事業を進める気などないとしか思われない。では、なぜ保健所跡地を県から購入したのであろうか。

第4次総合計画の平成29年度実施計画によると「新設体育館の地質調査」と書かれているものの予算計上がない。平成29年度事業は何もしないということかと小林議員は質疑する。
市長は「周辺の交通量調査などをやってきたが、今年度は金の掛からない調査をやっていく考え」と答弁。
小林議員が再質疑で「金の掛からない調査などはないのではないか、職員を使っても経費は発生する」と質す。当然の質疑であるが、無責任な川合市長は「今年度地質調査を行う予定はない」と答弁する。
なぜ「今年度は金の掛からない調査をやっていく」などと虚偽の答弁をするのであろう。毎度のことながら、川合市長の発言は市政の長としての確たる信念や責任感もなく具体性もない、浅薄なその場しのぎの思いつきでしかないが、
その無責任発言は常態化しながら各所でエスカレートしていく。「川合市長は、今に取り返しのつかない大失態をさらすだろう」と噂されていることも宜(むべ)なるかなである。

霞ヶ関カンツリー倶楽部について…

霞ヶ関カンツリー倶楽部の正会員を男性限定としている件に関して、川合市長は「男子校があるのと同じレベルの話」とのコメントを新聞取材に寄せている。また「メディアが騒ぎすぎている」「民間のゴルフ場のことなので推移を見守るしかできない」ともコメントしている。そして市長は取材に対して「オリンピックのゴルフ会場が変わることはないと確信している」旨を述べている。まるで他人事のような回答である。
川合市長が言うまでもなく、霞ヶ関カンツリー倶楽部は民営のゴルフ場だが、世界が熱狂する国際的事業でもある4年に1度のオリンピック競技候補地となれば、その立場は公的な性格を帯びて当然だ。
次期オリンピックのゴルフ競技が川越の霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催されるとなれば、川越市を国内外に広くアピールする千載一遇のチャンスである。しかし、先の川合市長のコメントからは、川越市を世界的なスポーツの祭典に導こうとする熱意も、その機会を逸することへの危機感も感じられない。
本件について小林議員は、「男子や女子しか入れない学校があるのと同じではないか」との川合市長のコメントに言及し、その発言の真意と「何を根拠にオリンピックのゴルフ会場が変わることはないと確信しているのか」と質疑。

これに対して市長は、取材へのコメントと同じく「霞ヶ関カンツリークラブは民間のゴルフ場であるため、それぞれの考え方で方針を決めているのは当然である。私立の高校に男子校、女子高とあるようにそれぞれの学校の考え方で決めていると同じ事である」と答弁。また、確信の根拠は「さまざまな情報、事情を考慮した結果、確信している」と述べた。

小林議員は「川越がオリンピックの会場になることは最初で最後のチャンスであると考えている。何としても川越でのゴルフ競技が実現できれば良いと思っている」と壇上で語り、重ねての質疑で、「さまざま」とはどのような人を指しているのか「例えばJOCや森オリンピック大会組織委員会会長または上田知事、小池都知事等と会って意見交換などをしたということなのか」と問い質したが、川合市長は「人を指しているのではなく情報等を指した言葉である。しかしこの件について担当を通じていくつかの話をしているが、自分自身で人に会ったり動いたりしたことはない」と答弁。

小林議員は「市長の答弁からはオリンピックに対する熱意が少しも感じられない」と語る。市長に対して「もしここでオリンピックの誘致ができなかったら、市長責任として市長職を辞してでも責任を取ると言ったらどうですか。市民の皆さんに約束してください」と檀上から問うも、川合市長からは何の回答もないまま小林議員の質疑は終わった。
川合市長は、小林議員の最後の問いに答えることができない。オリンピックに対する川合市長の認識はその程度であるということだ。「市長職を賭けてでも必ず川越でオリンピックを開催し成功に導きたい」と川越市民に宣言してもらいたいところだったが、それを川合市長に望むことは不毛なのだろう。

この平成29年第2回定例会会期中の3月20日、霞ヶ関カンツリー倶楽部は臨時理事会を開き、男性のみの正会員という内部規則を見直し、女性の正会員を認めるよう規則の変更を決めた。川合市長のオリンピックに向けたやる気のない姿勢とは対照的に、霞ヶ関カンツリー倶楽部は前向きな姿勢を見せた。同倶楽部の規則の変更は、いみじくも川合市長の「オリンピックのゴルフ会場が変わることはない」との確信的回答を庇護した結果となったが、川合市長はゴルフ競技が、正式に霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催されることになった場合の対応をいかに推進するつもりなのか。
川合善明市長が今日までの尊大な「おれさま市政」を改めない限り、川越市は世界中に大恥をさらすことになるだろう。