石原莞爾研究(前篇) | 行政調査新聞

石原莞爾研究(前篇)

天才戦略家「石原莞爾将軍」の功罪 (上)

藤  井  厳  喜
(国際政治学者)

石原莞爾(1889~1949)陸軍中将といえば、毀誉褒貶の激しい人物である。不世出の戦略家で、日本帝国陸軍が生んだ最高の頭脳であるとの評価がある一方で、日本を大東亜戦争の敗北に導いた最悪の軍国主義者であるとの評価もある。
筆者の視点からすれば、この両方とも石原の全体像をとらえきれていない。
石原莞爾は複雑な人物で、多面性をもっている。軍中央に逆らって満洲国をつくったのも彼ならば、敗戦後、完全な軍備放棄による絶対平和主義を唱えたのも石原である。この人物をどうとらえるかは、単に歴史的評価として重要なばかりでなく、21世紀以降の日本の国家戦略を考える上でも極めて重要である。
そういった観点から石原莞爾の思想と業績を再評価してみたい。

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